3階の者だ!!

DEBがお送りするネタバレありのコミックス紹介ブログです。 短編物では一話にスポットを当てて、長編物ではこの後どうなるの?と言うところまで紹介しているつもりです! ※作品記事につきまして、権利者様が問題があると感じられた場合はご一報ください。対応いたします。

2011年05月

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本日紹介いたしますのはこちら、「とめはねっ!鈴里高校書道部」第8巻です。
小学館さんのヤングサンデーコミックスより刊行、ビッグコミックスピリッツにて隔週連載されています。

作者は河合克敏先生。
本作の今までの紹介は「とめはねっ!」のテーマにてまとめておりますので、よろしければ併せてご覧くださいませ。

さて、かなの指導を巡って再び鵠沼と勝負することになった鈴里高校書道部の面々。
東都文化大学のオープンキャンバスでその勝負をすることとなるのですが、そこにはかなの書で事実上の学生日本一になった大槻や、書道的にも恋愛関係的にも重要人物な一条なども来ていました。
注目しなければならないのは二校の勝負だけでは無いようです!

当初は順位付けはしないとされていたオープンキャンバスでの創作。
ですがいろいろ手回しなんかもあって、結局順位付けして寸評することとなりました。
これで目に見えて優劣がつくことになった二校。
早速課題に挑むこととなりましたが、その課題は指定された和歌の全体の構図を自分で考え、何箇所かを変体がなに変えるというものでした。
その両方を自分で考え、設計図のようなものを指導してくれている先生へ持って行き、OKが出たら半紙に本番を書く……という一連の流れを90分でこなさなければなりません。
初心者の縁だけでなく、ひろみ達からしても十分大変な課題です。
思い悩む縁をはじめとして、教室内はしんと静まり返るのですが……わずか10分ほどで席を立ち、設計図を先生に見せる人物が現れました。
その人物はやはりと言うべきか、ダントツの実力と実績を有する大槻。
駄目だしひとつされずこれで始めてくださいといわれた大槻に、周囲はざわめき、焦りを覚えるものもいました。
程なくしてよしみ、鵠沼の副部長である見城、そしてひろみも本番へ移行。
あせる縁も先生のアドバイスももらえるからと考えたのか、とりあえず見せてみようと席を立ちました。
ところが縁は慌てるあまり転倒してしまいます。
が、
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その時落としたノートを見て何かをひらめいた様子。
すぐさま設計図を書き直した縁。
新たな設計図は、先生も納得の良い出来なだったようです!!

時間を最大限に使い、とりあえずはやりきった縁。
鵠沼高校はよしみに加え、かなの書にかんしては彼女を上回る見城や、これまた高い実力を持つ勅使河原なんかもいるため、絶対的に有利といえるでしょう。
対する鈴里は、はっきり言ってそのあたりの実力者にまったく引けを取らないといえるのはひろみのみ。
かなり分が悪い勝負ですが、運がよいのか悪いのか、順位を発表しての寸評は上位5位までと先生の口から告げられました。
それ以下の生徒には添削して返却した作品に順位を書いて返却するとのことで、まあ下のほうにいるだろう望月あたりはほっと胸をなでおろすのです。
これでなんとなく5位以上にどれくらい食い込んでいるかで勝負が決まるムードになった鈴里VS鵠沼。
早速5位として発表されたのは……よしみでした。
上々の順位な気もしますが、上に4人もいる順位に終わったよしみは歯噛みするばかり。
そこにひろみが入っていたら……などと考えている中で発表された第4位は
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なんと縁じゃあありませんか!
字自体は思い切りが足りないかななどと言われてしまうのですが、何より評価されたのは半紙を横に使ったことによって余白がうまれ、「散らし書き」の空間美が生まれていること。
床に落としたノートが横向きに落ちていたことからこの方法を思いついたのです!
まさに怪我の功名、思いもよらぬ好評価となったのでした!

