3階の者だ!!

DEBがお送りするネタバレありのコミックス紹介ブログです。 短編物では一話にスポットを当てて、長編物ではこの後どうなるの?と言うところまで紹介しているつもりです!

2009年10月

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本日紹介いたしますのはこちら、「藤子・F・不二雄大全集 キテレル大百科」第2巻です。
小学館さんより刊行されました。

作者は当然藤子・F・不二雄先生。
一連の本大全集は「藤子・F・不二雄」のテーマにて紹介をまとめておりますので、よろしければごらんくださいませ。

さて、「キテレツ大百科」は8年半と言う長期間放送していたアニメ版とは違い、原作は3年強(十分長いですが)の全40話。
1話16Pということもあり、この第2巻で完結となっています。

この第2巻でもさまざまな発明品が登場する本作。
アニメ版ではやたらと出番の多かった気がする「唐倶利武者」が最終回直前の話で登場したり、他にも「如意光」などのアニメでおなじみの発明品が登場します。
また、透明人間になれるビードロ丹を使い、全裸で美代ちゃんを追い掛け回す(誇張ナシ!)
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「ネパール・オパール」、
末端価格5億円の白い粉に包まれてはしゃぎまわると言うある意味タイムリーな
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「海底の五億円」などなど注目の作品も多数収録されております!

そんななかやはり一番気になるのは最終話ではないでしょうか。
この最終話だけキテレツのパパの顔が全然違うのです!!!!
左が他のお話、右が最終話のパパ!
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まるで違う人!!!!一体パパの身に何が……
……というのはまあ置いておきまして。
「さらば大百科」とタイトルのついた最終話ですが、内容的にはかなりあっさりしたお話になっています。
冒頭でいきなり母親にゴミと勘違いされて大百科を捨てられてしまうキテレツ。
ですが偶然一枚だけ手に入ったページに記載されていた動物のなかに入り込んで自由に操る道具、「操縦座(大百科内では操獣座と記述)」をつくり、かすかに残った臭いをたどって探そうとします。
さまざまなトラブルをさまざまな動物に乗り移って潜り抜け、大百科を拾った子供の自宅までたどり着くキテレツ。
ですがちょうどそのとき大百科を空き地で燃やそうと言う状況になっていました!
あわてて空き地に急ぐキテレツですが、更なるトラブルや見過ごせない出来事に遭遇してしまい……
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すっぱり時間を飛ばされ、「結局間に合わなかった」とあっさり一言で片付けられてしまうのでした。
ドライだよコロちゃん!
しかしキテレツはもう気を取り直しており、キテレツ斎に負けない発明品を自力で作るため勉強を頑張る決意を固めていたのでした。
めでたしめでたし。

……というアニメ版とはまったく違うエンディングを迎えます。
コロ助とは別れず、失ったのは大百科だけ、ひきかえに大きな目標を手に入れて終わると言う見事なハッピーエンド。
その辺の感動部分が1Pにまとまっており、やはりあっさり感は否定できませんが……こういったF先生の日常物連載漫画で別れを伴わない(大百科とは別れますけど……)最終回は珍しい気もしますので、これもまた新鮮でよろしいのではないでしょうか!

大全集独自のおまけとしては、まずおなじみの各種カットやカラー口絵。
今回カラー口絵には大竹宏さん所蔵の色紙に描かれたイラストという珍しいものが収録されています!
そしてF先生直筆によるアニメ用キャラクター集が掲載されており、見ごたえは十分です!

F先生ならではの味が堪能できる、「藤子・F・不二雄大全集 キテレツ大百科」第2巻は好評発売中です!
早期から単行本で全話が読め、珍しさには乏しい本作ですが面白さにはそんなこと関係ありません!
他の作品に比べて話数がやや少なめなだけにさくっと読み終えられる、お手軽且つ楽しい作品ですよ!
さぁ、本屋さんにいそぎましょう!!


キテレツ大百科 2 (藤子・F・不二雄大全集)
小学館
藤子・F・不二雄

ユーザレビュー:
原作の後半を収録した ...
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本日紹介いたしますのはこちら、「それでも町は廻っている」第6巻です。
少年画報社さんのYKコミックスより刊行、ヤングキングアワーズにて連載されています。

作者は石黒正数先生。
石黒先生や他作品等の紹介は「石黒正数」のテーマにてまとめましたので、ご興味などございましたらあわせてご覧ください。

さて、いわゆる日常ギャグ漫画である本作。
本巻でも変わらぬノリで楽しませてくれます!

