3階の者だ!!

DEBがお送りするネタバレありのコミックス紹介ブログです。 短編物では一話にスポットを当てて、長編物ではこの後どうなるの?と言うところまで紹介しているつもりです! ※作品記事につきまして、権利者様が問題があると感じられた場合はご一報ください。対応いたします。

2011年11月

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本日紹介いたしますのはこちら、「藤子・F・不二雄大全集 T・P(タイム・パトロール)ぼん」第2巻です。
小学館さんより刊行されました。

第3期も大好評刊行中の本作の紹介は、「藤子・F・不二雄」のテーマにて記事をまとめております。
併せてご覧いただけますと幸いです。

さて、ひょんなことからタイムパトロールの一員に加わることになったぼん。
いろいろヘマもしますが、先輩でパートナーのリームの助けなどもあってなんとか仕事をこなしていきました。
そしてとうとうぼんも見習いから一人前の隊員に昇格。
ですが嬉しいはずのそれは、リームとの別れを意味するのでした。

町はある話題で騒然となっていました。
若い女性が次々と狙われる、通り魔事件。
その話題を話しながらぼん達が下校しているときも、パトカーと救急車のサイレンが鳴り響き……
どうやらまたもその通り魔が牙をむいたようなのです。
とはいっても普通の学生には「気をつける」ことくらいしかできないわけで。
無事家に帰れれば、後はおやつを食べてごろ寝を始めるのでした。

日も暮れ始めたころ、点けっぱなしにしていたテレビから聞こえてきた衝撃的なニュースでぼんは目を覚まします。
先ほどの下校時に鳴り響いたサイレンはやはり通り魔の仕業で、中学一年生の安川ユミ子が心臓を刃物で突かれて即死した……と言う痛ましいニュースで。
あんな可愛い子を殺すなんて許せん、と動機はどうあれ通り魔に怒りを禁じえないぼん。
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そんな怒りの声にこたえるものがその場に現われました。
タイム・パトロール本部のゲイラさんです。
リームとの別れ以来何の音沙汰もなく、首になったのかなと思っていた矢先にやってきた彼。
なんでも正隊員になるといそがしいから、休みをあげていたんだそうで。
本日を持ってその休みが明け、早速その正隊員初の仕事としてこの通り魔殺人の阻止が舞い込んできたわけです。

今までと違い、下調べから救助の作戦的始末まで自分でやらなくてはいけない初仕事。
なんとかやってみる、と早速その場、そのときに向かいます。
襲撃される十分前。
人通りの少ない細い道で、すぐ傍には生い茂る林……通り魔が襲い掛かるには絶好と言えるスポットでしょう。
すでに通り魔はこの林に潜んでいるのでしょうが、通り魔の捕獲まではタイム・パトロールの管轄ではありません。
ここはじっと我慢し、できる限り歴史を変えずに刺し殺される予定のユミ子だけを助けなければならないのです。

やがて歩いてきたユミ子。
ぼんはとりあえず彼女の前に立ちふさがり、この道を通るなとアドバイスする、実にストレートな作戦に出ました。
ですがいきなり現われた知らない人にそんなことを言われても、おいそれと信じられないのも無理はありません。
ユミ子はこっちが近道だからと言ってその道を進み続けるのです。
まずいと必死で止めようとするぼんですが、ユミ子はその態度を不振に感じ、ぼんが巷で話題の通り魔ではないかと誤解。
大声で通り魔だと大騒ぎを始めるのです!
人通りの少ない道と言えど、これだけ大騒ぎすれば人は寄ってきます。
やむなくぼんは林に逃げ込むのですが、そこにもなんか男性がおり、通り魔はここだぞと叫ばれちゃうのです。
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慌てて近所のお家に塀の中に飛び込んで逃げるぼん。
ですが追手(?)の声も「近くの家の庭に逃げ込んでるんじゃないか」などといっており、この場所も安心できなそうです。
こうなればお家の中にお邪魔して隠れるしかありません。
手近な窓からそのお家にお邪魔するのですが、なんとその窓の中側は
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先ほどのユミ子の勉強机が面していたのです!!
咄嗟にユミ子の口をふさぎ、もうやけっぱちとばかりに自分がタイム・パトロールで、ユミ子を救うために来たんだと全部打ち明けてしまいました。
ユミ子はとりあえずきいてくれ、信じられないけどわかったと言ってくれました。
ですが、一向に信じていない彼女に対し、負けず嫌いなところのあるぼんも黙って入られません。
じゃあタイムトラベルさせてやる!と、彼女を連れてライト兄弟の初飛行や、航海真っ只中のコロンブスの船、弥生時代の日本、建設中のピラミッドなどを見せてあげます。
その途中、マンモスに踏み潰されそうになってしまった人を、対象の時間の流れを自在に加減速できる「タイムコントローラー」を使って救ってみたりもして、
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タイム・パトロールの真実をこれでもかと証明したのです。
ところが、全てが終わったあと、目撃者や関係した人のタイム・パトロールに関しての記憶を自動的に消去してくれる「フォゲッター」のスイッチを入れていなかったことに気がつきました!
秘密は絶対厳守しなければ、命がない厳しいルールのタイム・パトロール。
ユミ子に秘密を守ってくれとお願いするのですが、ユミ子はおしゃべりだからと自身なさげな様子。
こり果てていると、そこにゲイラからの連絡が入ってきました。
なんと、ユミ子を殺せなかった通り魔が、腹いせに別の女性を殺してしまったと言うのです!!!