1位はおそらく大本命の大槻。
ならば勝負を決するのは2・3位です。
そこへ食い込むのはやはり見城とひろみでしょう。
これで勝負が決まる、と両校の一同(主によしみ)が息を呑んでその発表を待っていたところ、3位として発表されたのは見城!そして2位はひろみでした!!
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二人の差はほんのわずかですが、ひろみの工夫によって確かな優劣が生まれたのです!!

1位は予想通り大槻です。
が、その作品は半紙を横に使うという縁と同じアイディアを使っていました!
もちろんそれだけではなく、字自体からもその圧倒的な実力が伺える圧勝。
大槻にレベルの違いを見せ付けられつつも、ひろみもまた大槻に認められたこの課題。
鵠沼に勝利を収めた形になる鈴里ですが、それだけでない大きな収穫となったようです。

この後、望月と一条、そして縁がなぜか3人でデートしてみたりと、恋愛のほうの物語も進みます。
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こちらもなかなかいい勝負になって行きそうですが、やっぱり決着がつくのはまだ先になりそう。
そんなことをやっているうちにも時間は進み、縁と望月もいよいよ2年生になりました。
そうなると今度のイベントは、新入生に対しての部活勧誘。
今回もやはり反応が鈍い書道部ですが、昨年に引き続き入りそうな新一年生が二人登場します。
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表紙にも登場している羽生、そしてある人物の親戚である島。
性格も目的もぜんぜん違う二人ですが、二人とも思いもよらない実力を披露してくれまして……
縁たちが2年生となり、新たなスタートとを迎えることとなる今巻。
彼女達が新たな台風の目となるのでしょうか!?

というわけで、VS鵠沼を勝利で終えた今巻。
縁の著しい成長が見て取れたこの勝負ですが、なかなか縁の内向的な性格まで変わるわけではないようで……
一条との望月を巡るあれこれが一気に進展したりすることはなさそうです!!
そもそも望月自身にそういう惚れたはれたの感情がないことが最大の問題の気もしますが!
そしてやはり気になるのは新キャラの登場。
女性キャラの増量によって、より一層肩身が狭くなりそうな縁ですが、それだけでないいろいろに彼女達が絡んでくるのは必然です。
書の実力面でも、それ以外のドラマでも彼女達がどういった影響を及ぼすのかが気になるところですね!!

新キャラも登場し、新章突入の「とめはねっ!鈴里高校書道部」第8巻は好評発売中です。
恋愛劇にも新キャラが絡んでくるのかも気になる本作。
どちらにしろ、縁の苦難は続きそうですね!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


とめはねっ!鈴里高校書道部 8 (ヤングサンデーコミックス)
小学館
河合 克敏

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本日紹介いたしますのはこちら、「アイアムアヒーロー」第6巻です。
小学館さんのビッグコミックスより刊行、ビッグコミックスピリッツにて連載されています。

作者は花沢健吾先生。
本作は「アイアムアヒーロー」のテーマにて今までの紹介記事をまとめておりますので、よろしければそちらもご覧くださいませ。

さて、前巻でとうとう感染者に噛みつかれてしまった比呂美。
噛み付いてきたのが赤ん坊だったため、まだ歯がなかっただろうから大丈夫……と思われていたものの、やはり発症してしまい……

バリケードをつくり、感染者から身を守りつつ篭城しているという「御殿場アウトレットモール」。
英雄とカメラマンの荒木は、ネットで手に入れたその噂を頼りに車を走らせていました。
ですがその最短ルートの道路を事故車がふさいでおり、更にそこには3人の感染者が待ち受けているのです。
突破するしかありませんが、普通に考えれば相当危険。
しかし荒木はやたらと自信をみなぎらせているのです。
英雄の持つ散弾銃と、「アレ」があれば大丈夫。
その荒木の言うアレとは何なのか?
それを利用することを非常にためらう英雄ですが、アウトレットモールに行けば、今のご時勢でもっとも必要な「強力な武器」をもつ強い男の英雄は女性にモテるよ!という台詞にちょっといい気になってしまい、そのアレを使うことにしたのでした。

後部座席に積まれている大きな袋。
英雄がチャックを開けると、その中から出てきたのは感染者の特徴が現れている比呂美でした。
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ばたばたとあばれ始める比呂美ですが、英雄はなんとかそのまま袋ごと車から引き出します。
そんなことをしている間に、待ち構えていた感染者はこちらの存在に気がつき、じわじわと近寄ってきます。
早くしろと怒鳴り声を上げる荒木。
英雄はと言うと、比呂美を袋から出して拘束していた手足を解放。
そして、比呂美に対して悪口を言っているのはあいつらだと耳元でささやきかけ、感染者へとけしかけたのです!!