今巻では完全に一話完結の話が8編収録。
相変わらず報われない真田の片思いの話に
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ばっさりと髪の毛を切った歩鳥が拝める話、
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母方の実家に里帰りし、怪事件を華麗に解決できなかった話
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などなど、ファンタジー要素のないスタンダードな日常が営まれています。

その他歩鳥の妹や紺先輩などがメインとなった脇役キャラの活躍する話も多数あるのですが、今回(も)ひときわ輝いていたのはやはり伊勢崎さんことエビちゃんではないでしょうか!
ある日歩鳥の弟、猛は風邪を引いて学校を休み、床に伏せっていました。
熱のせいかなぜかエビちゃんの夢を見てしまい、なんだか妙に意識してしまう猛。
そんなときまるで図ったかのようにエビちゃんがやってきたではないですか!
学校生活にはつきもののプリントや給食のデザートなどを持ってきてくれたワケですが、こういうのはたいてい家が近くて仲の良い同性の友達が行くもの。(ですよね?)
エビちゃん積極的ぃ!
一方病床でもみえそうになったスカートの中身を
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そっと隠してあげる(そしてエビちゃんのツンを味わう)ジェントルな猛くん。
これはエビちゃんならずとも惚れるってもんですよ!
そんな状況で差し出されたファッションカタログ。
そこにはなんとエビちゃんがモデルとして掲載されているではないですか!
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エビちゃんはテレながらもカタログを猛にあげ、「明日も休んだら来てあげる、そのかわり自分が休んだらタケルが来て」と言い残して去っていったのでした。

その夜、エビちゃんに無視されてしまう夢を見て飛び起きた猛。
悪夢のせいか汗をびっしょりとかき、すっかりと風邪は治ってしまいました。
ですがその悪夢のせいか昨日の別れ際の言葉に惹かれたのか、猛はもう1日休みますが……

という、最後のオチに至るまでエビちゃんの魅力全開の一編になっています!
エビちゃん以外のキャラクターも何人か絡むネタが複数ちりばめられてもいるエピソードで、そちらも十分に面白いのですが……エビちゃんのかわいらしさの前にはかすんでしまうってもんですよ!!

今回もキャラクターがイキイキと活躍をしてくれている本作。
いつにもまして平和なお話が多く、単純に笑えます!
更にラブコメ分もいつもより心なしか多くなっており、ニヤニヤ笑いまで止まりません!
はぁはぁ、もっと……もっとエビちゃんをだしてください!!

あほな子を愛でる日常ギャグ漫画、「それでも町は廻っている」最新第6巻は本日発売です!
ギャグも萌えもおなかいっぱい楽しめるこちらの作品、エログロなどの要素がほぼない皆様にお勧めできる内容となっています!
日常漫画を読む方なら避けて通るのはもったいないですよ!
さぁ、本屋さんにいそぎましょう!!


それでも町は廻っている 6 (ヤングキングコミックス)
少年画報社
2009-10-30
石黒 正数

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本日紹介いたしますのはこちら、「AD・BOY(エーディー・ボーイ)」第1巻です。
日本文芸社さんのニチブン・コミックスより刊行されました。

作者は昨日に引き続いて紹介となるにわのまこと先生。
例によりまして「にわのまこと」のテーマにて他作品の紹介などをまとめておりますので、そちらもよろしければごらんくださいませ。

本作はにわの先生の2大得意ジャンルのひとつ、セクシー路線の漫画です。
同路線の「ボンバーガール」シリーズとは違いアクション要素はまったくなく、よりギャグ要素を増やしたいわゆるエロバカ漫画といえる作風となっています。

主人公はTV番組下請け制作会社の下っ端AD、桜田子童(さくらだしどう)。
情熱は人一倍であるものの、容姿も仕事振りも今ひとつパッとしない桜田は周囲からより見下されてしまう要素をひとつはらんでいました。
それは28歳にして
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完全に童貞だといこと!!
いつも上司などにそのことをからかわれて笑いものにされているのでした。

ところが桜田、この現状を無理に脱却しようとは思っていないのです。
なぜなら彼には果てしない夢があるから。
それは
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憧れのニュースキャスター、永島樹理に童貞をささげると言うものでした!!
あほにも程がある夢ですが、実際永島も桜田のことをそれほど悪からず思っている様子。
それは以前一緒に仕事をしたとき、演出に口出しして怒られる桜田を永島が支持し、「いつか一緒に理想の番組を作ろう」と約束したことがあったのです。
どうやら素でいい人である永島はきちんとそれを覚えており、いつか来るだろうその日を楽しみにしているのでした。

とはいえ現状では単なるうだつのあがらないイチADにすぎない桜田。
今日も今日とて番組制作の打ち上げで周りからバカにされています。
そんな彼を見て思うところがあった人物がいました。
落ち目となり始めていたバラドル、諸岡。
彼女はいつか聞いた童貞を抱いて自身をつけ成功した女優の噂を思い出し、桜田をその餌食としようとしていたのです!!