同じ時間軸に何度も来ることは厳禁、と言う枷があるため、慌ててその場に駆けつけて5分ほどまで状態をさかのぼらせる「巻きもどし」によってなんとか女性が刺される直前まで戻したぼん。
こうなったら直接介入して通り魔を撃退するしかない、と「タイムコントローラー」を使って立ち向かいます。
ですが何と言うことか、ここであせったぼんは操作を間違え、自分の時間の流れを遅くしてしまったのです!!
通り魔は、先ほど林の中に潜んでいた男でした。
たびたび現われては邪魔するぼんに男は怒り心頭。
ぼんを蹴り飛ばし、ナイフを振りかざして襲い掛かります!
それを見ていたユミ子は血相を変えてなんとかその凶行をとめようと、ぼんが落としたタイムコントローラーを拾い上げてそれで通り魔をパシパシ叩きました。
するとその拍子に上手いことスイッチが入ったようで、ユミ子の時間が加速!
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あたりがスローモーションのように見えるようになったユミ子、こんなのろまなら通り魔も怖くない、とぼっこぼこにしてしまうのです!!

なんとか事件は終わっても、問題はユミ子の秘密厳守です。
こんな面白いことしゃべってしまうかもしれない、こんな事件にあうことなんてめったにないから……と悪びれないユミ子に、ぼんは弱り顔をするしかありません。
ユミ子はここぞとばかりに「あたしも隊員になれれば別だけど」と続けるのです。
ぼんに残された道はひとつ。
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正隊員になってそうそう、ユミ子の事を助手として招き入れるのでした!!

と言うわけで、正隊員となったぼんの仕事ぶりが描かれる今巻。
うっかりモノでカッとなるところのあるぼんが、一人で仕事するのは大変そうだ……と思ったのはきっと読者だけではなかったのでしょう。
良くも悪くもしっかりもののユミ子を助手としての新シリーズが始まります。
いちおうぼんが先輩となり、ユミ子に教えたりしなければならない立場なわけですが、そこはF先生作品の主人公。
きちんと頼れる先輩にはなりきらない、抜けている部分と先輩らしさを併せ持った仕事っぷりを見せてくれるのです!
史実に沿った事件を描いており、学習漫画的な楽しみ方ができるのも本作の味。
今巻でも石器の成り立ちから、アメリカでの奴隷制度、果ては種の絶滅問題まで深く切り込んでおり、「ためになる漫画」と言う見方もできるのです!!

正隊員になったぼんの奮闘が描かれる、「藤子・F・不二雄大全集 T・Pぼん」第2巻は好評発売中です!!
ぼんとユミ子がいろいろな時代や土地で活躍をしていく本作。
ユミ子のコスプレ姿(?)を拝むという楽しみ方もありですよ!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


藤子・F・不二雄大全集 T・Pぼん 2: 藤子・F・不二雄大全集 第3期
小学館
2011-11-25
藤子・F・ 不二雄

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本日紹介いたしますのはこちら、「デンキ街の本屋さん」第1巻です。
メディアファクトリーさんのMFコミックスより刊行、コミックフラッパーにて連載されています。

作者は水あさと先生。
水先生は同人活動の傍ら、08年ごろから商業誌で連載などを始めた漫画家さんです。
代表作はシリウスにて連載されていた「世界制服セキララ女学院」、現在は本作のほか@バンチにて「めいなのフクロウ」も同時に連載されています。

さて、本作は本屋さんの従業員の皆さんの日常を描いた作品です。
こういったひとつの職業をピックアップした作品も最近は増えてきておりますが、本作はその本屋さんの立地(?)が最大の特徴となっております!