比呂美はその声に従い、感染者へ向かっていきます。
ですがあっけなく吹っ飛ばされて一向に役に立ちません。
ところが比呂美は駄目だと見限った荒木が車に乗って後退し、取り残された形になる英雄が感染者に追われていた光景を見たときから比呂美の様子が変わりました。
後ろから英雄に手をかける感染者。
その下あごに手をかけ、
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まるで果物をもぎ取るかのようにあっさりとちぎり取ったのです!!

比呂美は感染はしているようなのですが、どうも普通の感染者とはわけが違うようです。
基本的に大人しくしていますし、話しかければ完全ではないながらも一応言葉は理解しています。
おかげで感染者を倒すこともでき、アウトレットモールに向かうこともできました。
それでもやはり感染者は感染者。
荒木は警戒感をあらわにし、いざとなったら英雄に散弾銃で……と考えているようです。
英雄はなんとか比呂美を助け(?)たいと考えているようですが、元来押しが弱い英雄ですから荒木に強く出れるはずもありません。
なにより比呂美は英雄に助けられようとは思っていないのです。
英雄のことを恋人の真司と認識している様子の比呂美。
彼女は「真司くんは私が守るね」と、感染者の身となった今も暖かい決意を示しているのですから……
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その後、いろいろとアクシデントに出会いながらアウトレットモールへ近づいていく英雄たち。
ですが近づいていくにつれ、
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ガソリンをかけたタイヤを首にかけて火をつけるという「タイヤネックレス」と言う処刑法をとられたと見られる死体がごろごろと転がっていたり、奇妙な音が淡々と鳴り続けたりと、不安に駆られる要素が見られるようになります。
更にようやくたどり着いたアウトレットモールに待ち構えていたのは
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警戒心むき出しの怪しい三人組でした!!
果たして英雄たちはアウトレットモールに入ることができるのでしょうか?
そもそもそのアウトレットモールも本当に安全なのか、獅子身中の虫ともなりうる比呂美の存在は?
わずかな光明に思えたアウトレットモールで、英雄にもたらされる運命とは!?


というわけで、新展開を迎えることとなった今巻。
感染者となってしまった比呂美ですが、明らかに普通の感染者とは様子が違います。
赤ん坊の感染者に噛まれたから不完全な感染だったという考え方もできないではありませんが、それならばこういった感染者がもうちょっといても良いですし、ウイルスなりの仕業だとすれば媒介の年齢なんて関係なさそう。
今のところは戦力としての期待と、いつ暴れだすかと言う不安が半々といっていい彼女ですが、この不完全な感染状態が意外なこれからの目標を生み出すことになるのです!
そしてアウトレットモールの内情も気になるところですが、他にも気になる要素が判明しました。
それは、
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自分で自分をむさぼり食べている感染者の存在です。
多くの感染者を生み出す感染者ですが、さんざんその毒牙を振るってきた挙句、自分自身まで殺めてしまう感染者。
この症状、まるで人類を絶滅させるための症状ではありませんか。
自然発生なのか人工的に作り出されたものなのかはわからないですし、明かされることがないかもしれません。
ですが、この悪意満々なウイルス(仮)が作為的に生み出されたものならば、他の国にもばら撒かれていてもおかしくなく……
この絶望がどこまで広がっていくのか、そしてはっきりとした希望が見えるのか。
不安のトンネルはまだまだ長く続いています……

新たな展開を迎える「アイアムアヒーロー」第6巻は好評発売中です。
比呂美の存在が、良きにつけ悪しきにつけ鍵となる今巻。
今後も彼女を巡る物語となりそうです!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


