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本日紹介いたしますのはこちら、「空が灰色だから」第5巻です。
作者は阿部共実先生。
秋田書店さんの少年チャンピオンコミックスより刊行されました。

さて、心に波紋をたてる様々なショートストーリーを描いていく本作。
今巻でも実に様々な心を動かすお話を紡いでくれています!

朝。
登校してきた唐井は、クラスメイトの川江と鈴田に挨拶をします。
受験勉強だるい、学校つまんないから早退しようかな、などと好き勝手なことを言っていた川江と鈴田、唐井に対しても好き勝手な発言を投げかけるのです。
オリジナル一発ギャグやって盛り上げてよ。
突然振られた唐井、咄嗟に両手を頭上に挙げて三角形のような形を作りながら、「金閣寺」と連呼する……まぁ微妙なネタを披露します。
さぞや空気が凍りつくであろう……と思いきや、川江と鈴田はまさかの完全スルー。
ちょっとあれ見てよ、と壁際の席で座っている眼鏡の少女、水戸を指差したのです。
3年生になってもう3ヶ月も経つと言うのに、いまだ誰とも会話をしている姿を見かけることがない、いうなれば友達のいないひとりぼっちさんらしい彼女。
あろうことか川江と鈴田は、今の一発ギャグがつまらなかったから罰ゲームだ、と称してつまらないもの同士水戸とちょっとの間友達になれ、というのです!
イヤに決まってると返す唐井ですが、ノリが悪い、だから唐井はつまらない、といわれてしまっては彼女もそれ以上強く断りきれません……

川江と鈴田の命令にしたがい、あの金閣寺のギャグを挨拶代わりに水戸に今日一緒に帰ってくれない?と語りかける唐井。
すると水戸、
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なんとあの金閣寺のギャグで大爆笑!!
なぜか彼女のツボにはまってしまったようです!
思ってた通りイタイなこいつ。
唐井はそんなことを思いながらも、川江と鈴田に嫌われたくない一心で彼女と一緒に下校するのでした。

下校中、水戸はあの金閣寺のギャグを炸裂させてくるなど、ノリノリで話しかけてきます。
何で急に話しかけてくれたのか?という質問をされて唐井は一瞬つまりますが、自分がつまらないからグループを抜けさせられたんだ、とうまいこと取り繕うことができました。
すると水戸、わかる、唐井さんは地味だからあのグループから浮いてる感じだもんね!と予想外の毒舌を放ってきたのです!
すぐ水戸はゴメン、私よく天然って言われるの、とセルフフォローしつつ、あの金閣寺のギャグは素晴らしい、お笑い通の自分を唸らせるなんて、今度DVD貸してあげるよ、とマシンガンのように話し続けていきまして。
ひとしきり話した後、唐井には趣味はないのかと尋ねて来ました。
唐井は一言、将棋、と答えます。
ですが残念ながら対戦する相手もおらず、たまに会うおじいちゃんに教えてもらったり、ネットでもたまにやるものの、相手は強いし味気ないし、かといって学校に将棋部なんてないしとイマイチ楽しめていないのです。
言うまでもなく、川江と鈴田は対局相手になってくれません。
それどころか馬鹿にされるかも、と思って話してすらいなかったんだそうです。
それを聞いた水戸、じゃあ私おぼえてみるよ、よかったら教えてね、今度対戦しようよ!と笑顔で提案してきたではないですか!
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予想もしてみなかった反応。
唐井が嬉しさや気恥ずかしさなんかを感じているうちに、水戸は携帯の番号を聞いてきます。
素直に教えると、初めて友達の番号が携帯に登録されたよ、水戸さんはナンバー3だよ、と嬉しそうに画面をみせてくれまして。
ビデオ屋とかの番号を登録して水増しすればいいのに、と唐井は思うのです、が……

その後水戸の提案で、二人は近くのジョスコにより、その中の本屋さんに立ち寄ります。
1度でいいから友達と寄り道してみたかった、制服でスーパーなんて始めて、不良みたい!とはしゃぐ水戸ですが、唐井からするとなぜ本屋なのかが気になるようです。
水戸がさっと手にとったのは、「将棋完全書」なる将棋の入門書的な本でした。
これで私も将棋覚えて唐井さんと対戦だ!とまたまた満面の笑みで語る水戸。
ですが以外のその本はお高く、定価の半分くらいしか水戸の手持ちはありませんでした。
そこで唐井は、私もその本欲しかったし、二人の共用ってことでいいだろ?とおもむろに残り半額を手渡したのでした!!