泥酔した桜田をホテルへと連れ込んで拘束し、諸岡は早速毒牙(?)にかけようとします。
意識を取り戻した桜田は心では嫌がるものの健康な男。
悲しいかな体は反応してしまいます。
あきらめて流されるままにされてしまえと思った瞬間、永島のことが脳裏によぎります。
すると桜田は
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覚醒!!!
拘束していた紐を引きちぎり(と言うか勝手に引きちぎれ)、きりりと精悍な男前になりました!!
呆然とする諸岡の顔を戒めの
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往復ビンタ(おてぃむていむで)し、「アシストするよ あんたのドリームを」とダサかっこわるい……もといしびれる(※ただしイケメンに限る)台詞と共に諸岡を叱咤激励!
精神的な意味でも性的な意味でも不満を解消したのです!!
なんと桜田は噂に聞いていた共に一夜を過ごしたものはブレイクすると言う伝説のADその人!
伝説どおり諸岡は役者への転進に成功し、ブレイクの兆しを見せ始めるのでした!!
そして桜田は夢に向かって貞操を守り続けるのでしたとさ……

と、こんな感じのバカでエロいお話が各話完結形式で5編収録されています。
ぶっちゃけますと全編やってることは同じ!
ヒロインの立場が変わってそれに付随するお悩みの内容と叱咤激励の内容が変わるだけです!
とはいえバカエロ漫画ということで、物語をテンプレートにはめ込んでギャグとシチュエーションを変えて行くと言う手法がピッタリと言えるのではないでしょうか。
単純に楽しめる内容だけに難しいストーリーやひねった展開などは必要なし!
そう、水戸黄門形式です!

そして本作にはレアな読みきり、「ZeKe(ジーク)」も収録されています。
05年に一度だけ刊行された「増刊格闘チャンピオン」に収録されたこの作品、にわの先生のもうひとつの得意ジャンルである格闘漫画で、さらにプロレスを題材にしたもの。
終戦からそれほど経っていない50年、米マットで活躍する日本人ヒールマスクマンと彼を応援する少年の交流を描かれたシリアスなストーリーになっており、短編できれいにまとまった良作と言えます!
……問題はこの「ADボーイ」とはまったく噛み合っていない内容で、エロを求めている人には邪魔に感じてしまう可能性があることなんですが……

ひたすらバカなお色気漫画、「ADボーイ」第1巻は好評発売中です!
格闘系では味わえない、にわの先生の別の一面を楽しめますよ!
ですが週刊漫画ゴラクにて不定期に連載されていた本作、同誌で11月より「真島、爆ぜる!!」の連載を開始するようで第2巻どころか次の掲載もいつになるか分からない状況なのが玉に瑕……
とはいえ先が気になって気になってしょうがないよ!と言う作品でもありませんので、とりあえず気長に待つつもりでよろしいのではないでしょうか!!
さぁ、本屋さんにいそぎましょう!!


AD BOY 1巻 (ニチブンコミックス)
日本文芸社
にわの まこと

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本日紹介いたしますのはこちら、「陣内流柔術流浪伝 真島、爆ぜる!!(じんないりゅうじゅうじゅつるろうでん まじま、ばぜる)」第1巻です。
日本文芸社さんのニチブン・コミックスより刊行されました。

作者はにわのまこと先生。
にわの先生と他著作の紹介は「にわのまこと」のテーマにて紹介をまとめさせていただいておりますので、よろしければごらんくださいませ。

さて、本作は少年漫画史上(多分)初の柔術家を主人公とした本格異種格闘漫画、「真島クンすっとばす!!」の正当な続編です。
「真島クン」と言えば当時のジャンプで大人気……とまでは行かないまでも、一定の人気を保って中堅どころとして15巻にわたる長期連載をした作品。
ですが残念ながら最後は打ち切りとなってしまい、すっきりとしたエンディングを迎えないまま終わってしまうというファンには悔しい結末を迎えました。
本作では10年以上の月日を経てとうとう「その後」が描かれることになります!!