その書店、コミック専門店「うまのほね」は日本最大級の電気街にありました。
時は金曜の夜、遊びに行ったり飲みに行ったり、街はそんな人々でざわめいております。
そんななかでこのうまのほねでは修羅場が繰り広げられておりました。
明日発売の新刊コミックスを、特典の小冊子を共にシュリンクをかける。
まだまだ本は山のように残っており、従業員の皆さんは死ぬ気で作業にいそしんでおりました。
その中の一人、海雄は先輩アルバイトのひおたんに謝られてます。
どうも本来海雄は休みだったようですが、病欠が一人でてこの地獄に呼び出されてしまったとのことで、その件について謝り倒されているのです。

この地獄、もというまのほねでは従業員同士があだ名で呼び合っています。
海雄はまだ働き出して間もないためあだ名がついていないのですが、先ほどのひおたんをはじめ、「カントク」「腐ガール」「先生」「カメ子」など、けったいなものぞろい。
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名は体をあらわすと言うことで、皆さんあだ名に負けないキャラクター。
それでもみんないい人人であることは確かで、こういった場所で働いているわりにはアニメやらのネタに疎いひおたんにいろいろ教えたり、仕事に関しては教えられたりしながらやっていっているのでした。

時計は2時を回ります。
海雄に割り当てられた分がようやくおわりました。
先輩たちにとりあえず寝てていいよと言われるのですが、他の面子はまだまだ作業中。
何かやろうかとたずねると、それならばと夜食の買出しを頼まれます。
今まで弱りきっていたひおたんも、買出しと聞くと一気に元気満点!
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海雄と共にコンビニに向かうのでした。

バイトになれたかとか、最近は夜開いている店も増えたなどと雑談をしながらコンビニに到着する二人。
おにぎり、サンドイッチ、コーヒー、某眠気覚まし栄養ドリンク、某海外産缶入り栄養ドリンク……と、カゴに放り込んでいくひおたん。
そんな中、某300円位するお高いカップアイスが目に止まるのですが……お値段との兼ね合いを考えるとどうしても手が伸びないようです。
見かねた海雄は、いつもお世話になっているからご馳走しますよと提案。
するとひおたんはぱぁっと顔色を明るくし、感謝の言葉と共にアイスを含め沢山の食べ物をカゴに放り込むのでした!
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コンビニを出たとたんにアイスをあけて食べ始めるひおたん。
あんまり食べると眠くなると言う海雄のアドバイスにも耳を貸さず、歩きながら食べ続けているうちにうまのほねにたどり着きました。
買出しして戻ってきてから作業にいそしむみんなの様子を見てみれば、その生気のない様はさながらゾンビ。
夜食に群がり、貪り食う様はもはやそのものです……!!
そんな様子を、顔を赤らめて見つめているのは同じく疲弊しきっているはずの腐ガール。
恥ずかしがり屋っぽい彼女は、あのように貪り食っている姿を見られるのが耐えられないのでしょうか……?
ひおたんもまた、無惨に貪り食う姿を見せていません。
ですがそれは乙女の恥じらいゆえではありませんでした。
サンドイッチを食べながら、早速おねむになっていたのです……
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肩を揺り動かされると、何も言っていないうちからよだれをたらしながら眠っていないと否定するひおたん。
ですがそんなことを言った傍からすでに船を漕ぎ出していまして。
もはや彼女を夢の世界から助け出すことは不可能なようです!!

その後それ以外の面々は、眠気覚ましと栄養ドリンクを同時に飲むと言う荒業でエネルギーを補給し、追い込みに入ります。
3時30分を迎えるころ、この日朝から学校に通ったあとだった海雄にとうとう限界がやってきてしまいました。
やむなく脱落となり、仮眠の取れる事務所か何かに入っていく海雄。
とっくの前にそこにすやすやと寝息を立てているひおたんの姿が。
そっと布団をかけなおしてあげ、海雄もまた自分の布団に入るのです。

しばらく時間がたち、海雄は物音で目を覚まします。
ひおたんが起きたのかと思い、眼鏡をかけて辺りを見てみれば、なんと腐ガールが馬乗りになっているではないですか!!
静かにしてと海雄の口を封じ、腐ガールは告白を始めます。
はじめてあったときから思っていたが、今日やっと確信した。
海雄は自分の理想の
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ゾンビだと!!
気がつけば寝ている間にゾンビメイクを施されている海雄。
なんと腐ガールはそのものズバリ腐女子と言う意味ではなく、腐った人=ゾンビが好きな女子と言うのが由来だったのです!
日々ゾンビが現われて世界が埋め尽くされたら?という妄想をしながら生きているらしい彼女。
だからりそのゾンビである海雄に、対ゾンビの練習台になってほしいというのです!
冗談なんかではなく、本気で鉄パイプ(細)を振り回す腐ガール。
やがてその騒動は、疲弊して半ゾンビとなっていたほかの従業員も巻き込みおおわらわ。
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流石にその騒動に起き出すひおたんですが、助けを求める海雄の声も届かず、彼女はまた眠り始めてしまうのでしたとさ……

