本日紹介いたしますのはこちら、「エクゾスカル零」第2巻です。
秋田書店さんのチャンピオンREDコミックスより刊行、チャンピオンREDにて連載されています。
作者は山口貴由先生。
本作第1巻の紹介は「山口貴由」のテーマにてまとめておりますので、ご一緒にご覧いただけますと幸いです。
さて、ただ1人遥か遠い未来に目覚めた正義の戦士、葉隠覚悟。
人の気配すら感じられないこの世界で、鉄のバイク「モーントヴォルフ」と、強化外骨格「零」を相棒として、この荒廃しきった世界でも正義を為すためにさまようのです。
そんな中で出会ったのは、零と同じエクゾスカルである「霹」を身にまとう男、九十九猛。
猛もまた正義を為すことを目的としているのですが、その正義は覚悟とは違うようで。
二人は真っ向からぶつかり合うことになってしまったのですが……
猛との戦いを潜り抜けた覚悟は、再び世界をさまよい始めます。
その途中、様々な人……いや、生き物と出会うことになりますが、覚悟が守るべき「牙を持たぬ人々」ではありませんでした。
もはや覚悟がこの世界で目覚めた目的でもあるはずの、牙なき人々はいないのか?
食料の乏しいこの世界で、生き延びるために体内に取り込む活力剤は、体力とは別に精神力を削っていきます。
生存の目的も見つからぬ今、覚悟の精神は焦燥。
このままでは死んでしまうのも時間の問題かもしれません。
自らの命が失われた後、この零を引き継ぐものがいるかもしれない。
そう考えた覚悟は、今までの出来事などを録音しながら旅を続けていました。
そんな時、覚悟の目の前に突如として人影がうつり込みました。
慌ててバイクを急停車させると……目の前に立っていたのは紛れもなく人間。
今まで求めても求めても出会うことかなわなかった人間の姿をついに認めた覚悟は、その人間が厳格ではないかと疑うのです。
何せその人影はまだまだ年若い少女で……
その上、飢餓と極寒が支配するこの世界で、ありえないほどのみずみずしい生命力を放っていたのですから!
少女は、モーントヴォルフの信号を受信してやってきたようで、覚悟を「エクゾスカル零」と呼びました。
どうやら彼女もまた覚悟と同じ、この世界に目覚めた過去の人物らしいのですが……
それでも覚悟は彼女が現実の存在であるとは信じきれません。
ですが、モーントヴォルフのモニターに映し出されていたサーモグラフィーの体温反応を見てようやくその少女が実在しているのだと確信するのです。
そして彼女は、自分から覚悟の首先に手を当て、その存在を確かに証明してくれました。
思わず「暖かいな君は」と感想を漏らしてしまう、久方ぶりに味わった人間の温かみ。
覚悟がついに自分の存在を認めてくれたことを確認したのか、少女はその名を明かしてくれました。
初夜六花(はつや りっか)。
エクゾスカル雪だ、と!!
エクゾスカルを身にまとう体格基準を満たしていない小柄な彼女に、ありえないと感想を漏らす覚悟。
六花は、自分が目覚めたとき覚悟はとなりで寝ていたと言うのですが……
その真偽を確認する前に、その場に新たな人影が現われます。
モーントヴォルフが警告音を放つ、3体の人影。
体が完全に埋もれてしまう雪の中でも自在に動くことが出来るという「砕氷服」をまとうそれは、「人型戦術鬼」なる生物兵器で、六花を守る支援兵士なんだとか。
ですが彼らは、六花と同じようにこの世界で目覚めたその時、六花に対する忠誠心を失ってしまっていたのだそうです。
が、決して単純な危害を加えにきたようではありません。
そろそろ家に帰る時間だ、「ヴァールハイト精神城」へ連行する、と口にしながら構える三体の戦術鬼。
殺しに来たというようなわけではないものの、六花の望まないことを腕づくでしようとしていることは確実です。
降りかかる火の粉は払うのみ。
覚悟は「神武挺身刀」なる刀を取り出し……六花に手渡したのです!
部下の不始末は自分でつけろ、と!
ですが、たかが軍刀で砕氷服に歯が立つかという戦術鬼の言葉に覚悟は腹を立てた様子。
わが愛刀を愚弄したなと静かに言葉を紡いだかと思うと、六花を背後から抱きかかえるようにして、を握った手を上から握りました。
そしてその体勢のまま零を身にまとい、「死に方用意せよ」と戦術鬼を挑発します!
猛然と襲い掛かってくる戦術鬼。
覚悟は六花に「君が切るんだ」と声をかけ……
見事その軍刀で戦術鬼を一網打尽にしたのでした!
荒廃しきったこの世界でも、まばゆいばかりの笑顔を見せてくれる六花。
何故そんな笑顔を浮かべられるのか、覚悟は不思議でなりませんが……
覚悟もまた自分の中に牙を持たぬ人々に刃を向けるものを容赦なく仕留める、死神を飼っている理由がわからないわけで。
その理由を問うことはできないのでした。
というわけで、本作のヒロインが登場する今巻。
同時に、彼女と関係があるらしい、新たなエクゾスカル、「震電」の使い手、動地憐(どうち れん)が登場します。
彼は覚悟や自分達エクゾスカルを「正義失格者」と呼び、なんらかの目的を遂行するために覚悟の命を狙い、戦力を蓄えているようです!
おそらくはこれからしばらく、憐と彼の率いる部下との戦いが繰り広げられていくことでしょう。
六花と憐、そして覚悟の関係性なども含め、今後の展開が気になるところです!
そして前作と言える「覚悟のススメ」のファンにはどうしても気になってしまうのが「戦術鬼」の登場!
「覚悟」では、ラスボスだった散様の部下的な扱いの怪人の名称だっただけに、思わず反応してしまった方も覆いのではないでしょうか!
戦術鬼を駆る憐も、散様のような大物なのかもと言う期待もしちゃいます!
それらの本筋意外にも、この世界が何故こんなありさまになってしまったのかという背景的問題や、誰がエクゾスカルを未来に送り込んだのかという謎、そしてジン元ではないと言う一点でこの世界に生きている生物を殺し続ける覚悟の苦悩など、気になる点がもりもり。
エクゾスカル同士の圧巻の激闘だけでなく、多くの謎やドラマ、そしてなにより「シグルイ」を経て大きく変わったと思われる山口先生の主義主張も感じていかなければなりますまい!
正義失格者の正義を描く、「エクゾスカル零」第2巻は好評発売中です!
「覚悟のススメ」とは違い、主人公の人間的な弱さも見せる本作。
山口先生がどんな物語を生み出していくのか、本作でも大注目ですね!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!