アイアムアヒーロー 6 (ビッグコミックス)
小学館
2011-05-30
花沢 健吾

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本日紹介いたしますのはこちら、「陣内流柔術流浪伝 真島、爆ぜる!!」第6巻です。
日本文芸社さんのニチブン・コミックスより刊行、週刊漫画ゴラクにて連載されています。

作者はにわのまこと先生。
本作は「にわのまこと」のテーマにて紹介記事をまとめておりますので、よろしければそちらもご覧くださいませ。

さて、真島は美沙にフられるわ、陣内流の秘伝書は盗まれてしまうわ、「K」と名乗るクラヴ・マガの使い手に襲われるわといろいろあった第5巻。
なんとも大変な日々が続くのですが、とにかく新道場もオープンが決まり心機一転がんばりたいところです!
そんな真島をなにやら追い掛け回している少女がいるようですが、果たして彼女は……?

陣内流の新道場。
真島いわく「いかにも」と言う道場、その正体はなんと銭湯を改装した建物でした!
本日から新道場で活動開始と言うことで、知り合いの編集者の久保田や、光臨館の館長などいろいろな人を招いての落成(?)式を行いました。
そんな落成式の様子を外からこっそり伺っているのは、例の真島を追う少女、亜利雛(アリス)。
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彼女は一体何を考えているのでしょうか?

式にはなつかしの観月家執事の日下部さんまでやってきてくれまして、和やかムードで進展していきました。
なんでもこの元銭湯を借りられたのは、第1巻でたまたま暴漢に襲われていたところを救い出した少女、メグちゃんのおじいさんがここの持ち主で、銭湯をやめたものの思い入れのある建物を壊すのは……と躊躇っていたと言う、いくつかの事情の重なりが生み出したラッキーでした。
真島はそのとき暴れていた暴漢の超キマっていた「顔」が気になるらしく、久保田に声をかけて調べてもらうようお願いします。
そういえばグレゴリーも薬を使ったときあんな感じの顔になっていたような……
久保田にお願いしていたところ、今度は真島のほうが声をかけられました。
お相手は光臨館の桜井館長。
二人っきりになってしなければならない重大な話があるようで、二人は別室で会話することに。
桜井館長がした重大な話とは、まずひとつがやっぱり第1巻で起きた納棺事件に巻き込まれていた美沙を救ってくれたお礼。
そしてもうひとつが、今までいわば一子相伝の秘伝であった陣内流を、オープンな道場で華々しく門戸を開くようなことをしていいのか?という問題提起でした。
情報さえあれば、かつての大会で光臨館空手が間島に不覚を取ることもなかったかもしれない。
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門外不出の秘伝だからこそ陣内流の奥義は必殺技足りえたのだ、という!
ですが真島はその件に関してはもう割り切っている様子。
いまやどんな隠しているつもりのものでも漏洩してしまう時代なんだというわけです。
それに加えて秘伝書が盗まれてしまったわけで。
しかし真島はそのことすら大して問題にしていないのです。
なにせどぶろー先生からして引き出しに置きっぱなしにしていたほどいい加減な扱いをされていたのですから、さほど重要な情報はなかったのではないかと考えたのでした。
そして、門戸を開いたのにもちゃんと考えがありました。
自分がいなかった時期、ひとりで道場を支えてくれた三浦。
三浦のような良き人材が増え、陣内流を任せられるようになれば、そのときこそもう一度アメリカにわたり、命を張ってどぶろー先生や野々宮を探しにいける、という考えが!!
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固い決意を表明した後、せっかくお客さんが来ているんだしと、真島は三浦とともに演舞を披露することに。
ですがその最中、突然真島に過去の記憶のフラッシュバックが襲い掛かってきました!
明らかにおかしい真島の様子に驚きを隠せない周囲の人々。
正気に戻った真島は方を借りて立ち上がるのですが、その視線の先に二人の男がたっているのが見えました。
BraVeの最高責任者、古澤とそのボディーガード的な巨漢、八代です。
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二人は新道場始動のお祝いに来たと花を持って来たのですが、もうひとつ手土産を持ってきていました。
それは先ほどからちらちらと中の様子を伺っていた亜利雛です。
いくら女子供で、目的や正体が何であろうとも疑わしきは罰するべきだ……そう言って古澤は八代に命じ、亜利雛の首を締め上げさせたのです!!
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流石にやりすぎだと怒る真島!
この古澤と言う男、なぜか真島にストレスを与えようと動いている様子!
そのことに気がついた真島は何か思いついた用で、流れに任せてこの八代と戦うことになるのですが……
真島は何を思いついたのか?
八代の実力は?
なによりも古澤は何をたくらんでいるのか?
思いもよらぬところから、新たな戦いの火蓋は切って落とされるのです!!

