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本日紹介いたしますのはこちら、「失踪人ハンターエル」第1巻です。
作者は深山雪男先生。
双葉社さんのアクションコミックスより刊行、漫画アクションにて連載されています。

深山先生は96年にちばてつや賞の大賞を受賞しデビューした漫画家です。
その後00年から安部譲二先生原作の「アプサラス」を連載し、04年より現在も続いている「ルパン三世M」シリーズの作画を担当されております。
本作は、そんな深山先生初となる完全オリジナル作品の単行本です!

さて、本作はいわゆる探偵モノです。
もはや女子高生探偵という題材は昨今珍しくありませんが、本作最大の特徴はタイトルからもわかる通り「人探し」に特化していること!
人探しだけで一体どのような物語が繰り広げられるのでしょうか?

夜のお台場。
そこで、坂本は恋人のゆりに正式なプロポーズをおこなっていました。
緊張し、ガチガチになりながらも指輪を差し出す坂本。
まだ付き合って三ヶ月というごく短い付き合いではありますが、真剣に考えた結果だとのこと。
平凡なサラリーマンだし、貯金もそこまではない。
特技だって人よりすこし物覚えがいいくらい……
そんな自虐的な言葉とともに必死に搾り出したプロポーズ。
ゆりは、すこし驚いたような顔をした後に、私嬉しいよと答えてくれました。
ということは、プロポーズを受け入れてくれたということでしょうか?
ところが彼女、すぐそこにあったコンビニを指差して飲み物を買いに行くと言い出したのです。
のどが渇いちゃったのと笑う彼女。
急な告白で戸惑うこともあるのでしょう。
心の整理をつけるためにそんなことを言ったのかもしれません。
彼女、すこしはなれたところで立ち止まってこちらを振り返りました。
そして坂本に向かって何か言ったようなのですが……
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その言葉は聞き取れず。
そのままコンビニのほうへ消えていく彼女を、坂本は見送るのでした。

ところが、待てど暮らせど彼女は帰ってきません。
電話をかけてみても圏外で通じず、彼女が言ったはずのコンビニに行ってもそんな人は来ていないの一点張りなのです。
そう。
彼女はそのまま、忽然と消息を絶ってしまったのです……

坂本はネットにある人探し掲示板に書き込んで情報を求めたり、警察を尋ねてみたり、彼女の住所を会社に問い合わせようとしましたが、いずれも空振り。
警察は民事不介入と冷たいですし、会社も個人情報は教えられないと言うのです。
会社を騒がしている、機密のはずの新製品の情報が漏れていることも彼にはもうどうでもいいこと。
とうとう耐え切れなくなり、人探し掲示板で評判のよかった探偵事務所を訪ねてみることにしたのでした。

探偵は前金100万円を請求して来ました。
成功報酬とのことで、失敗したら全額返還するとのこと。
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正直言えば100万円の出費は痛いですが、彼女が帰ってくるならばと坂本はお金を手渡してしまいました。
ちょっと普通の探偵とは違う、怪しげな男に100万円を渡してしまった坂本。
そんな彼に更なる不幸が舞い込むのです。
社内で話題になっていた、新商品情報流出事件。
そのデータ流出は坂本のPCからである。
だからあなたは首だ。
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そう人事から告げられてしまうのです!
通報はしないが、認めるなら依願退職、認めないなら解雇とする。
再就職のことを考えれば認めた方がいいのでしょうが、心当たりのないことを認めろといわれてもそう簡単に受け入れられません。
返事に2~3日の猶予が与えられたので、自分のPCをちゃんと調べれば自分の無実が証明できるはず!と坂本は勇んで自分のデスクへ戻るのですが、そこに待っていたのはすっかり片付けられて何もなくなっていた自分のデスクだったのです……

実際にやったのかどうかはもう会社にとってはどうでもいいのです。
必要なのは、責任を取って会社を去る、生贄。
もはや会社に坂本の味方は誰もおらず、誰一人として目すらあわせようとしません。
それでも坂本は、己の潔白を貫き通し……
やがて自ら解雇を申し出るのでした。

仕事を失ってしまった上、探偵からは足取りがつかめそうだが遠方に行ってしまっているようだから、捜査をひろげるために30万円の追加料金を用意しろといわれてしまいます。
仕事を失った今、彼女まで失うわけには行かない。
そう思った坂本はお金を用意するのです。
もはや彼に残っているのは、彼女との3ヶ月の楽しい思い出だけ。
そんな彼のもとに、ゆりが帰ってきた……と思いきや、よくよく見ればそれは通りすがりの女子高生でした。
美人ではあるものの、眉間にしわを寄せた不機嫌そうな女子高生。
一瞬とは言え百合の幻を見た坂本は、ふと別れ際に彼女が何か言っていたことを思い出します。
おもむろに鼻歌を歌いだす坂本。
すると、脳裏には彼が見た光景が克明によみがえり始め……
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彼女の唇の動きが、「ありがとう」といっていたことに気がつくことが出来たのでした!!

