本日紹介いたしますのはこちら、「あやかしコンビニエンス」第1巻です。
ホビージャパンさんのダンガンコミックスより刊行、コミック・ダンガンにて連載されています。
作者はヒライユキオ先生。
ヒライ先生は90年代末ごろから活躍されている漫画家兼イラストレーターです。
代表作は月刊アームズマガジンと言うモデルガン&ミリタリー系の雑誌に連載している「魔法の海兵隊員ぴくせる☆まりたん」。
こちらはその連載媒体が特殊としかいえないような雑誌でありながら(購入者および出版社の方、すみません!)、書籍についている形ながらドラマCD化もされた人気作。
そのほかにもアンソロジーでの執筆やキャラクターデザインなど、様々な仕事をされていらっしゃいます。
さて、本作は田舎のコンビニエンスストアを舞台にした日常漫画となります。
もちろんそのタイトルからもなんとなくわかるようにごく普通の日常ものではなく、ひとつの大きな設定を据えてあり、その設定を中心にした物語が描かれるのです!
大きな木に登って景色を楽しむ少女。
ですがその少女は、足を滑らせて大きな木から転落してしまうのです!
頭を床に打ち付けたのはその少女……ではなく、その少女の成長した姿でしょうか。
眠っていた女の子が電車の座席から転落し、ゆかに頭を打ち付けてそんな夢から覚めたのでした。
ちょうど電車は目的地に着いたようで、その少女、あかりは電車を飛び降りました。
ハルから大学に進学することになり、通学の為におじいさんのお家に住み込むことになったのです。
おじいさんのおうちがあるのは大きな湖のある田舎町。
8歳までは彼女もここに住んでいたそうで、まったく見知らぬ土地ではないと言うのもこの決断に踏み切りやすくしたのでしょう。
そんな彼女は、迎えに来てくれたおじいさんにあることを質問します。
最近どう?と。
どうか、と言うのはおじいさんの家で商っているコンビニの動向。
なんだかお寺のような奇抜なデザインのそのコンビニ、「あやはし」。
人もそれほどいない田舎でやっていけているのかというのが何より心配なわけですが……
なんでもあかりと同じくらいの年の女の子が新しくバイトとして入ったんだそうです。
そのバイトの少女、環はあかりと出会っても一瞥しただけで何も言わずプイと横を向いてしまいます。
ですが仕事は非常によくやってくれているようで、深夜勤務の前に臨時で昼間も働いてくれているようで。
そんな人不足もあるのでしょう。
おじいさんは許可も得ず、勝手にあかりも今日から深夜勤務をさせると言い出したのです!
渋るあかりですが、ご厄介になるおじいさんに働かざるもの食うべからずといわれては頷くしかなく。
環もまた一人がいいというような発言をしたいようなのですが、深夜に女性一人というのも問題ですし……それをかき消すかのようにあかりのバイトは確定してしまうのです。
いきなり始まったバイト生活。
黙々と働く環に、あかりは一方的にしゃべり続けます。
自分もここにくる前は東京でバイトしていたが、深夜はだるい。
しかもこの田舎じゃ深夜にお客さんが来るとも思えないし、なぜ24時間やってるんだろう……などとぼやき節。
環はずっと無視同然にその話を聞き流していたのですが、話題が以前この時間に店を切り盛りしていたおばあさんの話になると表情が変わりました。
2ヶ月ほど前に、おばあさんの飼っていた黒猫のタマが家出した。
その後すぐおばあさんは亡くなってしまい、タマがおばあさんを連れて逝った、などという人もいたんだ。
その言葉を聞いて、環は形相を変えました……が、その瞬間店内の明かりが消えてしまいます。
そしてその闇の中に浮かび上がる、
大きな瞳……!!
息を呑むあかりですが、その瞬間再び店内に明かりがともりました。
その時見えたのは、何も言わず店内から出て行く環。
今のはなんだと考える間もなく、入れ代わるようにお客さんがやってきました。
なんだか小柄なそのお客さん……
ペンギンのような……なんでしょう。
しかもその時ちょうどやってきた、配送業者さんはそのペンギン的な何かが見えていない様子で……
あかりには何がなんだかわからないまま、ペンギンっぽいそれはビールなんかを買い込み、勝手にお金を置いて去っていきました。
お金は足りてるかもしれませんけど、レジと押さないと在庫の食い違いが出ちゃうよ!!……という問題じゃありません!
買い込んだ飲み物で、コンビニ前で宴会を催し始めるそのペンギンっぽいのたち。
正気に戻ったあかりがまずとった行動は、
酒盛りをするペンギンにチョップを食らわし、何時だと思っているのかと注意することでした!!
冷静になったあかりは、そのあとやっとそのペンギンっぽいのがしゃべったり買い物したりしている異常性に驚きます。
そのペンギンっぽいのによれば、なんと彼らはカッパだと言うのです。
そして彼らが言うには、このコンビニは妖(あやかし)……妖怪を相手に物を売ってくれるという、その筋では有名なお店だと言うのです!
カッパたちのあいてもそこそこに、先ほどの配送業者さんが持ってきてくれた商品の検品をしようと店内に戻るあかり。
すると先ほどの河童が持ってきて落としていた、おばあさん手作りのお守りを見つけます。
妖怪相手にも、持ち前の優しさで慕われていたらしいおばあさん。
あかりもまた、そのおばあさんの孫であるわけで。
あかりはおばあさんのあとを継ぎ、この店で働くことを決心するのですが……
環が戻ってきた、と思って振り返ったその先には
大きな黒猫の妖がいるではないですか!
しかもその妖、有無を言わさずあかりに襲い掛かってきて……!!
さらにその黒猫の妖の頭部からは、にょっきりと環の顔が生えているではないですか!
そして環は言うのです。
このみせはおばあさんと私の居場所だ、出て行け!と!!
一体環は何者なのか?
そして働くことを決めて早々ピンチに襲われてしまったあかり。
おばあさんの遺志を継ぐことができるのでしょうか!?
というわけで、妖怪でにぎわうコンビニエンスストアの日常を描く本作。
もうお分かりでしょうが、おばあさんと非常に縁深い存在である環。
彼女とともに、あかりが様々な妖怪と出会い、接客したり世話を焼いたりするおはなしとなっています。
様々な妖怪が出てきて、コミカルな物語が進んでいくこの作品、妖怪ファンにはたまりません!
妖怪はもちろんのこと、環にも意外な趣味があり、可愛らしい一面も見せてくれまして。
萌え要素的なものもバッチリと用意されております!!
妖怪の集うコンビニ、「あやかしコンビニエンス」第1巻は全国書店にて発売中です!
キュートで楽しい日常が描かれる本作。
今巻の最後には大きく話が動くような出来事も起こりまして、これから先も楽しませてくれそうですよ!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!