というわけで、新道場で心機一転を図る今巻。
グレゴリーに続き、見た目はいかにも雑魚な風貌の巨漢と戦う真島ですが、なにせそのグレゴリーが思った以上に強キャラだったわけで。
今回のこの八代もなかなかの実力の持ち主の様子!
彼にも負けられない理由があるようで、かませ犬に終わらない熱戦が期待できそうです!
そしていきなり登場して表紙を飾り、早速存在感を見せている亜利雛さん。
なんと彼女、さりげなく第1巻から登場しておりました。
彼女の目的や正体はまだ謎ですが、どうも扱いなんかから察するに本作のヒロインになっていきそうな予感!
今後の動向が気になるところです!!

新たな陣内流の一歩が刻まれる、「陣内流柔術流浪伝 真島、爆ぜる!!」第6巻は好評発売中です!
古澤さんが物凄く怪しく描かれている今巻。
素直に受け取れば彼が黒幕っぽい謎の存在、「クリエイター」に見えますが、そんなに素直すぎる展開になるとは考えづらいような気も。
そのあたりも含めた多くの謎、明かされる日を心待ちにするしかありませんね!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


陣内流柔術流浪伝真島、爆ぜる!! 6巻 (ニチブンコミックス)
日本文芸社
2011-05-28
にわの まこと

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本日紹介いたしますのはこちら、「藤子・F・不二雄大全集 オバケのQ太郎」第11巻です。
小学館さんより刊行されています。

第2期も大詰めに入ってきた本大全集紹介は「藤子・F・不二雄」のテーマでまとめておりますので、よろしければそちらもあわせてご覧くださいませ。

さて、今回のQちゃんは「小学六年生」誌に掲載されていた作品が中心に収録されています。
ですが前巻と同様それだけではページ数が少ないため、他の作品も収録されているのです。
今回収録作は「女学生の友」誌で連載された「オバケのP子日記」、そして別冊少年ジャンプに掲載された特別読みきり、「スタジオ ボロ物語」。
本編ともども非常に興味深い内容となっています!

本編のほうで注目したいのは、やはり後の本作に欠かせない存在となるU子さんの本格参戦でしょう。
今まで刊行されてきた大全集ではちらちら登場していたものの、ちゃんと登場からやるのは今巻から。
気になる初登場のお話、「おてんばU子」を紹介したいと思います!

女の子の友達が欲しいと、雑誌の文通欄に乗っていた女の子に片っ端から手紙を出したQちゃん。
ところがオバケなんてやだよと全員からお断りの手紙が帰ってきてしまうのです。
女の子なんて何だ、男同士の友情は良いもんだぜと励ましてくれた正ちゃんも、なんだかんだとよっちゃん相手に遊び始めちゃう始末。
何が友情だとぼやきながらQちゃんはひとり屋根の上で空を眺めるのでした。

