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本日紹介いたしますのはこちら、「進撃の巨人」第9巻です。
作者は諌山創先生。
講談社さんのマガジンKCより刊行、別冊少年マガジンにて連載されています。

さて、知性のある女巨人の正体はやはりアニであることがわかった前巻。
エレンの変身とミカサの瞬時の判断によってアニを捕らえることには成功したのですが、アニはその身を謎の硬質な物体に包んで眠るように沈黙してしまったのです。
犠牲者もでたこの捕獲、アニからこのまま何も聞き出せなければ、完全なる無駄に終わってしまうわけで……
そして何よりもその場を驚愕の底に落とし込んだのは、アニが逃走しようとしたさいに崩落した「壁」からのぞいたもの。
壁の中には、虚ろな目をした……それでも確実に生きている巨人が埋まっていたのです!

一方その頃、更なる凶報が調査兵団を揺るがしていました。
500メートル南方より多数の巨人が接近、こちらへ向かってきている。
それはすなわち、人間界を守っていた壁がまたも壊された……と言うことなのでしょうか?
そうとしか考えられない状況ではありますが、今はそんなことを考えている場合ではありません。
最前線に立つべき調査兵団が今しなければならない仕事はひとつ。
直ちに巨人襲来の恐れのある集落に急ぎ、住人を避難させることです!

壁が破壊されてから、巨人が確認された位置までの間にあるいくつかの集落。
そのあたりがやられてしまったのだとすれば、なんらかの報告があるはず。
それがないと言うことは、扉部分以外の壁を壊されたと考えられるのですが、だとすればその破壊の規模は不明です。
もしも巨大な穴が開いてしまっているとすれば、エレンの巨人化をもってしてもそれをふさぐことが出来ないのではないだろうか。
……ふさげない穴が開いてしまった、と言うことはつまり、人間界の守りの要の一つ、ウォール・ローゼが突破されてしまったということ。
壁を崩壊させた超大型巨人の正体も、扉を破壊した鎧の巨人の正体も、それ以外の巨人の正体も一切わからないままこの日を迎えてしまった。
この事実を、人類の敗北と考えてしまうものもいました。
ですが、まだ立ち向かう意思を燃やすものもいるのです。
戦い続ける限りは負けていない。
その言葉を合言葉に、戦士たちは立ち上がるのです!!

調査兵団は対を東西南北の四つに別け、さらに底から人や集落を発見し次第離散して救出していくと言う作戦を決行します。
その中でも特に南班は壁の破壊箇所の特定と言う任務があるため、人数を多く割かなければなりません。
加えて言うなら、南方から巨人がやってきていると言う状況上、危険度がより大きいのも南班。
誰しもが南班は避けて通りたいと思うのが本音なのでしょうが、そこでエレン達の同期の1人、コニーが言いました。
南に俺の村があります。
もう言ったところで無駄でしょうけど、行かなきゃいけないんです……と。

コニーとともに、ベルトルトやライナーも南班に行くことを決意した矢先のこと。
突如として巨人たちが一斉に走り出し、舞台の方向へとやってきました!!
このままでは舞台をわける間もなく追いつかれてしまいます。
そこで調査兵団の中でリヴァイに次ぐ実力の持ち主だと言うミケがたった一人で巨人達をひきつけることになったのですが……

確かにミケの腕は確かでした。
たった一人で、5体の巨人の撃破に成功。
9体いた巨人も残り4体、これで馬が戻ってくれば逃げられると判断し、馬を呼び戻す指笛を吹き鳴らしました。
太郎と思えば他の巨人もやれるかもしれませんが、時間は充分に稼いだはず。
深追いすれば命を落しかねないでしょう。
そんな冷静なミケに、一つの懸念がありました。
17メートル以上はあろうかと言う、胴体部意外を体毛で覆われている巨大な巨人。
こちらに近づくでもなく、あたりをフラフラしていることから奇行種であることは間違いなさそうなのですが……
何せ今まで見たこともない身体的特徴を持っているのが気にかかって仕方がないのです。
そんなことを考えているうちに、ミケの馬が戻ってきます。
が、
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その奇行種はなんのためらいもなく馬を掴みあげたではないですか!
今までに無い、知恵があるとしか思えない行動をとる奇行種。
さらにそいつはなんと、その馬を
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思い切りミケに向かって投擲してきたのです!!
馬の直撃は避けたものの、退避していた建物の屋根の上から転落してしまったミケは、そのまま巨人に捕らえられてしまいます。
そしてその巨人はミケを食らおうとするのですが、そこに「待った」とあの奇行種が声をかけてきたではないですか!!
それでもミケを食おうとする巨人を、待てって言ったろと言いながら握りつぶす奇行種。
そしてその奇行種がその後何をしたかといえば、
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ミケに「その武器は何て言うんですか?」「腰につけた飛び回るやつ」と言う質問です!!
一体この巨人は何者なのでしょうか!?