というわけで、電気街にあるコミック専門店を中心にドラマが展開する本作。
あの電気街がモデルと言うことでして、必然的に同人やら成年向けのエロスな本やら、大型同人イベントなんかと密接な関係が生まれるわけで。
そのあたりと絡んだネタもふんだんに用意されていまして、そちらの趣味を持っている方ならば一層楽しめることは間違いありますまい!!
もちろん昨今の日常マンガに欠かせなくなってきている萌え要素もふんだんに用意されております。
子供っぽいところにあるひおたんですが、モノの弾みでエロ本大好き人間を自称することに!
メインヒロイン格である彼女意外にも、先生や腐ガールにも見せ場が用意されておりますので、脇役にビビッと来た方も安心の内容ですよ!!

マニア蠢くデンキ街の本屋さんの日々を描く、「デンキ街の本屋さん」第1巻は好評発売中です!
マニア向け色の強い日常物である本作。
ひおたんのそっち方面の成長物語と言う見方もできる内容となっておりますよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


デンキ街の本屋さん 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
メディアファクトリー
2011-11-22
水あさと

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本日紹介いたしますのはこちら、「藤子・F・不二雄大全集 ベラボー」です。
小学館さんより刊行されました。

大好評刊行中の本大全集は、「藤子・F・不二雄」のテーマにて紹介をまとめております。
よろしければほか作品の紹介もご覧くださいませ。

さて、本作は「まんが王」誌にて68~69年に連載された作品です。
系統としては特殊な能力を持った同居人と共に過ごす日常モノ、ドラえもんタイプに分類される本作。
ですが、70年前後と言うF先生が最も多作だったと言っていい時期のためでしょうか、一風変わった物語作りが試みられているのです!

大体今の世の中にお化けが出てきたり、マントをつけた子が空を飛んだりなんてばかげたことがあると思うのかい?
そんなセルフパロディを織り交ぜて、漫画を全否定する浦島家のお父さん。
どうも一人息子の一郎が漫画大好きっ子なのが気に入らないようで、なんとか漫画を処分させようとしているようです。
ひろげられた漫画を覗いて大笑いしちゃうお母さんはさておいて、このお父さんはこんなものを読むのは時間の無駄だ、もっとホントの勉強をした方がいい、漫画を残らず捨てたほうがさっぱりしない?と語りかけてくるのです。
他のF先生作品のご両親とは違い、捨てるかどうかは一郎がいいと思ったとおりに決めなさいと言い残して去っていくお父さん。
そしてお母さんもお父さんを説得しといてあげるから、とそれほど漫画を否定はしていないようです。
お母さんは話がわかるなぁ、と一郎はとりあえず漫画を避難させようと風呂敷に包んで置き場所を求める旅路に出るのでした。
その姿を見かけたお父さんは、やっぱりちゃんと話せば漫画が駄目ってことはわかってくれるんだ!と大喜びしてしまうわけですが……

その道中、カメに躓いて転んでしまう一郎。
そのかめはにゅっと顔を出し、「気をつけてくれよ」と怒り出しました。
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一郎はすみませんと素直に謝って道を歩き始めるのですが、冷静になって考えると、カメがしゃべってることにびっくり仰天。
ちょっと戻って探すもののカメの姿はなく、気のせいだと気を取り直して友人の代和木くんの家を訪ねるのです。

代和木君は漫画置き場として使わせてくれないかと言う提案を快く受けてくれるのですが、周りの環境がいけませんでした。
代和木くんの兄が受験勉強真っ只中で、それはもう気が立っていたのです!
やむなく別の置き場所を探しに再び旅を始める一郎。
その道中、ガキ大将的ポジションのデカ山をはじめとした友人達が道路で大暴れしており、そんな彼らに一郎は踏み潰されてしまいます。
怒る一郎ですが、デカ山はいつもの遊び場にマンションが建つことになって使えなくなり、気が立っているんだと逆切れ。
物凄い剣幕に気圧され、一郎はなんとかなだめすかすことしかできないのです。
流石のガキ大将も、穏便に済まそうとしているいわれなき相手をはけ口にすることもできず、どこかへ去っていく……のですが、その際先ほどのカメをボール代わりに使っており、小脇に抱えていることに気がつきました。
そのカメが気になることもありますし、何より生き物をボール代わりにするのはどうかなと思った一郎、なんとかそのカメを譲ってくれないかと頼み込みます。
結局のところ、大荷物の漫画の中から何冊か渡すことでそのカメを買い上げることになりました。
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もしカメに感謝の気持ちがあれば、竜宮城につれてってもらって漫画読み放題にならないかな……などと妄想に耽る一郎。
すると、眠っていたらしいそのカメが起き出して顔を出しました。
そのカメことベラボーは、
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しゃべるどころか顔を風船のように膨らませてどこかに飛んで行ってしまったではありませんか!
あのカメは何なんだと考えたらいてもたってもいられません。
一郎は飛ぶように家に帰り、百科事典で調べだすのでした。

