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本日紹介いたしますのはこちら、「団地ともお」第21巻です。
作者は小田扉先生。
小学館さんのビッグコミックスより刊行、ビッグコミックスピリッツにて連載されています。

さて、どこまでもバカでたまに鋭い小学生、ともおと団地の仲間達の日常を描いている本作。
連載10周年となる今年、早くも単行本刊行&アニメ化と言ういい話題がガンガン舞い込んできましたが、作中ではそんなおめでたムードなどどこ吹く風、いつも通りの調子でお話は進んで行きます。
笑いあり涙ありファンタジーありの本作の中で、今回は前後編で繰り広げられる長編(?)、「はいからさんは通らないともお」を紹介したいと思います!!

珍しく一家総出で旅行に行くことになった木下家。
お父さんまで揃っているのは実にレアですが、何よりもレアなのは木下家がお泊りの旅行なんかをすることそのものだったりします。
お父さんも奮発したなぁと驚いているのですが、それが実は奮発しなくていいからこの旅行に行くことになったようなのです。
お母さんが見つけたらしい、とあるチラシ。
そこには、「激安パック旅行」とかかれでいます。
明治時代へタイムスリップ、浪漫溢れる温泉宿、秘湯オブ秘湯……
そんな売り文句とともに散々と輝いているのが、1泊2日、家族4人で2万円、と言うお値段設定。
なるほどこの値段ならお母さんも納得であります!
とは言えこのチラシの売り文句を素直に信じていいものなのでしょうか。
お母さんはきっと何百年も歴史がある情緒たっぷりの宿なんだ、といいほうにとらえようとしていたのですが……
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たどり着いてみればその民宿「ロマン」は、いかにも安宿といった感じの汚い建物でした。
想像していたのとは違いますが、とにかく温泉が素晴らしければそれでよしとしようと言うことに。
夕飯前にひとっぷろ浴びに行こう、と木下家は早速温泉に向かうことにしたのでした。

もう既にパンツ一丁になっているともおですが、案内してくれる宿の人は寒いから服を着たままでどうぞ、と言いながら外に出て行きます。
なるほど秘湯と言うだけあって露天と言うわけですか。
大人しく跡についていく木下家ですが、宿の人が立ち止まった地点にあったのは温泉ではなく、トロッコです。
事態が飲み込めない木下家ですが、このトロッコは明治時代にこの地域で活躍していた人車鉄道とやらで、これに乗って20分くらいで温泉に着くんだとか……
ますます想像とは食い違ってきておりますが、とにかくここまできたら温泉に入らないわけにも行かないでしょう。
早速乗り込もうとするのですが、そのときなにやら見るからにピリピリしている老人がやってきます。
宿の先代だと言うその老人、見たとおりなにやらすごく怒っているのですが、トロッコに乗り込む木下家を見て何か決断したようで。
自分が木下家を送って行って、そして犯人を捕まえてやる!と鼻息を荒くするのでした。

トロッコは進んで行きます。
……先代の人力で。
人が押すから、人車鉄道……と言うことのようですが、もうそのあたりには突っ込みますまい。
お父さんが気になったのは、そんなことよりやっぱり先ほど先代が怒っていた「犯人」の件です。
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どこぞのガキの悪戯かもしれんが、と前置きしつつ教えてくれたそのトラブルは、どうやらもうひとつあるトロッコが盗まれたとのことで。
盗まれたばかりなので、追いついて犯人を捕まえてやる!と意気込んでいたわけなのです。
ところがどっこい、その意気込みも上り坂でガス欠になってしまいます。
疲れてしまった先代、お客さんに降りて一緒にトロッコを押せなんていいだす始末。
とりあえず上り坂を超えると後はなだらかで、問題なく目的地に着くはずだったのですが、いつものルートに大きな気が横たわってしまっていて、通れなくなっていました。
やむなくすこし引き返し、レールのポイントを切り替えて別ルートですすむことに。
このトロッコは当時鉱山鉄道も兼ねていたので、色々なルートがこの山に無数に張り巡らされているんだそうです。
無数に張り巡らされているってことは……迷ったりしないだろうか。
そんな不安を、路線ずは全部頭に入っている!と先代は笑い飛ばすのですが……
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気づけばあたりはとっぷりと日がくれてしまっています。
しかもなんだかおんなじと頃をグルグルまわっているような気さえしまして……どうやら完全に迷ってしまいました!!
ですが不幸中の幸い(?)、その迷い込んだ先で盗まれたはずのトロッコがぽつんと佇んでおりました。
そしてその先は行き止まり。
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……20分ほどでお風呂に着くはずが、このていたらく……お母さんはそれはもう怒りまして、お手軽な終末温泉旅行でなんで遭難しなきゃならないの!!と大爆発です!
僧は言いましても、この暗い中ヘタに動き回るのも危険です。
これまた不幸中の幸いといいますか、トロッコの座席の中に毛布があるとのことで、これを使って何とか夜を明かし、宿の人が助けに来るのは待つことにしたのでした……