そんなミケの前に驚愕が襲い掛かっていたそのころ、コニーたちはコニーの村に無事たどり着いていました。
その村は荒れ果てて、人っ子一人その姿が見えません。
最悪の事態が脳裏によぎらせながら、コニーが自宅に戻ると、そこには家一杯を埋め尽くすような巨人が寝そべっていました!!
すかさず距離を採ってその巨人を包囲する一団ですが、そこで奇妙なことに気がつきます。
この巨人は手足が物凄くか細く、立って歩くどころか這い動くことすら難しそうです。
つまりこの巨人は動けない、と言うこと。
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それならばこの巨人、どうやってコニーの家にやってきたというのでしょうか……!?
そんな謎に頭を悩ませながらも、村の全滅と言う悲しみにくれていたコニー。
ですがここで、この村には死体も血痕も、殺戮の後が何も無いことがわかります。
巨人の気配に気がつき、みんな逃げたんだろうと喜ぶ一同。
ですがカンの鋭いものはそれもなさそうだと言うことに気がついていました。
巨人が誰もいない家をボロボロに破壊することは考えづらいこと。
そして巨人から逃げるためには必須であろう、馬の多くがつながれたままになっていること……
その全てが、「無事に逃げ出せた」と言う穏便なものではないことを物語っているのです。
しかしこの村出身のコニーとしては、いいニュースのほうを信じたいところでしょう。
その事実をコニーに隠したまま、一同は壁の崩壊地点の特定に出発したのですが、その時あの動けない巨人が言ったのです。
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「オ…アエリ…」。
その言葉の意味することはまさか。
そしてその巨人の顔は、なんとなくコニーの母に……
突如として現われる巨人たちは、まさか……!?

と言うわけで、今巻もまたまた急展開する本作。
知性があることを隠そうともせず質問を投げかけてくる毛むくじゃらの巨人。
動けないはずの巨人はどこから現われたのか。
様々ななぞが再び姿を現すのです。
この毛むくじゃらの巨人、機動兵器のことを知らないことなどから考えると、アニのようにいつもは人間として日常を送っているものが、変身している巨人と言うわけではなさそう。
この世界に住む人間達とは別の世界に住むものの存在が明確にしさされたといっても過言ではないのではないでしょうか!!
この要素が物語の根幹にも絡んでくることは間違いないでしょう!!
さらにこの動けない巨人の登場が物語の絶望感をより深めます。
もしこの巨人の招待が、コニーが直感したものであったら?
何者かの手によって……もしかしたらあの毛むくじゃら巨人かもしれませんが……巨人はほとんど無尽蔵に作り出されると言うことになるはず。
このことが巨人に関する謎解きにつながっていくことは間違いないでしょうが、人類の希望となりえるのかはかなりあやしそうです……!

そしてこの他にも、クリスタに関するある事実が判明したり、「壁」に開いた穴を一気に修復する逆転の手段の糸口が見つかったり、ただのハラペコキャラじゃないサシャのエピソードなんかも収録。
最後まで見所満載の1冊になっております!!

毎回の急転直下が今回もやってくる、「進撃の巨人」第9巻は全国書店にて大好評発売中です!!
実写映画化に続き、13年張るよりのアニメ化も発表された本作。
進撃の巨人フィーバーは、まだまだ続きそうですね!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!