その様子を見たお父さん。
勉強に目覚めたんだ、と感心して調べモノを手伝ってくれます。
カメを調べるなら動物図鑑の両生類のページを見ればいい。
なんか間違っている気もしますが、パパの好意に甘えて「二本足で口をきき、空を飛ぶベラボーと言う名のカメ」と素直に調べモノの内容を伝える一郎。
そんな注文をされれば、理屈第一のパパがからかってるのか!?と怒り出すのも無理はありません。
慌てて逃げ出すと、先ほど持っていった漫画に躓いて廊下にばら撒いてしまいました。
まだ捨ててなかったのか、こんなものばかり見てるからそんなカメのでたらめを言うんだと怒り心頭のお父さん。
ホントに見たんだという一郎に対し、じゃあ一時間以内につれて来い、でなければ燃やす!と恐ろしい交換条件を持ち込んできたのでした!!

必死の思いでベラボーを探す一郎。
ですがその最中により一層気が立っていたデカ山に出くわしてしまい、襲い掛かられてしまいます。
なんとか隠れてその場をやり過ごすことのできた一郎ですが、そのタイミングで空飛ぶ円盤を探しているらしいベラボーと出会うのです。
タイミングはともかく、これで助かったと自分のうちに来てくれるようお願いする一郎。
ですがベラボーもタイミングが悪かったようで、すたすたと走り去って言った上、アラヨと言う掛け声と共に地面に吸い込まれて消えてしまったのです!!
またまたベラボーにびっくり仰天した一郎、その場所を探ってみるとそこには何か赤い石のようなものが張り付いています。
ここでベラボーがとんとん跳ねてたな、とその行動を再現してみると、一郎もまた地面に吸い込まれてしまいました!
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その先には物凄く広大なトンネルと言うか建物と言うか、空間が拡がっています。
出口もわからない空間の中で、さまよう一郎。
うっすら涙がにじみ始めたその瞬間、奇妙な音が耳に入ってきました。
その音の聞こえる部屋にはいってみると、そこには見たことのない機械がわんさかあり、その奥ではベラボーが鳴いています。
奇妙な音はベラボーの泣き声だったようで。
事情を聞いてみると、どうやらベラボーは同行していたはずの飼い主の宇宙人と共に地価へこの広大な施設……別荘を作っていたのですが、忘れ物をした飼い主に置き去りにされてしまったようなのです。
しかもその飼い主が戻ってくるのは3万年後……!!
ベラボーは物凄く落ち込んでいますが、一郎もまた漫画が焚書の危機にあるところ。
事情を説明すると、それは気の毒だ、とベラボーは快く同行してくれることになったのでした。

お父さんはベラボーを見てもその存在を信じてくれず、むしろ自分がおかしくなったんだと大慌て。
やむなくベラボーは持ち前の超能力のようなものでお父さんの記憶をいじり、ベラボーのくだりと漫画の件についてのことを忘れさせてくれました。
これにてこの事件は一件落着。
こうなれば気になるのはベラボーの身の振り方です。
あてがないならウチへ来い、友達になろうと提案する一郎。
ベラボーもまたその提案は魅力的なようで、どうせ三万年留守なんだから、と変わりにあの広大な別荘を貸してくれるというではないですか!
あの赤い石は世界のそこかしこにあり、この別荘への出入り口になっているんだとか。
高速で移動できる動く床や、数多くの部屋、思ったものを作り出せる不思議な装置。
そんな数々の胸躍る秘密基地を手に入れ、一郎は声高に宣言するのです!
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「ここでうんとマンガを読むぞ!」と……!!