翌日も水戸は、あさから金閣寺でご挨拶。
そして将棋は難しい、まず駒の名前と役割を覚えるのが大変だ、と唐井に助けを求めてきたのです。
水戸は「歩」は自分の名前が歩(あゆみ)だからわかるものの、この何とか馬はすぐど忘れしちゃう、と困り顔。
そこで唐井は、「桂馬」だよ、私の名前は桂(けい)だからそれで覚えられるだろ、とアドバイスするのです。
すると水戸はまた大はしゃぎ。
すごい!将棋で繋がった2人の名前がどっちとも駒の名称だなんて!
私達の出会いは運命だね!!
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あまりにも素直で、純真で、いいやつな水戸。
彼女の行動に、唐井は確実に惹かれていくのでした。

どんどんと二人は仲よくなっていきました。
ですが1週間が過ぎたこと、川江と鈴田は唐井に言うのです。
お疲れ、今日で罰ゲームは終了だから。
今日は水戸さんにドッキリの種明かしをしてあげるんだよ。
まさか水戸さんに本気で友情感じてるんじゃないよね?
あの子暗くてダサいじゃない、一緒にいるとイタくてこっちが恥ずかしいでしょ。
まあ別に水戸さんと仲よくしたいならそれでもいいけどさ。
私たちとは絶好だから。
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そんなとき、何も知らない水戸がその場にやってきました。
金閣寺のギャグをとばしながら、日曜日うちに来ない?すごいもの買ったんだ、といいながら。
そして川江と鈴田は笑いながらいうのです。
ホラ来たよ、どうするの唐井、と。
……選ぶべき答えは、決まっているでしょう。
それは唐井にもいやと言うほどわかっているはずです。
……ですが、唐井の口から水戸に告げられた言葉は……
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今日から友達じゃないから。
罰ゲームだったんだよ、悪い、と言う、言葉だったのです……
だから、だから。
その後に続ける言葉が見つからないまま、視線を水戸にうつすと。
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うん、わかってた。
友達になってくれてありがとう。
じゃあね唐井さん。
水戸は笑顔でそういうのです。
頬に大粒の涙を伝わせながら……

あまりにも愚かな答えを、選ばざるを得なかった唐井。
彼女はそんな自分を許すことはできるのでしょうか。
物語は、唐井の悲痛の心境で幕を引くのです……

というわけで、変わらぬ心のざわめきを呼ぶ物語が紡がれる本作。
なんと本作、今巻で最終巻!
そしてこのお話が、最終話となっているのです!!
最後の最後に、非常に本作らしいいつも通りの話で締めてくれるあたり、阿部先生のただならなさを実感させてくれますよ!!
もちろんこの他にも、ショッキングなお話からコメディまで様々収録!
胸が締め付けられるような、呼吸が深くなってしまうような、そんな読後感の悪い物語。
かと思えば、キュンキュン来る心温まる物語。
あの手この手で読者の心に揺さぶりをかけてくるのです!!
恒例のカバー下の後日談的漫画等オマケも収録で、とことん楽しませてくれますよ!!

衝撃の問題作の完結巻、「空が灰色だから」最終第5巻は全国書店にて大好評発売中です!!
ネガティブ方面にもポジティブ方面にも読者の心を動かした本作も完結。
ですが現在別冊チャンピオンで連載中の「ブラックギャラクシー6」に、3月にエレガンスイブ増刊、もっと!で連載開始が予定されている「ちーちゃんはちょっと足りない」と、阿部先生の活躍はまだまだ続きます!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!