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本日紹介いたしますのはこちら、「クロス・マネジ」第1巻です。
作者はKAITO先生。
集英社さんのジャンプ・コミックスより刊行、週刊少年ジャンプにて連載されています。

KAITO先生は04年にデビュー後、連載を何度か発表。
沈黙期間などもありましたが、12年に本作と同名の読み切りを発表し、連載となりました。

さて、本作はスポーツ漫画です。
とは言いましても、主人公はとある理由によってスポーツはしません。
主人公の周りのキャラがスポーツ、ラクロスに打ち込むことになるのですが、そのラクロスという題材だけでなく、主人公とそのまわりのキャラの関係性などの図式が、少年漫画としては大変珍しいものになっているのです!!

3学期。
自分にしっくり来る部活を求め、あちこち体験入部などをしている男子がいました。
以前の部活をやめて1ヶ月。
どこか部活に入ることが必須となっているこの学校、何とか居心地のいい部活を見つけたいところですが……
その男子、櫻井が探しているのは文化系の部活。
すでに8箇所ほど巡っているのですが、どれもいまひとつしっくり来ないのです。
さすがにもうめぼしい文科系は巡り終えた感じですし、なにより女子の前だとあがってしまって思うような行動の取れない彼ですから、選択肢もぐっと狭まってしまうわけです。
その日も写真部の体験入部が散々な結果で終わり、家路についておりました。
猫の写真なんかでも取ろうとしたものの、さっと逃げられてしまったりと……どうも写真との相性もよろしくないようで。
くそっと誰にともない悪態を吐きつつ立ち上がると、彼の耳に奇妙な叫び声が聞こえてきました。
どうやらその声、高架下の空き地から聞こえてくるようで。
その声をたどっていくと、一人の女生徒がなにやら球技の練習をしているようです。
楽しそうに練習に打ち込む彼女の笑顔。
それに眩しいような何かを感じた櫻井は、思わず彼女にカメラを向けてしまうのです!
が、その直後、彼女が投げた球が誤って桜井の直撃してしまうのでした……

彼女は豊口。
櫻井と同じ1年生です。
流れで櫻井は自分を直撃してどこかに行ってしまったボールを、彼女と一緒に探すことになってしまいました。
彼女がしていたのはラクロスの練習だとか、
櫻井がラクロスを一応知っていることを知ると、豊口はなんだか知りませんが目を輝かせながら物凄い勢いでラクロスの説明をしてくれます。
ひとしきり怒濤の説明を終えた後、彼女は今までこんなに何かにはまったことはなかった、一人で練習してても飽きないと言い、更に櫻井に何かスポーツはやってるか?と尋ねて来ました。
その質問を利いた櫻井の顔はあからさまに曇るのですが……いや、とだけ返事をした彼の表情に豊口はまったく気がつきません。
見るのも楽しいけど、やっぱりスポーツはやらないと!櫻井君もやってみたら?と満面の笑顔で続ける豊口。
うまくできないし、嫌いだし……と気のない返事を返す櫻井に、ちゃんとやったら楽しい、私はヘタだけど本気でやってると楽しい、とさらにおしつづけるのです。
「それはお遊びだからだよ」
櫻井はニコニコと話す豊口にそんな言葉を投げかけました。
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下手でも楽しい、なんてないんだ。
スポーツは結果がすべて、本気なら本気であるほど、うまくできなきゃ意味ないんだ。
丁度見つかったボールとともにその言葉を豊口に放る櫻井。
そのまま立ち去ろうとするのですが、そんな櫻井に豊口は反論するのです。
意味あるよ、結果は大事かもしれないけど、それがすべてなんておかしい!
君の考え方キライ!
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その場は嫌いで結構だと言い残して去っていった櫻井ですが、その夜。
一人、櫻井は思うのです。
……オレだって、と。

時は流れ、櫻井は2年生になりました。
クラス替えがおこなわれ、C組だった櫻井は今年からB組です。
そしてなんとA組だった豊口もB組になっていまして……あれからまともに顔をあわすことのなかった二人は、同じクラスになってしまったのです。
当然といえば当然ですが、豊口は櫻井に冷たい態度を取るばかり。
まさに取り付く島も無いと言った感じで。
なんか釈然としませんが、櫻井は直接怒りをぶつけることもできずに日々をすごすしかないのです!