物語はいきなり真島と、前作でのラスボスと目されていたキングの戦闘シーンから始まります。
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動画サイトなどで突然姿を現し始めたその動画は、試合のシーンを一部切り取ったもののようで勝敗こそ分かりませんが、本人同士の戦いであることは確かなようです。
「真島クン」終了時から実に6年の時が経過しており、それ以来消息が一切つかめなかった真島零。
久しぶりの彼の姿はこのような意外な形で披露することとなったのでした。

この動画を見た真島との親交も深かったスポーツ記者、久保田はあるところへと向かいました。
その場所とは陣内流の道場です。
久保田はそこで一人型稽古をしている人物……真島の親友、三浦にその映像を見せようと考えたのです。
当時と違い、今では編集長となった久保田ですが、三浦もまた成長して社会人となりながらもひとり教え手のいない道場を守っていました。
すっかりたくましくなった三浦は久保田を見るとおおよそ用件がつかめたようで、すぐに件の動画の話題を振ってきます。
三浦も真島に関して常にアンテナを張っており、教えてもらうまでもなくその動画を発見していたのだそうで。
6年間も消息不明だったにもかかわらず、突然こんな形で真島を目撃しても本人だと信じられない……三浦はそう語るだけで精一杯なのでした。

別れ際にとりあえず飲みにでも行かないか、という久保田の誘いを「客が来る」と断る三浦。
その客とはなんと出稽古と称した道場マッチの相手でした。
真島もどぶろー師匠もいない現状でも、陣内流柔術と言う名前はまだまだビッグネーム。
素人同然とはいえ陣内流を守っている三浦をつぶせば名前が売れると考えた格闘家が勝負を挑んできたわけです。
稽古を積んだとはいえ自己流に過ぎず、プロのリングに上がったことすらない三浦はそんな二流格闘家にも圧倒されてしまいます。
その上その相手は金的などのダーティーな反則まで繰り出して来るのです。
三浦も粘りますが、最後には腕をとられてしまい、敗北寸前……
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と言うところでやってきました真島零!!
二流格闘家たちをたちどころに蹴散らしてしまうのでした!!


旧交を温めるまもなく、この6年間の出来事を真島に聞こうとする三浦。
まずは例の動画を真島に見せつけ、勝負の勝敗を問います。
しかし真島の反応は
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まさかの「わからない」!!
三浦はてっきり真島がふざけてお茶を濁しているのかと思いますが、続けて真島は衝撃の事実を明かすのです。

GAIAの死角たちに取り囲まれながらも、かつてのライバルたちと共に奮闘。
次はどいつだ!!と言う台詞で完結した「真島クン」。
そのシーンからあとのことをわれわれ当時の読者は知らないわけです。
そして空白を埋めるであろうはずの真島から出た言葉は
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……またも「わからない」だったのです。
6年間確かに生きていたと言う記憶は薄ぼんやりとあるものの、具体的に何をどうやってきたかと言う記憶が一切ないと答える真島。
そんな夢うつつのような状態からはっきりと覚醒したのが今日、渋谷のど真ん中でのことだったのでした。

その後医療機関で精密検査などをするものの、真島は完全な健康体であることが分かります。
そんな中真島は宿命の敵であった光臨館の館長、桜井に呼び出されます。
そこで自分が追っていた筈のGAIAは2年前につぶれていると言う衝撃の事実を聞かされて戸惑う真島ですが、そんな気分を払拭する意味もかねて練習試合を行うことになりました。
戦いの中、ほんのかすかに失われた記憶を垣間見た真島。
真島は戦いが失われた過去に近づく最良の方法だと考えた真島は、突然誘いをかけられた新興格闘イベント「BraVe」に参加する決意を固めます。
瞬く間に正式参戦が決まり、真島新設されるミドル級トーナメントに出場することになりました。
6年の沈黙を経てもいまだ注目度が高い真島、そして陣内流柔術。
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失われた過去と、その鍵を握るキングとの戦いをもとめた新たな第一歩が始まるのです!!

まるまる1冊を通してのプロローグ的内容となる本作。
作中で6年間と言う空白期間がありながらも主人公にその記憶がないという手法を使うことにより、以前からの読者と主人公の間に認識の違いがでないつくりに。
それだけにこういった続編ものにある「前回から今回の間に色々あったんだよ!細かくはおいといて!」という置いてきぼり間が薄くなり、よりストーリーを素直に追うことが出来ます。
それだけにGAIAの消滅やどぶろー達の消息、キングとの対決の背景などの数多く存在する謎が明かされるときがより楽しみになると言うものです!
まだまだ物語は導入と言うことで戦闘シーン等は少なめになっていますが、その少ない戦闘シーンでも十分陣内流の凄みを感じさせる迫力をもっており、作画面でも見所は十分ですよ!