すると空を何かがふわふわ飛んできます。
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なにをかくそう、それこそU子さん!
ふたりはこんなところでオバケと出会うなんて、喜び合います。
なんでもU子さん、人間界に興味を持ってはるばる来たのはいいものの、住む家もなく寂しい思いをしていたんだとか。
どこか下宿するところを探しているとのことで、Qちゃんは自分の住んでいる家は自分だけで精一杯だから無理だが、探すのを手伝ったら友達になってくれる?と積極的にアピール。
U子は快くその提案を受け入れ、そうなったら毎日この屋根の上でお話しようと言ってくれるのでした。
じゃあ早速お話してよとふってくるU子さんですが、いざとなれば上手いことしゃべれないQちゃん。
悩んだ末に出てきたのは「フグっておいしいね」という言葉でした。
人の顔を見てフグを思い出すとは失礼なと怒り出すU子さん。
酷いと泣き出したり、謝るQちゃんを物凄い力で突き飛ばしたりともうてんやわんやです。
なんとか機嫌を直してもらおうと弁解するQちゃんですが、そこへドロンパが登場。
とりあえずお互いを紹介し、二人にお話でもしてもらって、Qちゃんはその間に先ほどの騒動で汚れてしまった服を着替えに行くのでした。

おめかしして戻ってくると、ドロンパは持ち前の話術でU子のハートをがっちりキャッチしておりました。
なんとか興味を自分に戻そうとQちゃんはがんばりますが、相手はあのドロンパ、Qちゃんが口やオバケ能力で適うはずがありません。
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よっちゃんのアドバイスを受けてプレゼント作戦なども考えますが、やっぱり太刀打ちできないのでした。

日が暮れてきたドロンパは、U子さんもうちに来ればいいさと神成家へご招待。
ところがU子さんもアレでなかなかおっちょこちょいなわけでして、いきなり神成さんの盆栽を駄目にしてしまい、追い出されてしまうのです。
ドロンパはやむなくあたりの家にいろいろ当たってみるのですが、やはりオバケの同居人など受け入れてくれるうちなど早々あるわけもありませんで、けんもほろろな扱いを受けてしまうのです。
こりゃ駄目だと思ったドロンパ、諦めてオバケの国へ帰りなと言い残してさっさとその場を退散。
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ツンデレなドロンパのことですから、もしかしたらもう一回神成さんに頼んでみようとしたのかもしれませんが……
ともかく裏切られた形になってしまったU子さん。
途方にくれているとそこへQちゃんが現れ、うちに来なと声をかけてきました。
自分だけで精一杯なんじゃなかったの?と言いながらも大人しく従うU子に、Qちゃんはいいんだといいながら平然と家に入っていきます。
家に帰ってきたQちゃん、正ちゃんにこんなことを言い出しました。
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お願いだ、ぼくの代わりにU子さんを置いてくれ、と!!
ぼくのことは心配いらない、さよならとそのまま家を立ち去ろうとするQちゃん!
何だこれ、かっこいい!!Qちゃんかっこいいですよ!!
そんなかっこよさに惹かれた(?)のか、まだ正ちゃんと遊んでいたよっちゃんがU子さんを引き受けることに。
自分のためにここまでしてくれたQちゃんの優しさにU子は大感激!
おもいっきりQちゃんに抱きついてきました!!
ですがQちゃんは照れくささのあまり、服だけ残してその場を去ってしまうのでしたとさ。

というわけで、U子さん登場がかかれた今巻。
このあともU子を中心としたエピソードが連続して描かれ、キャラ固めシリーズが繰り広げられます。
後のU子の代名詞である柔道はどんな流れで身に着けることになったのか、なんかも明かされるのです!
そして「オバケのP子日記」のほうも興味深い内容。
本編ではほとんど描かれていない、P子がどこで誰と暮らしているのかが描かれているのです!
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一話4Pを基本として描かれるこの作品は、P子と居候先のユカリさんの女性キャラ二人の日常が描かれています。
この作品のP子は本編よりいくらか万能感が少なく、正ちゃんポジションのおっちょこちょいなユカリをサポートしつつもドタバタしてしまう、本編に近い味わいになっているのです!
更に最後に収録されている「スタジオ ボロ物語」もまた非常にそそられる内容です。
当時F先生も参加していた「スタジオ・ゼロ」の生活を描いた自伝的作品ですが、今巻に収録されているだけあってメインのストーリーは「オバケのQ太郎」がいかにして生まれたかと言うものとなっています。
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その誕生の逸話も気になるところですが、スタジオ・ゼロの型破りな仕事風景なんかも描かれていまして、下手するとそちらのほうが楽しめるかもしれません!
この上恒例の特別資料室ではビッグコミックに掲載された「『オバケのQ太郎』あれから4年…」というレアなものまで収録されており、すみからすみまで興味深い一冊に仕上がっているのです!!

