本日紹介いたしますのはこちら、「魍魎の揺りかご」第2巻です。
スクウェア・エニックスさんのヤングガンガンコミックスより刊行、ヤングガンガンにて連載されています。
作者は三部けい先生。
本作第1巻の紹介は「三部けい」のテーマから記事にとべますので、そちらもよろしければご覧くださいませ。
さて、転覆した船に閉じ込められてしまった真琴。
クラスの仲間と合流することはできたのですが、なぜか船の中には無差別に人を殺す殺人鬼がうろついていたのです。
しかもこの殺人鬼一般的に言う本来の殺人者ではなく、どうも感染する……映画のゾンビのようなものなようで……
完全に閉鎖されている空間の中、真琴たちはどこへ逃げていいかもわからないまま逃げ惑うしかないのでした。
迫りくる水から少しでも逃れるため、上の階へと向かっている真琴たち5名。
使えそうな階段を見つけ、3階に上がろうということになりました。
瓦礫の隙間を潜り抜けようとしたその瞬間、クラスメイトの弥生の姿を発見します。
弥生は腕を挟みこまれて動けない様子ですが、まだ息はあります。
すかさずみんなを呼んで助け出そうとするのですが、弥生はなぜか「キスして」などと奇妙なうめき声を上げるばかりです。
真琴に噛み付かんばかりの勢いで迫ってくる弥生の顔をとっさにグイと退ける滝川。
その際弥生は頭をぶつけて額に流血する傷を負ってしまいました。
大怪我している弥生になんてひどいことを、と声を荒げるカナ。
真琴も、弥生は大怪我のせいで意識が混濁しているんだと気遣い、その傷口をやさしくハンカチを拭いてあげました。
するとどうでしょう。
いま拭き取った、血を流していたはずの傷口がきれいに消え去っているではありませんか!!
あまりに不自然な出来事に驚き戸惑うしかない5人ですが、そのとき不意に船を揺れが襲います。
揺れによって鉄骨などが降ってくるピンチを何とか無事やり過ごすことができた5人。
落ち着いた後弥生のほうを見てみれば、すぐそこにいたはずの弥生がいなくなっているではないですか!
気がつけばいつの間にかカナの後ろに怪しげな人影が。
その人影、思い切り振りかぶった右腕をカナへと振り下ろしました!
人影はやはり弥生。
明らかに様子がおかしい弥生の姿は、どうしてもあの殺人鬼の症状を連想させます。
幸い(?)にも弥生の右腕は先ほどの揺れのためかひじから先がなくなっており、カナに当たることはありませんでした。
右腕がなくなっているにもかかわらず、痛がりもしない弥生。
そして弥生は腕を頂戴といいながら
思い切りカナの右腕に歯をつきたてたではないですか!!
こうなってはもはやどうすることまできません。
持っていた手斧を弥生の首筋にたたきつける滝川。
弥生はぴくぴくと痙攣した後、息絶えたのでした……
先も塞がっていることがわかり、やはり別の階段を探さなければならない、とこの場を離れようということにした5人。
ですが、いまの弥生の様子から恐れていた通り、「殺人鬼は感染する」であろうことが確定的になってしまいました。
最初に遭遇した殺人鬼、そして同じように暴れまわった体育教師と弥生。
錯乱によって偶然同じような異常をきたしたというのはあまりにも症状が一致しすぎているのですから。
そういった伝染病的なものと仮定して考えると空気感染という線も考えられなくもありません。
ですがそれならば5人もいる上、何度となく殺人鬼と交戦して来た真琴たちの誰かがすでに発祥していてもおかしくないはず。
となれば考えるのは接触感染。
たとえばゾンビなどと同じような……噛み付かれて、というような……!!
誰もはっきりとは言いませんが、そうなればカナが感染してしまったと考えるのが自然です。
カナはその恐ろしさと、自分が感染したことによって排除されてしまうという怖れに耐え切れず、目があった縞田に対して当り散らしてしまいます。
自分を疑っているのか、自分は体調もなんともないから大丈夫だ、自分をおいて行くのかとわめくしかないカナ。
感染経路なども予想でしかないし、カナが感染したとも決まってないと春日がフォローし、縞田もまた悲観的になるなとそれに乗っかりました。
それを聞いたカナは、縞田に感染していると思っているかとストレートに質問します。
そんなことを聞かれてしまえば、思ってないと答えるしかありません。
予想通りの答えに対し、カナはとんでもない言葉で返したのです!
だったら噛んでもいいのね?と、!
さすがにそんなことをしたら感染したとみなすよ?と食い止められるのですが、カナのあせりは増大して行くばかり。
自分があんなふうになるわけがないと歯を軋ませるカナですが、それをあざ笑うかのような現実が降りかかるのです。
一休みしていた時、手渡された水で噛み付かれた傷口をすすいだカナ。
血をきれいに洗い流すと、
そこにあるはずの傷がきれいに消え去っているではないですか!
感染していた弥生も傷がすぐに治るという状態を見せていました。
つまりこれは、カナもまた感染しているという証明になりうるわけで……
とっさに傷口があるはずの場所を隠すカナ。
その症状を誰にも明かさず隠し通そうとするのですが……
果たしてカナはこのまま発症してしまうのでしょうか!?
そして真琴たちはそれに気がつかないまま襲われてしまうのでしょうか!!
というわけで、仲間内にとうとう感染者が出てしまう今巻。
まだ本格的な病状は出ていませんし、本当にあんな変貌を遂げてしまうかはわかりませんが、少なくともカナの猜疑心のようなものは強まって行く一方です。
このままでは本格的な発症を待たずしてトラブルが起きてしまうことは必至。
船の状態も予断を許さない今、不安は募るばかりです!
また、もう一人の主人公とも言える夢のストーリーも進展。
彼女もまた真琴たちとは違うピンチに襲われてしまうのです!
さらに春日の過去や、今までクローズアップされてこなかったほかの生徒たちの現状も明かされ始め、各方面で物語が同時進行。
おそらくいずれそれらがひとつに集約して行くのであろうそれぞれの行動を注意深く見て行きたい所ですね!!
沈み行く船での絶望、「魍魎の揺りかご」第2巻は好評発売中です。
刻々と沈んで行く船、迫り来る感染者、人間同士での争い……2重3重と恐怖が襲い掛かってくる本作。
まだまだ全貌が見えないこの恐怖に終止符が打たれるのはいつの事なのでしょうか!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!