突然の打ち切りから不死鳥のように帰ってきた本格異種格闘漫画、「真島、爆ぜる!!」第1巻は本日発売です!!
誰しもが「これで終わりかよ!」と口走ってしまったであろう最終回からの続きがとうとう紡ぎだされる本作、
当時のファンならば間違いなく読むしかありませんよ!!
前作未読の方も近年「真島クンすっとばす!!」の文庫版が発行されていますので、この機会にそちらもごらんになってみてはいかがでしょうか!
実に少年漫画らしい格闘漫画になっていますので、難しいことを考えずに楽しむことが出来ると思います。
もちろん本作でもその流れは受け継がれていますよ!
さぁ、本屋さんにいそぎましょう!!





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本日紹介いたしますのはこちら、「芋虫」です。
エンターブレインさんのビームコミックスより刊行されました。

作者は丸尾末広先生。
丸尾先生は80年にデビューして以来、強烈な個性を放つ作品を発表し続けている漫画家です。
レトロな絵柄と性的にもグロテスクな意味でも過激な描写を得意とし、熱心なファンも多くついています。

本作はかの文豪、江戸川乱歩先生の同名小説を漫画化したものです。
当時から色々と話題になったらしい原作で、さらに丸尾先生が漫画家。
と言うことで非常に刺激が強く、差別的だと感じてしまう描写があるかとは思いますが、こちらではそういった意図は持っておりませんのでご了承の上ご覧くださいませ。

主人公の時子は戦争で武勲をあげる須永中尉の妻です。
彼女は結婚後子宝に恵まれず、養子をとっても病死してしまうと言う満たされない日々を送っていました。
そんなあるとき、須永はシベリアへと出兵します。
時子は夫が今までのように武勲を挙げ、さらに昇進をするのであろうと思っていました。
ですが夫は戦死こそ免れたものの、大怪我を負って帰ってくることになります。

内耳と声帯を損傷して聞くこともしゃべることも出来ず、四肢のすべてを根元から失うと言う惨たらしい姿となって……
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ショックを受けた時子は心神喪失状態になりますが、須永の兄夫婦の経済的支援や、上官から無料で宿を借りうるなどの支えもあって夫の世話を続けます。
食事から下の世話、そしてことあるごとに見せろ要求してくる自身の勲章とそれをたたえる新聞……
献身的に世話をする時子ですが、そんな彼女に須永はまるで動物のように猛烈な食欲と性的欲求をぶつけてくるのでした。

やがて時子は自分の介添えなしでは何も出来ない夫を「芋虫」にたとえ、歪んだ愛情……いや、情欲を浴びせ始めます。
あるとき、誰かが……自分がいなければ額に止まった蚊さえ追い払えない、何も出来ないと須永に侮蔑の声をかけていた時子。
須永はそんな時子を怒るわけでもなく、蔑んでいるわけでもなく、どこか遠いところをみるかのようなまなざしをたたえているのみ。
そんな瞳に時子は言いようのない憤りを感じ、
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驚くべき凶行に走るのでした。
この凶行をきっかけとして須永と時子の運命が大きく動くことになるのです……


原作が短編と言うこともあり、本作も140Pほどにまとめられています。
発表当時である1929年と言う時代を感じさせる、淫猥で背徳的、退廃的なムードをそのままに丸尾先生がその個性的な絵柄で更なる異様さを加えて新たな世界を作り上げられた本作。
なんとも言いようのない後味の悪さや不快感が充満しているストーリーもさることながら、丸尾先生の描くおぞましくも美しい幻想的な作画もすばらしいの一言!
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エログロ描写が激しい物が多いのでウチではちょっと紹介しづらいのですが……
とにかくその美麗作画を楽しむにふさわしい豪華なハードカバーに216x152の大型サイズ!
圧倒的存在感を有するカラー口絵も収録した豪華な一冊です!
読み手を不思議な世界に引き込んでくれることでしょう!

巨匠の問題作を現代の奇才によってさらなる領域へと踏み入れた「芋虫」は全国書店にて発売中です。
癖、と言う一言ではいえないほど好き嫌いの激しく出るであろう世界観ですので、万人にはとてもとてもお勧めできません。
それでも丸尾先生作品でしか味わうことの出来ない味を持っているこの作品、苦手な方でなければ抑えておきたいところではないでしょうか!
さぁ、本屋さんにいそぎましょう!!


芋虫 (BEAM COMIX)
エンターブレイン
江戸川 乱歩

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