U子さん本格参戦、「藤子・F・不二雄大全集 オバケのQ太郎」第11巻は好評発売中です!
U子登場、P子主役のスピンオフ、Qちゃん誕生秘話、4年後と数々の注目要素が満載の今巻。
この他いままでチョコチョコ出ていた謎キャラ、エジサンの初登場話なども掲載されていますよ!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


藤子・F・不二雄大全集 オバケのQ太郎 11
小学館
2011-05-25
藤子不二雄A

amazon.co.jpで買う
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本日紹介いたしますのはこちら、「西遊妖猿伝 西域篇」第3巻です。
講談社さんのモーニングKCにて刊行されています。

作者は諸星大二郎先生。
諸星先生の各作品の紹介は「諸星大二郎」のテーマにて記事をまとめておりますので、ご興味などございましたらご覧くださいませ。

さて、羊の化け物や謎の老人、怪しげな美少女アマルカなど、立て続けに不可思議なものに遭遇した悟空たち。
騒動に巻き込まれ、あらぬ罪に問われる玄奘たちを助けるため、悟空は羊の化け物を退治してその首を持ち帰ります。
ですがその首は勘違いした人物によって持ち去られてしまいます。
悟空はその首を道中であったゾロアスター教徒の見習い僧の双子とともにその首を捜すのですが、この行動もまたアマルカと謎の老人の怪しげな企みに協力することになってしまっていたのです。

首を捜していた悟空は、とある屋敷の裏口にたどり着いていました。
何の因果かこの屋敷、玄奘に一晩の宿を貸してくれた商人の屋敷だったのです!
そんな事情など露知らぬ悟空、じゃあこの屋敷を尋ねてみるかと正門のほうへ向かいます。
すると塀の中から叫び声が。
声を聞きつけた悟空が塀の上に飛び乗って様子を伺うと、すっかり復活した羊の化け物が、首を持ち去った人物に襲い掛かろうとしているではありませんか。
悟空はすかさず如意棒で攻撃を仕掛けて化け物をばらばらにするのですが、バラバラになったそれぞれが独立した小さな化け物になって逃げ出してしまうのです。
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そんな立ち回りの最中、騒ぎを聞きつけてやってきた沙悟浄。
事情を聞こうとしますが、悟空にこの化け物を何とかしろと逆に命令されてしまいます。
どうも沙悟浄はこの屋敷の奥さん、メーウザーイと過去いい仲だったようですが……
そんなことを追及する暇も追及するものもなく、あばれまわる羊の化け物によって屋敷は大騒動になってしまうのです。
小さくなった化け物はたいした攻撃力は持っていないようで、口からなんか汚い黒いのを吐くくらいしか攻撃をしてきません。
その黒い水も、メーウザーイや八戒あたりが食らうものの、
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特に健康には害が無い様子です。
ともかく、大騒動は駆けつけてきたゾロアスター教の僧たちによって割りとあっさり収束。
悟空はというと、塀を乗り越えて逃げ出して行った一匹の化け物を追って外へ出るのでした。

事態を終息させたゾロアスター僧のリーダー格、アシャイバンダクにはどうしてもこの騒動があっさり解決しすぎではないかと気にかかって仕方が無い様子。
ふと見てみれば、ゾロアスター教の崇拝対象である炎が妙な形に変形しています。
それが指し示しているように見える方向に何があるかといえば、ゾロアスターの寺院です。
そしてその方向は、化け物をおって悟空が走っていった方向でもあります!
嫌な予感はどうも的中しそう……
アシャイバンダクはすぐさまその方向へと走り始めるのでした。