というわけで、不思議な宇宙生物のベラボーと友達になった一郎。
この出会いのお話は比較的普通のドラえもんタイプのお話の導入です。
ですが違うのはここから。
ベラボーの不思議な力で日常にいろいろトラブルが巻き起こる、と言う要素ももちろんあるのですが、なによりこの秘密基地がお話の大部分を占めるのです!
この秘密基地が町中の子供たちの遊び場となり、一郎はその「少年の町」の町長になることに。
ひとつの特殊な舞台が物語の中心となり、そのリーダーに主人公が就任する。
F先生作品としては実に珍しいシチュエーションの物語となるのです!

この他にも珍しいところが数多くある本作。
理屈っぽいお父さんにおおらかなお母さんなどのほかとは違った設定の両親、一話中の三分の一くらいオバケのQ太郎が出ずっぱりになる、コラボレーション色が強い作品や、少年の町に大人が押しかけてきて商売の場にしようとする生々しいお話……
何より異色なのは、本作は一郎とその両親、そしてベラボー(とQちゃん)以外のほとんどのキャラクターが当時のアシスタントであったしのだひでお先生の筆によるものだと言うことでしょう!
脇役の男キャラなんかは、A先生風味やF先生風味、それに赤塚先生先生のテイストも感じられる筆致なのですが、女性キャラがとにかくしのだ先生独特な画風。
そんなほかのF先生作品では感じられない、本作ならではの味わいを堪能できるのです!!

数あるドラえもんタイプ作品の中でも異色な、「藤子・F・不二雄大全集 ベラボー」は全国書店にて発売中です!
異色具合では「仙べえ」に勝るとも劣らない本作。
勿論変わっているからといってつまらないと言うわけではありません!
他作品と変わらぬ面白さもしっかり提供してくれる内容に仕上がっておりますよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


藤子・F・不二雄大全集 ベラボー: 藤子・F・不二雄大全集 第3期
小学館
2011-11-25
藤子・F・ 不二雄

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いたしますのはこちら、「リコとハルと温泉とイルカ」第1巻です。
アスキー・メディアワークスさんの電撃コミックスより刊行、月刊コミック電撃大王にて連載されています。

作者はヒジキ先生。
ヒジキ先生は同人活動などを経て、09年ごろから商業誌で活躍されているようです。

さて、本作は部活動を中心に据えた日常ものです。
といっても運動部ではありませんし、音楽なんかをやる文化系でもなければ、実態のない名ばかり部でもない、一風変わった部活動を行っております。

電車に乗って、たった一人で「いるかわ」なる駅にやってきた少女、黒崎リコ。
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目的地について早々、駅前にコンビにすらない見事な田舎っぷりにびっくり。
そして、バスが来るまでに45分待ちと言う事実にまたびっくりするのです。

客待ちしているタクシーの運転手さんも絶賛居眠り中。
たたき起こ差鳴ければいけないほど大急ぎでもありませんし、途方にくれていたところ、きちんと(?)お迎えが来てくれました。
迎えに来てくれたのはこれからお世話になるお家のお母さんでした。
リコを育ててくれていた母が海外に行くことになり、母には頑張って欲しいと考えているリコは二本に残って生活をする道を選んだようで。
不安は多いながら、新たな生活の場となる地……桜田家に着くのでした。

桜田家は旅館と見紛うばかりの大きなお家です。
さっそく庭で野良仕事か何かをしていたお父さんが出迎えてくれるのですが、幼稚園くらいのころリコと一緒に遊んだこともあるという歳近い幼馴染、ハルとコウは部活やら何やらでその場にいない様子。
流石にそんな昔のことは覚えていない、ともらすリコですが、門の前にまで来るとふわっと当時の記憶が映像となってよみがえって来ました。
その映像の中の少女に導かれるように小走りで駆け出してしまうリコ。
ですがそのためにお母さん達の制止する声などが聞こえず、ぬかるみに足を取られて転んでしまいます。
髪の毛までドロドロになってしまったリコ。
不運は不運ですが、ちょうどいいとばかりにお風呂を勧められるのです。
この桜田家自慢の、露天風呂を!

庭石のようなものまでセッティングされ、いよいよ旅館のような風情の露天風呂に入るリコ。
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その眼前に広がる光景にはやはりどことなく見覚えがあり、案外覚えているもんだなぁ、などと考えながら体を温めているのですが、そこに
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ひとりの少女が飛び込んできて、大騒ぎするではありませんか!!
わけがわからないリコを、とにかくここを出た方がいいと手を引いて連れ出そうとする少女。
なんとこの露天風呂、外から覗かれないように築かれている壁が一部はそんしていて、そこから丸見えだというのです……!!
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覗かれていた(近所のおじいちゃんでしたが)ショックで落ち込むリコ。
そんなリコを連れ出そうとする先ほどの少女こそが、例の幼馴染のハルでした。
今は一人にしてくれと言うリコを強引に連れ出し、ハルはある窓の前に立たせます。
そこから見えたのは、別のお家の丸見え露天風呂!!
露天風呂に入るには、ご近所さんから見られる覚悟がなきゃあ入れない。
だから壁を直してなかったのは悪かったけど、許してくれ!とわけのわからない弁解をするハル。
そのあまりのわけのわからなさに、思わず笑ってしまって全てを許してしまうのでした。