櫻井は結局、知人の鳥海に誘われたこともあって囲碁将棋部にはいることにしました。
やってみれば将棋は面白いもので、結構本気でのめりこんでいく櫻井。
ですが周囲はイマイチやる気が無く、部員といえばイケメンの先輩に群がる女子達と、その女子たちに群がる男子生徒といった感じで……
そのノリに櫻井はついていけないのです。
そんな櫻井は、帰宅途中に毎度見かける豊口の練習風景が気になってなりません。
素人が見ても、どうだろう?と言う練習方法を続けている豊口。
もっとこうしたらいいのに……と心の中では思うのですが、自分が口を出すのもと考えたのか、気にかけながらも櫻井はスルーし続けるのでした。

そんなある雨の日のこと。
対局中に駒をぐしゃぐしゃにして試合をメチャクチャにしてしまった鳥海に、思わず櫻井は怒りをあらわにします。
ですが例のイケメン先輩に、そう熱くなるなよ、楽しくやろうぜ、「お遊び」だろ?と諌められてしまいました。
お遊びだろ?
その言葉は、櫻井の胸に突き刺さります。
鳥海の、まさかプロとか大会とかでる気か?オレ熱血とかパスだよ、と言う言葉に、桜井は俺だってそんな気ないよと返すのですが、
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その顔はあまりにも悲痛な表情を浮かべていたのです。

帰り道。
土砂降りの雨だと言うのに、豊口は傘もささずに練習をしていました。
ぬかるみに足を取られたのか、足を捻って倒れこんでしまう豊口。
その姿を見た瞬間、櫻井は彼女に駆け寄って、すごい剣幕で足の具合を診断したではないですか!
どうやら大事には至っていないことを確認した櫻井はほっとひといきつくのですが、すぐ自分が女子の足に触りまくっていたことに気づいてビビりまくってしまいます。
が、今度は豊口がその膝にたくさんの絆創膏を貼っていることに気がついてまた怒るのです!
怪我を勲章とか思ってんなら大間違いだぞ、故障したら元も子もないだろうが!と!!
練習は闇雲にやっても仕方がない、と怒鳴られた豊口は、しゅんとなりながら櫻井に聞くのです。
じゃあどうしたらいいの?うまくなるにはどうしたらいいのか、わかんないんだもん。
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調べてもよくわからない、楽しいけどみんなと同じことしても全然うまくならない……
そんな豊口の姿を見た櫻井、おもむろにクロスを拾い上げ、何投かボールを放ってみます。
そして最後の一球は、目が覚めるような鋭い投球をしてみせて……!!

自分なりの理論でもって、豊口にアドバイスをする櫻井。
その教え方は素人なりに適切なものだったようで、指示どうり投げてみた豊口の一球は、いままでとは見違える鋭さをもったものでした!
その一球を投げた豊口の顔は、今まで見たことのないすっきりとした笑顔で。
その顔を見て思わず目をそらしてしまう櫻井でしたが、豊口はそんな櫻井の手を握って櫻井にすごいすごいと感謝の意を示しまくり!
挙句の果てにはラクロス部にはいって!と無茶を言い出すのです!!
ラクロス部は女子部員オンリー。
男子マネージャーとしてはいればいい、と豊口は思いつきで言うのですが、流石にそれはどうでしょう!
何とか説得しようと豊口は櫻井のバッグを人質(物質?)にとり、はいってはいってとおねだりします!
櫻井はバッグを取り返そうと手を延ばすのですが、その際
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豊口の胸に手をうずめてしまうのです!!
わかりやすく狼狽する櫻井に、自分も悪かったし、と謝る豊口。
ですがすぐはっと何かに気がついたような表情を浮かべ、ニッコリと笑ってこういうのです。
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許してやんない、つぐなおっか櫻井クン。

そうして始まってしまったのです。
櫻井くんの、曲者揃いな女子ラクロス部マネージャーとしての日常が!!

というわけで、女子ラクロス部のマネージャーをすることになってしまった本作。
少年漫画、特に週刊少年ジャンプでは珍しい女子のスポーツ物で、さらに主人公はそのマネージャーと言う実に珍しい設定尽くしの題材となっています!
お話は基本的に豊口と櫻井のやり取りを中心に展開。
主人公の立ち位置は特殊ですが、最初はやる気の無かった櫻井が、豊口の熱意にうたれただんだん本気になっていく、という物語の骨子自体はスタンダードなもの。
その過程で描かれる、櫻井や豊口の苦悩、他の部員達とのちょっとした軋轢、弱小チームの苦悩などが丁寧に紡がれているのです!
まだまだ今巻では登場キャラクターの顔見せすらも終わっていない状態。
それでも物語りは徐々に動き出し、恋愛要素も見え隠れし始めまして……
恋愛要素、スポーツ要素、そして櫻井の過去といったドラマ面、様々な要素で先が楽しみです!!

珍しい題材を取り扱った、「クロス・マネジ」第1巻は全国書店にて好評発売中です!!
指導者側の主人公に、マイナー+女子のスポーツという、少年漫画らしからぬ要素が目を惹く本作。
物珍しさだけではない面白さもしっかり備えていますよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!