ということは、プロポーズは確かに受け入れられていたんじゃないか?
ならば自ら失踪するなんてことはない、誘拐か何かのはずだ。
そう考えた坂本は、犯罪に的を絞り、警察や親族と足並みをそろえての捜索に切り替えて欲しい、と探偵に告げました。
ですがそれは、依頼の路線変更……つまり新しい依頼になる、と探偵。
もう大量の人員も投入して経費がかかってしまっているが、半額の50万円でいい、と持ちかけてくるではないですか!
すでにサラ金にも手を伸ばしている坂本ですが、何よりもゆりを失ってしまうのが恐ろしくなってしまっています。
すぐにお金を工面する!と返答したところ先ほどの眉間にしわを寄せていた女子高生が突然現われて言うではないですか!
いい加減騙されていることに気づいたら?と!!

彼女が言うには、人探し掲示板でいい評判をばら撒いたのもこの探偵で、そもそもこの探偵は事務所も存在せず調査なんてしてもいない詐欺師なんだとか。
この男、3年前にも同じことをして服役しているんだそうです!
そんなわけがないというニセ探偵の男ですが、彼女は「私に嘘は通じない!!」とキッパリ断言したのです!!
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ニセ探偵はとうとう切れて彼女に掴みかかるのですが、彼女は鮮やかなケリでニセ探偵の口にくわえられたタバコだけを蹴り飛ばしてみせたのです!!
その蹴りのおかげで坂本は、彼女のおパンティを目撃。
派手に蹴りを放ったのは自分なのに、彼女は恥ずかしそうにさっとスカートを直し、坂本を睨みつけます。
が、すぐに気を取り直してニセ探偵に言うのです。
残されたものの気持ちを悪用しないで、と。
そこでニセ探偵はある噂を思い出しました。
女子高生の凄腕失踪人探しがいる、と言う噂を!!

ニセ探偵の口から漏れたその噂を聞いた坂本は、慌てて彼女を追います。
ニセ探偵との小競り合いの際、彼女の口からゆりの名前がでました。
それもどうやら、彼女はゆりのことを何か知っている様子で……
ところがその道中、強面の男2人に声をかけられてしまいました。
女子高生のパンツ見てただで済むと思ってんのか?10万包んで来い。
いきなりとんでもないことを言う彼らですが……いくらなんでもこんな無茶なことを言うおっかない人というのもそうはいないわけで。
すぐ先ほどの少女とは違う、制服姿の少女が現われ、何色だった?とからかってくるではないですか!
そんな彼らのすぐ横には、先ほどの少女もおりまして。
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彼らこそが失踪人探しの少女を擁する、今度こそ本物の探偵さんたち。
真壁探偵事務所の面々なのでした!!

というわけで、人探しの少女とであった坂本。
この後癖は強いものの、特殊な技能に冷静さや人脈など、それぞれ高い能力をもつ真壁達にゆりの件を依頼することになるのです。
先ほどの嘘が通じないと言い切った少女はエルこと冴木ジュエル。
勘が鋭いとか、ウソをついた人の微妙な機微で嘘を見抜く……と言うわけではなく、彼女には特殊な能力があるようで。
それによって嘘を見抜き、探し人のヒントにつなげていくのです。
ゆりの件が解決した後、こういったお話の定石どおり坂本も事務所の一員となります。
そこで坂本も彼のもつ特殊な能力、圧倒的な記憶力を発揮して事件を解決に導くことに。
ですが彼のもうひとつのある意味特殊な能力、クソ真面目な善人気質が災いを呼んだりもしまして……
物語に様々な起伏を生んでくれるのです!

当面は一つ一つ事件を解決していくお話になりそうですが、物語の軸となるのはやはりエル。
つねに眉間にしわを寄せて怒っているような顔をしている彼女ですが、その表情にもどうやら事情があるようで。
彼女の過去などがこのお話の軸になっていくのはおそらく間違いないでしょう!!

嘘を見抜く人探し少女、「失踪人ハンターエル」第1巻は全国書店にて好評発売中です!
人探しのみに焦点を絞った本作。
探偵ものとしても十二分に楽しめますが、エルの謎も気になるところ!
事件のみならず、そちらのほうの展開も期待したいところですね!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!