本日紹介いたしますのはこちら、「のりりん」第3巻です。
講談社さんのイブニングKCより刊行、イブニングにて連載されています。
作者は鬼頭莫宏先生。
本作の紹介等は「鬼頭莫宏」のテーマにてまとめていますので、よろしければそちらもご覧くださいませ。
さて、ちょっとしたいざこざから自転車経験者の等々力と自転車のレースをすることになってしまったノリ。
その仕掛け人とも言える輪のお母さんですが、ほとんど自分のせいで勝負になったというのに必勝のトレーニングなんかはないと言い出します。
ですが策自体はあるようで、ノリはとにかく一週間後のレースに備えてひたすら走りこみをするのでした。
レース当日。
開始予定時間の一時間前に来るように指示されていたノリは、奇妙な形の自転車に乗るよう指示されます。
初めて乗る自転車にレース前に少し慣れさせるために少し早くこさせたようですが……
この奇妙な形の自転車に乗るだけで勝負の行方が左右されるというのでしょうか?
ともかく言われたとおり軽く自転車になれるため走らせ、勝負のときを迎えるのでした。
ノリの友人と、ノリのことを憎からず思っている様子のカラモモなども応援(冷やかし?)に駆けつけたところで等々力も到着。
レースの前に簡単なコースの説明を始めます。
技術の差を少しでも埋めるため、コースはなるべく平坦な片道6キロを往復する12キロ。
とはいえ僅かに高低差もあり、極端に言うと「√」のような感じでスタート地点緩やかに下ったあと緩やかに登ることになります。
そんな僅かな高低さも自転車に乗っていればわかると当然のようにかたる等々力は、そんな能力がなんの役に立つの?と訝しげなノリをあからさまに見下しました。
ですがその余裕もノリが乗る自転車を見てわずかに翳ります。
見る人が見ればこの奇妙な形の自転車が「空気抵抗が少ない」のがわかるようで。
この自転車のフレームは、10年以上前のフレームの形に規制がなかった頃に徹底して空気抵抗を削るために生み出されたものなんだそうで。
気になる重量もこの手の空力フレームにしては軽いほうなんだそうで、道具の面ではかなり優れていることは確かなようです。
審判役に輪が自転車で同行することになり、他の人は大きめのワゴン車で観戦しつつ追いかけることに。
ではスタート……となる前に、ノリはお母さんに呼びつけられます。
何を言うのかと思えば、往路ののぼりが終わるまでは抑え気味に走れというアドバイスと、どうせ勝てっこないというショッキングな予想でした。
ですがそれも最初は余裕を持たせたほうがいい結果が出ることが多いというアドバイスをより効果的にするためのもの。
なんにせよ初心者のノリはそれに従うしかないのです。
道中の信号はしっかり守るようにと両者に念押しし、ようやくレースはスタート。
最初は下りと言うこともあり、それほど無茶なく等々力に付いていくノリ。
止まる必要あるの?と思うような丁字路の信号で止まったりしていることもあり、問題なく付いていきます。
……が、それもそこまでです。
等々力の自転車もまた今までと違って本気仕様になっていて……要するに初心者相手でもガッチガチの本気と言うこと。
更に登りに入ったこともあり、ノリはまるで急にペダルが重くなったように感じ、失速してしまうのです。
みるみる差が離れて行き、慌ててしまうノリ。
必死にペダルをこいで追いすがろうとするのですが、等々力の様子を見るため追い抜いていく輪に「ペースを崩すな」と諭されました。
その声を聞いてノリはお母さんのアドバイスを思い出します。
冷静になってゆっくり走り始めると、そこへ観戦のワゴン車も追いついてきました。
アドバイスをちゃんと守ってるじゃない、始まったばかりだからあせらなくていい、と声をかけてくるお母さん。
そして、カラモモからも勝てるからがんばって、と応援の言葉をもらうのでした。
……友人のデブの口を通してですが!
ノリは持ち前の信号のタイミングを見計らう技術(?)を発揮し、僅かに挽回します。
等々力はと言うと、どちらかといえば全力の自分にしっかりついてくる輪にイラツキを感じている様子。
よりスピードを上げ、輪を少し引き離して等々力は折り返し地点を過ぎるのです。
が、折り返してそう立たないうちに往路のノリとすれ違うではないですか。
あのフレームのおかげか?と焦りを隠せない等々力。
ですがロードはやはり脚力がものを言う。
等々力はそれをわからせてやろうと、より一層スピードを上げるのです!!
抜群の道具を使っているとはいえ、やはりその実力差はいかんともしがたいもの。
信号も少なめな上、最後には登りが待っている。
どこをとっても不利に感じるノリですが、果たしてこのあとの逆転はあるのでしょうか!?
と言うわけで、ノリ対等々力のレースが繰り広げられる今巻。
思いのほか善戦を見せるノリですが、このあともただ引き離されて終わったりはしません!
体力的にかなうはずのないノリが太刀打ちするには、道具、戦略、そして精神的な面を上手く使っていくしかありません。
道具は抜群、戦略も足の温存や信号に関してなど決定的でないながらも駆使。
そしてこのあと、精神的な面でも意外なアシストが入るのです!
様々な要因があわさったこの勝負、いかなる結末を迎えるのか?
その経過も決着も、バッチリ収録されておりますよ!!
更にこの勝負の鍵を握る、空力フレームに関しての薀蓄なんかもかたられます。
あのフレームがどれだけすごいのか、何故今は作られていないのか。
そんな気になる点もちゃんと説明されていまして、自転車に詳しくない方もわかりやすい情報を得ることができるのです!!
ノリの初レースが収録された、「のりりん」第3巻は好評発売中です。
意外にも好レースとなったノリVS等々力。
そのレース中、本人は認めたがらないものの、乗りは自転車の楽しさに目覚め始めてきた様子。
彼の心境の変化なんかもこれからのドラマに影響しそうですね!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!