本日紹介いたしますのはこちら、「あさりよしとお短篇集 毒入り <カプセル篇>」です。
徳間書店さんより刊行されました。
作者はあさりよしとお先生。
あさり先生の作品等は「あさりよしとお」のテーマにて紹介をまとめさせていただいておりますので、そちらもお時間などありましたらご覧いただければ幸いです。
さて、本作は短篇集とかかれているものの、完全な読みきり作品は1作のみ。
他はショートギャグの連作的な作品と、途中で連載中断された様子の作品が収録されています。
メインとなるのは本巻の半分以上を占める「メッチェンファウスト」。
ドラゴンHGなる雑誌で連載をしていたようで、おそらくはそちらの休刊にあわせての連載中断作ではないでしょうか。多分。
内容はこんな感じです。
ちょっと頭のあったかい女の子が
見るからに怪しげな謎生物に寄生され人間の体が耐えうる限界以上の力を発揮できるように。
ですが本来頭ものっとってしまうはずの謎生物……敵性宇宙人が何らかの理由によってのっとりに失敗。
なんだか本人は勘違いしたまま既に宇宙人と戦っていた学ランの人物とともに、襲い掛かってくる宇宙人と戦うと言うお話です。
ミギーのアレを髣髴とさせるストーリーですが、中身はしっかりあさり先生節。
限界以上の力を発揮できるものの体自体は強化されておらず、パンチすると逆に手がぶっ壊れてしまったり、なぜか宇宙人との戦いが番長ルックでのタイマンだったり、敵の能力が意味ないにもほどがあるものだったりと独自の味を醸し出しております!
多少バイオレンスな描写はありますが、本書の「毒入り」と言うタイトルからすればそれほどでもない「メッチェンファウスト」。
ですがこれはほんの前菜に過ぎません!(3分の2近いのページ数占めますけど!)
本当の毒はショートギャグ(?)、「世界冥作劇場」にたんまり含まれています!
この「世界冥作劇場」、様々な名作を滅茶苦茶にアレンジしてしまうと言う……言ってしまえば割とよくあるネタです。
「フランダースの犬」「おおかみと七ひきの子やぎ」「ちびくろさんぼ」「赤毛のアン」をモチーフにした作品なのですが、バイオレンスなだけでなくもう電波的な何かを感じさせる怪作へと変貌!
「フランダース」ではネロがなんか悪魔っぽいものとともに芸術を求めて殺人を犯したり町に火を放ったりすると言うそりゃもうひどい話に、「おおかみと~」では勘違いから子ヤギ達が全員そろって哀れなことになってしまう話になってます!
これだけでも十分ひどいのですが、この後の2作にいたってはもう原形をとどめてません!
「赤毛のアン」はもうアンが電波垂れ流し状態でもはや「お話」ですらないんじゃないかと言う改変っぷり!
そしてなにより「ちびくろ~」のほうは当時物凄い勢いでバッシングされ発禁状態に追い込まれていた背景を逆手に取った毒どころじゃないネタになってます!
先ずタイトルからして「でかしろ○んぼ」!
そして主役の○んぼはくろいものが嫌いで、アリとかですら許せず踏み潰すんです!
それどころか黄色もきらいで、「せかいでいちばんえらいのはしろんぼさ」「きいろやくろやあかはこのよにいてはいけないいろなんだ」とまで発言します!!
ひえー!あぶねー!!!
そんな彼がたどる結末もまたブラックで……あさり先生の凄みが迫ってくるようです!!
そしてこれを掲載したガロの覚悟の出来っぷりもすごいです……
この他、某豆腐屋さんの倅が峠をすごい急ぐ漫画のパロディ「プロジェクトT」、
人体模型の内田洋行くんが童話の世界で好き勝手する「それゆけ内田くん」を収録。
こちらも見逃せない問題作(?)となっています!!
毒入りの名に恥じない色々アレな作品を収録した「あさりよしとお短篇集 毒入り <カプセル篇>」は全国書店にて発売中です!
4月には同<錠剤篇>の刊行も予定されており、そちらも今から楽しみですね!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!