本日紹介いたしますのはこちら、「軍鶏」第28巻です。
講談社さんのイブニングKCより刊行、イブニングにて連載されています。
作者はたなか亜希夫先生。
本作の今までの紹介は、「たなか亜希夫」のテーマにてまとめております。
よろしければそちらも併せてご覧くださいませ。
さて、いよいよ直接対決となったリョウVSトーマ。
格闘に関してはキャリアがあまりにも違う三人ですが、試合前にリョウが腹を刺されてしまったこと、そしてトーマの天賦の才もあって試合はトーマが有利に進めて行った、かに見えました。
ですがその試合の最中、変化は訪れたのです……
トーマはリョウの底知れない闇に触れてしまいました。
完全に見切っていたかに思えていた、リョウの打撃。
追い込まれたリョウが、土壇場でトーマすら見切ることの出来ないノーモーションではなたれたのです!!
その打撃を食らってしまったことがきっかけとなったのでしょう。
リョウの闇に触れたトーマは、ついに自分の戦法を曲げてしまいました。
決して放つことの打撃を、雄たけびとともに繰り出したのです!!
生まれてはじめて人を殴りつけたトーマ。
そんなことは誰一人として予想していません。
天使とまで称されたトーマが、獣のように敵意をむき出しにして殴りかかるとは。
その様子を見ていた黒川は、トーマでもダメだったのかと踵を返して戦場を後にしてしまうではないですか。
黒川は最期の最期まで、リョウをその闇の中から救い出そうとしていた……のかもしれません。
人気のない廊下に出たあと、黒川はその口から大量の血を吐き出します。
そう、黒川の命のともし火は、その時まさに消えようとしていたのです。
もはや手を尽くしたとしても彼の命を救うことは出来ないでしょう。
しりもちをつき、壁にもたれかかった黒川。
そんな彼のもとに、何の事情も知らないであろう子供が近寄ってきました。
事態が把握できないのか、黒川の前で立ち止まり、じっと彼の顔を見つめるだけの子供。
どうしていいのかわからないのでしょうか、黒川が消えろ、近寄るなといってもその場を動きません。
そんな子供を見かねて、言うことを聞かないとこれだぞ!と黒川は拳を振り上げました!
そこで子供はようやくパパを呼びながら泣いて歩き去っていくのです。
子供を追い払った、自分の拳。
黒川は死の間際に呟くのです。
「この手があったか……」と。
一方のリョウVSトーマ。
殴り合いとなれば、リョウに一日の長があります。
押されていくかに見えたトーマですが、この戦いの中でもそのトーマの才能はみるみると進化を遂げるのです。
大雨でぐっしょりとぬれたマットの上に、両膝をついたトーマ。
その体勢のまま、トーマは打撃戦を挑んできたのです!
マットの濡れを逆に利用し、滑りながら放たれる打撃。
その特異極まりない戦法に、流石のリョウも完全に対応することは出来ないのです。
しかもトーマの打撃は運悪くリョウが刺された腹を直撃!!
リョウは視界がぼやけるほどの限界を迎えてしまうのです!!
もうこうなれば最後の勝負を仕掛けるしかありません。
瞬間、凄まじい速さの膝蹴りがトーマの顔面へと一直線に放たれました!!
ところがその時、まばゆい閃光が会場を包み込みます。
大雨とともにやってきた、稲妻です!!
そしてその雷鳴が、会場を停電させてしまうではないですか!!
誰一人、何も見えなくなってしまった豪雨のリング。
ですがその中でも
リョウとトーマは戦っているのです!!
お互い負けたところで何を失うと言うものでもないはず。
だと言うのに全てを賭けているかのようなこの戦い、勝利をおさめるのはどちらなのでしょうか!?
と言うわけで、長かった(連載中断があったせいもありますけど)VSチームトーマ編が完結した今巻。
黒川も亡くなり、このあとある登場人物が退場してしまうことになりました。
そんな事情もあって、なんとなくこのシリーズが本作の最終章になるような気がしましたが、そんなことはありませんでした!!
すぐに大きな事件が動き出すと言うことはさすがに無く、トーマ編のエピローグ的なお話が続いていくのですが、その中でも確かに次なる嵐の予兆が蠢きだすのです!
トーマとの戦いを終えたものの、リョウにこれで安息の日が来ると言うわけではありません。
彼にはナツミと言う支えなければならない存在がいるのですから。
ですがその支えなければならない対象からも、憎悪の瞳を向けられるリョウ。
そんな彼に、本当に安らげる時がくると言うのでしょうか?
ところがどっこい、今巻でリョウとナツミの心を和ませてくれる、ある新キャラ(?)も登場。
彼が物語の行く末を左右するかどうかはともかくとして、リョウたちの支えにはなってくれそうです!
衝撃の決着を迎える「軍鶏」第28巻は全国書店にて発売中です!
新展開が本格的に始動する前にほんの僅かな休息が訪れる本作。
これからリョウたちはどうなるのでしょう。
彼の持つ重い咎が、彼に単純な幸せを与えることを許さないのでしょうが……
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!