で、羊の化け物を追う悟空。
その先にある件の寺院には、アマルカが待ち受けていました。
やはりこの化け物の逃走劇も彼女が仕組んだことのようで、怪しげな術によって門番を気絶させ、悟空が勢いに任せて寺院に突入しやすいよう準備までしちゃうのです。
悟空は何も考えず化け物を追って寺院へ突進。
寺院に張られた、化け物を退ける結界の力によって羊の化け物は急ブレーキ!
そこへ突進してくる悟空=斉天大聖の力がぶつかり合い、結界の力にわずかなほころびが生じました!
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その瞬間、アマルカが何らかの力を使い結界に穴を開けます!
そして悟空の攻撃を食らい、吹っ飛ばされるまま結界の穴から寺院の中へと入る羊の化け物。
するとどうでしょう、羊の化け物の中から黒い老婆のような異形が姿を現し、寺院の奥深くへと走っていくではありませんか!!
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そこでようやくたどり着いたアシャイバンダク、これはいかんと黒い老婆の後を追います!
悟空もそれに倣うと、聖なる日を祭ってある聖火殿で黒い老婆と、白い半鳥人が争っているではありませんか!
黒い老婆は劣勢のようで、苦し紛れに仲間らしい白い半鳥人のサポートに回ろうとしていたアシャイバンダクへ飛び掛ります。
事情は良くわかりませんが、とりあえず悟空も助っ人に入り、黒い老婆を思いっきり如意棒でフルスイング。
その頃になってようやく寺院の僧たちも騒ぎを聞きつけて姿を現しました。
もはやこれまでと観念したのか、黒い老婆は聖火へとかじりつきます。
どうもこれはまずいことのようで、すかさずジャンピングニーパッドで黒い老婆を叩き落すアシャイバンダク。
黒い老婆を倒すことには成功しましたが、「火が穢された」と沈痛な面持ちを浮かべるのでした。
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悟空がアマルカに利用され、なにか企みの片棒を担がされてしまったこの事件。
ですがこの企みはまだ続行中でした。
先ほど羊の化け物に黒い汚いのをかけられたメーウザーイと八戒。
彼らはこの黒いのに心をあやつられ、メーウザーイは沙悟浄とよりを戻すために邪魔な今の夫やうるさい妹に毒を飲ませようと画策し、八戒は女と食い物に固執するようになってしまいます。
普通ならばここで玄奘あたりが身内の変化に気づくところですが、八戒はいつもの状態にちょっとブーストがかかった程度なので気がつかず……
八戒とメーウザーイは結託し、取り返しのつかない悪事を働こうとしてしまうのです!!
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果たして八戒たちはこのまま悪事に手を染めてしまうのでしょうか?
玄奘たちは旅を再会できるのか?
謎多きアマルカの目的は?
ゾロアスター教の神、アフラ・マズダーやその怨敵、アンラ・マンユの気配もにおいだし、物語はますます混迷の様相を呈していくのです!!

というわけで、まだまだゾロアスター教編が続きそうな本作。
アマルカたちの正体が明かされるのはまだ先のことになりそうですが、ぶっちゃけ一緒にいた謎の老人あたりがアンラ・マンユだったりそれに近いものだったりするのがセオリーでしょう!
当のアマルカは悟空をけっこう気に入っているようで、これからもいろいろとちょっかいをかけてきそう。
このことが今後の展開にどう影響するのか注目したいところです!
そして、仲間のうち唯一の現地人である沙悟浄の過去なども多く物語に絡んできておりまして、このあたりもまだまだ掘り下げていくことになるのでしょう!
今巻では影の薄い玄奘ともども、活躍を期待したいところです!
八戒は相変わらずアレですが……!!

新章にも突入する、「西遊妖猿伝 西域篇」第3巻は好評発売中です!
悟空の空気読まなさっぷり、八戒の駄目人間っぷり、沙悟浄のうろたえっぷり、玄奘の流されっぷりなど、それぞれ微妙な活躍を見せてくれる今巻。
今回は各メンバーのアレなところが目立ちましたが、今まで数々の困難を乗り越えてきた一同です。
先の読めないゾロアスター教編をどう突破していくのか、非常に先が気になりますね!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!



西遊妖猿伝 西域篇(3) (モーニングKC)
講談社
2011-05-23
諸星 大二郎

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