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本日紹介いたしますのはこちら、「妹のジンテーゼ」第3巻です。
作者は原作が十全文博先生、漫画が紺野比奈子先生。
集英社さんのヤングジャンプ・コミックスGJより刊行されました。


さて、部室を賭けてくいけんと早押しクイズ対決に挑むことになったもんかい。
その対決で、もんかいは古都音の圧倒的な知識、夕香の人間観察力、そして智恵の独特の思考術で幸先のよいスタートをきったのですが……?

このクイズ大会、7ポイント先取制で、お手つきは減点、0点を下回った場合は-1、-2、とマイナス加算していきます。
ここに智恵は突破口を見出すことが出来ました。
それはマイナスが何ポイントになろうと、先に早押しボタンを押し続ける限り負けることがない、と言うところです!
その穴を最大限に利用した作戦。
それは驚くべきものだったのです。
まず夕香がくいけんのメンバーの顔まねまでして癖を盗みます。
それは、くいけんのメンバー達がクイズの答えを導き出した時に出る、癖。
くいけんの三人三様の癖を見抜き、その癖がとびだす瞬間をいち早く察知することが出来るようになりました。
それはつまり、相手が答えようとボタンを押すその直前にボタンを押すことが出来ると言うこと!
これが出来ればすなわち負けることはないのです!!
ですがもちろんこれだけでは勝てません。
勝負の鍵を握るのは当然、クイズに答えられるかどうか、という部分です。
そこで活躍するのは古都音の知識。
古都音の知識は想像を絶するくらい深いもので、問題を聞きさえすればほとんどどんなものでも答えてくれます。
問題を、聞きさえすれば。
早押しクイズというのは問題をある程度予測して答えるという要素も欠かすことは出来ません。
要するに、問題の途中でボタンを押すことのほうが多いと言うことです。
クイズ問題の予測、というのは古都音にとって苦手分野。
そのパーツを補うのが智恵というわけです!
智恵はこのクイズ大会に備え、某クイズ漫画を読んだりしてクイズならではのパターンや形式を勉強。
ボタンを押すまでの間に聞けた問題文から、問題文の全体像を推理、それを古都音に伝える、と言う役和英を買って出たのでした!

この三位一体作戦は予想を上回るほどピッタリはまりました。
ところがあまりにもピッタリはまりすぎてしまったがゆえに、予想外のピンチを招いてしまうことになったのです!
何でもしっかりと考える、用心深い気質の智恵。
それゆえに彼女は今回の大会でも幾通りもの「最悪の展開」を予想していました。
ところが今のような……「最良の展開」のことはまったく想定していなかったのです!!
うまく行き過ぎている。
そんな思いが智恵の歯車を狂わせ、問題文の予測に失敗。
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一度は3対0とリードしていたものの、立て続けにお手つきをしてしまい、-3対0にまで交代してしまったのです!!
周りから見ても明らかにいっぱいいっぱいになってしまっている智恵。
ついには夕香がボタンを押したにもかかわらず、問題文がよく聞こえなかったと慌てるだけ、という無様を披露してしまったのです!!
もはや智恵の顔面は蒼白。
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これでさらに差が広がれば、崩壊には更なる拍車がかかってしまうことでしょう!!

そんな智恵のピンチを救ったのは、意外なことに機転と言う言葉からは遠そうな性格の持ち主である古都音でした。
彼女がこの時思い起こしたのは、クイズとはまったく関係無いある映画のワンシーン。
主人公がピンチの時にあえて間抜けなキャラを演じ、チームの緊張をほぐすと言うところでした。
その劇中では主人公は転んでみせたのですが、流石にクイズをやっている最中に転んで見せるのは富士全にもほどがあります。
そこで古都音が考えた末に口に出したのは……
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ちんこ。
……一瞬の静寂の後、会場は爆笑の渦と化しました。
もちろん智恵もその渦の中の一人。
夕香ともども緊張はガッチリとほぐれたのです!!

古都音のフォローにより、力を取り戻した智恵。
ですが反撃開始だと簡単にいく相手ではないのです。
どうしてもんかいがくいけんよりも早くボタンを押し、そして答えられるのか?
その謎を完全にではないものの、夕香がボタンや問題を読む人ではなく、くいけんのメンバーを見ていることからうすうす感付いたのです。
そして彼女達、早速いくつかの対策を立ててきてしまいました!
そのうちのひとつが、なんと眼鏡なんかを交換したりする、プチお色直し!!
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僅かな機微から回答する気配を察知していた夕香からすれば、その変化による混同や、くいけんのメンバー自身が感じているであろう違和感から来る行動の変化が邪魔になるわけで。
反撃開始どころか、更にくいけんが勢いづく流れになってしまうのです!!
みるみる開いていく点差。
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このままもんかいは敗北してしまうのでしょうか?
土壇場であの人物の底力が発揮されることになるのです!!

というわけで、クイズ対決が決着を迎える本作。
そして本作自体も決着しちゃいます。
くいけんとの決着もつき、一段落着いたといえばついたところでキリのいいところで終了といえるのですが……
結局智恵の兄者もリアルタイムで登場することはありませんでしたし、なんだかいろいろとありそうだった学校生活もあまり描かれることはありませんでした。
うーん、もう少し続けて欲しかったです!!
そんな無念の思いの表れか開き直りか、最終回にはネットをたしなむ漫画ファンにはわりと聞きなれた気がする名前の坂が出てきます。
その名も男坂。
最終回に、男坂が出てくる。
となればラストシーンは……お分かりですよね!!
そのいろんな意味で必見のラストシーンは、是非ともその目でお確かめください!!

世にも珍しい問題解決女子校生日常漫画、「妹のジンテーゼ」最終第3巻は全国書店にて発売中です。
作中に様々なパロディや小ネタが散りばめられていて、そういったものを見つける楽しみもあった本作。
まさかラストシーンがああなるとは、誰も予想していなかったんじゃないでしょうか……!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!