最初はお母さんにおこられたりしたこともあり、木下家とは別のトロッコで震えていた先代。
ですがおなかが減ったとぼやくともおに、たまたまもっていたチョコを挙げたりしているうちに、双方落ち着いてきました。
最終的には人数多いほうがあたたかいからと言うともおのおんどで、一緒のトロッコで毛布に包まることになります。
そうしているうちに、怒りつかれたのかトロッコを押したりして普通に疲れたのか、眠りに落ちてしまう5人。
目を覚ますと、もうすっかり朝になってるじゃないですか!
いつになったら救助が来るんだ、とお母さんがぼやいたその瞬間のこと!
いきなり見慣れない男が拳銃を突きつけ、手をあげろと命令してきたのです!!
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思わず授業中のように片手をあげてしまうともおは置いておきまして、男はロープで木下家+先代をお互いロープで気に縛り付けあうよう指示してきます。
どうやらこの男がトロッコを奪った犯人のようで、ともおたちに「俺の財宝を横取りしに来たわけではないようだな」とこぼしたことから考えて、この山に宝探しに来た様子。
男は一同がしっかり縛られているのを確認すると、今日は南側を探してみよう、とどこかに去っていってしまいます。
突然やってきてしまった、今までとは違うピンチ!
あの男は命をどうこうしそうな感じでこそありませんが、だからと言ってのん気に縛られ続けていてはどんな目に合わされるかわかったもんじゃありません!
どうにか逃げ出したいと考えるともおの目線の先に、ふっと蓑虫が飛び込んできました。
それを見てピンと来たともお!
厚着してるから、俺抜け出せそう!!
その名案に沸き立つ一同!!
その期待を背にして、必死に体をくねらせてロープから逃れようとするともお!!
ですが体が半分ロープと服からはみ出した頃に……
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寒い、とともおは縛られた服の中に戻ったのでした。
頑張れともお!!寒さに負けるなともお!みんなの命はお前にかかってるかもしれないぞともお!!

というわけで、とんでもない格安旅行を体験することになってしまったエピソードを収録した今巻。
本作としては珍しい、前後編になっているだけあって、笑いあり涙ありと言う言葉がピッタリの展開と結末が待ち構えているこのエピソード。
ともおの底知れぬバカさ加減と時として光るポテンシャル、きらりと光る味をもったゲストキャラ、そう来たかと唸るオチ。
ギャグとじんわりいい話し、と言う本作らしさがギュッとつまった一編になっております!!
もちろんこのエピソード以外も気になるお話が満載!!
頻繁に転校していると言うある男子生徒にともおがアドバイスを下した結果に思わず苦笑してしまう「第一印象は大事だなともお」。
ブレまくるしメンタルが弱いことで有名な、作中作「スポーツ大佐」の作者が登場する「これがプロ意識だともお」。
あのともお以上の自由キャラ、ケリ子のお母さんの人となりが赤裸々に描かれる「剣幕に押し通されたぜともお」。
シンデレラの劇で女役をやることになったともおたちのを二つの視点で描く連作、「人生は演劇だぜともお」「女装GUYだぜともお」……
愉快さ、感動、それぞれ楽しさの方向は違えども、どれをとっても楽しめること間違いナシの22編が収録されているのです!!
もちろん高齢の描き下ろしカットや「スポーツ大佐」も収録!!
今回も最初から最後までお腹いっぱい楽しませてくれる1冊になっているのです!!

めでたくアニメ化決定の「団地ともお」第21巻は全国書店にて発売中です!!
小田先生の作品の中でも最も取り付きやすいといえる本作。
アニメも始まることですし、これをきっかけに未読の方は読んでみていただきたいもの!!
萌えも燃えもほとんどありませんが、小学生のひたすら楽しい毎日が待っていますよ!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!