ハルはリコの胸元を見て興奮して鼻血を出したりする、アレな子のようで。
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ですが天真爛漫な良い子であるのも事実。
幼いころ、リコと遊んだことはすごく楽しかった思い出として覚えている。
明日から新学期だし、これからもすっごく楽しみだ……そう笑顔で語るハルを見て、リコもまた胸中に何かを沸きあがらせていたようです……
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その後、新たな学園生活を始めたリコは「元モデル」と言う経歴を買われ、ハルが部長を務めるイルカ部に入部することになります。
イルカ部とは、この伊流川町の観光スポットや名所なんかの宣伝をメインに活動する伊流川町広報部。
そのほかにも学校のいろんな部活のお手伝いなんかをする、何でも矢みたいなことをしている部活です。
そこでリコは観光親善大使に任命され、顧問であり担任の倉本先生や、広報部としての活動である観光パンフレット作成のレイアウトや写真撮影を担当する茜、葵の双子姉妹と共にこの町のいいところを見て歩くことに。
親元を離れる不安からか、暗く沈みがちだったリコもその騒がしさの中で徐々に笑顔でいる時間が増えていって……
不安でいっぱいだったリコの先行きは、暗いものではなさそうです!!

というわけで、さびれた田舎町での広報を行うことになる本作。
広報部と言う活動はあるものの、その実、いろいろな人と出会いながら温泉街の観光スポット的なところを仲良しグループで回っていく、日常ものとしての側面が強くなっていきそうです。
こういった近年流行の女性キャラ中心日常モノのご他聞にもれず、本作も多くの女性キャラが登場。
とりわけ目を引くのが前述のハルだけでなく、そのほかの人物もそこはかとなく百合の風味を含んでいるキャラが多いところでしょうか。
前面に押し出すほど多くもなく、下品すぎない百合描写はお好きな方はいうまでもなく、それほど好きじゃない方でも抵抗は少ない味付け程度におさまっております!

寂れた温泉町での観光広報大作戦、「リコとハルと温泉とイルカ」第1巻は好評発売中です!
日常モノと部活モノをバランスよくミックスした本作。
キャラ紹介で終わった感じの今巻移行の展開がどうなるのかが気になるところですね!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


リコとハルと温泉とイルカ 1 (電撃コミックス)
アスキー・メディアワークス
2011-11-26
ヒジキ

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本日紹介いたしますのはこちら、「よつばと!」第11巻です。
アスキー・メディアワークスさんの電撃コミックスより刊行、月刊電撃大王にて連載されています。

作者はあずまきよひこ先生。
本作の紹介は「あずまきよひこ」のテーマにてまとめてさせて頂いておりますので、よろしければご一緒にご覧くださいませ。

さて、よつばの新鮮な出会いの日々を描く本作。
本作でもいつものような日常が描かれていきます!

カメラ。
携帯カメラなんかが日常化している今、大人ならばそうでもないアイテムですが、子供の……それも人一倍好奇心にあふれているよつばにとっては垂涎なんてもんじゃない夢の機械です。
その日も高速で動いている自分をとーちゃんに撮影してもらい、ぶれている自分を見てはしゃいでいたのですが、やはりそれだけでは満足などできません。
いろいろ撮影してみたい欲が鎌首をもたげ、そのカメラを貸してくれと頼むのです。
勿論よつばになど貸してしまえばカメラの命は風前の灯も同然。
とーちゃんは即座に嫌だと断り、よつばはそれでも貸してと駄々をこねるのですが、今回はそれでは終わらないのです!
そっととーちゃんが取り出した小さなバッグ。
その透明なバッグの中には、更に小さな機械……カメラが入っているではないですか!
もしかしてそれはカメラなのでは!?
よつばは目を輝かせて飛びつきます。
とーちゃんはちょっぴり意地悪をしながらもよつばにそのカメラを上げるのでした。

早速カメラで遊び始めるよつば。
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最初ははしゃぎながら撮影したためにぶれまくりの恐怖写真が取れたりもしてしまいますが、あとはわりといい感じに撮影は成功します。
やがてよつばはとーちゃんばっかり撮っても仕方が無いと、外に出て行きました。
お家や人の顔に見える側溝の蓋、お花や犬や飛行機雲……目に移る興味を引くものすべてを片っ端から撮っていくよつば。
仁王のようなご尊顔のおじ様を勝手に撮影して怒られたりもしますが、
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そこで人のことを許可なく撮影してはいけないことを学ぶこともできました。
気を取り直し、街で見かけた赤ちゃんや自転車屋のひげもじゃをちゃんと許しをもらってから撮影。
あさぎや風香や恵那、みうらにダンボー……まだまだ撮影しなければいけないお友達は沢山います。
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こいつはいそがしくなってきやがった……
よつばはわくわくに胸を沸き立たせるのでした!!

道すがら、最近知り合ったうどん屋さんのオヤジさんを撮影しつつみうらの家に向かうよつば。
家を訪ねてみうらを呼び出そうとするのですが、何せ彼女の家は高級マンション。
どの部屋なのかいまいちきちんと覚えていないよつばは、同行するジュラルミンに尋ねながらほぼカンでインターホンを押すのですが……やはりそう上手くみうらの家にはつながりません。
2件ほどチャレンジして駄目だったため、よつばはとぼとぼとお家に帰ろうとするのですが、運よくそこに学校から帰ってきたみうらがやってきたのです!

みうらはこれから恵那のうちに遊びに行くということで、これ幸いと同行するよつば。
その道中でも、キックボードに乗るみうらを撮ったり、逆に自分を取ってもらったりとカメラが大活躍します。
そんなノリノリ状態のよつばですが、大きな障害が立ちはだかります。
門越しとは言え、ワンワンと容赦なく吠えてくる犬です。
露骨におびえるよつばをみて、怖いんだろうと茶化すみうら。
よつばは負けじとばかりに犬なんて怖くないアピールをするのですが、その際に「いぬよりつよいくま」がいるとして差し出したジュラルミンがいけませんでした!
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がぶりと頭からかじられ、奪い取られてしまったのです!
かじったままブルンブルンとジュラルミンを振り回す犬。
取り返したいところですが、実際はビビりのみうらも猛り狂う犬を見ては手出しなんてできっこありません。
そこで、助けを求める(ように見える)ジュラルミンの瞳を見たよつばは発奮!
逆に犬に吠え返し、門に体当たりして威嚇したのです!
犬もそんな必死な様子を見てひるんだようで、ジュラルミンを話して後ずさり。
その隙によつばはささっとジュラルミンを回収し、無事に救出することができたのですが……
顔はよだれでべっとべと。
あまりの犬のかほりによつばもみうらも顔をしかめざるを得ないのです。

その後ジュラルミンは恵那家できれいに洗ってもらうことになりました。
最初は洗面器でごしごしやるのですが、お風呂が掃除前で湯船に水が張ってあることに気がついたよつばはジュラルミンをざんぶと水に沈めてしまったのです!
キレイにする分にはいい……といいたいところですが、その場にいた三人はジュラルミンの中に鳴き声を出す装置が入っていることを忘れていました。
乾いたらきっとまた鳴くようになるだろう、と考えた恵那はジュラルミンを乾燥機にぶち込むのですが、鳴くようになるどころか
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なんか中でカラカラ音がするようになってしまったのです……!
あわれジュラルミン、その声を永遠に封じられてしまったのでしょうか!?
物言わぬジュラルミンの変わり果てた姿を見たよつばは立ち直ることができるのでしょうか!?
非常に居心地の悪い状況に突き落とされた恵那とみうらも含めた3人と1匹の前に、意外な救世主が登場するのです!!!

というわけで、カメラを手に入れたことをきっかけにジュラルミン負傷事件に発展する今巻。
楽しいはずの出来事が、あまりにショッキングな出来事に変わってしまう……よつばの心中はいかばかりなものでありましょうか。
超ハイテンションから一気にトーンダウンする彼女の姿はかわいそうでもあり、可愛くもあり。
一読者であるこちらとしてはころころと表情を変えるよつばの姿を見守る楽しさを味わうことができるのです!
この一連のお話意外にもよつばは初めての体験を続けます。
宅配ピザ、シャボン玉、栗拾い……その様々な体験の中で、やっぱり明るく楽しい様々な顔を見せてくれるよつば。
そのどれもが読者のどこか懐かしい気持ちや、母性本能のようなものをくすぐってくれることは間違いありませんよ!

毎日が初体験、「よつばと!」第11巻は全国書店にて好評発売中です!
大人が見ればなんでもない、子供が見れば大冒険。
その雰囲気をより一層引き立てる、空気感すら感じさせる圧倒的な筆致は今巻でも健在ですよ!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


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