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本日紹介いたしますのはこちら、「藤子・F・不二雄大全集 しゃっくり丸/やじさんきたさん」です。
作者は藤子・F・不二雄先生。
小学館さんより刊行されました。

さて、本作は1957年に「幼年クラブ」誌にて連載された「しゃっくり丸」と、1959年に「たのしい一年生」誌にて連載された「やじさんきたさん」を収録した一冊です。
その2作品に共通しているのは、時代劇であると言うこと。
「やじさんきたさん」の方は「東海道中膝栗毛」を下敷きにして入るものの、基本的にはどちらもF先生テイストに溢れたオリジナルのお話になっておりまして、すんなりと楽しめる1冊になっているのです!

そんな本作の内、今回紹介したいのは表題作「しゃっくり丸」。
タイトルどおり、しゃっくりにちなんだ(?)冒険譚なのです!

元日の朝から神社へお参りに来た少年。
神様にお願いすることはただひとつ、「ことしこそやっくりがとまりますように」。
彼の名前は、その名もズバリ「しゃっくり丸」!
生まれたときからしゃっくりが止まらない、というそれはもう難儀な身の上の少年なのです!!

そんな彼に背後から襲いかかろうとしているあやしげな男が!
気合一閃、その男が大上段から武器を振り下ろすのですが、しゃっくり丸はすばやくそれを察知していともたやすく男を投げ飛ばして見せたのです。
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怪しげな男の正体は、しゃっくり丸のお父さんでした。
何とかしゃっくり丸を驚かしてしゃっくりを止めてやろうと、あやしげないでたちで攻撃を仕掛けてきたのです。
ですがその直後に再びヒックヒャックとしゃっくりをしだすしゃっくり丸。
彼が言う、「ちっともびっくりしない」と言う言葉はまんざら嘘でもないようです。
お父さんもしゃっくりに関しては思うところあるようで、小さい時から何度も何度もしゃっくり丸を驚かそうとしてきたそうで。
そのおかげでしゃっくり丸はすっかり強心臓に育ってしまい、何事にもちっとも動じない精神力と、咄嗟のアレコレにもさらっと対処できる身体能力まで手に入れてしまったのでした。

何か怖いことはないかしらと日々考えているしゃっくり丸。
そんな彼に、お寺の小坊主が訪ねてきました。
なんでも今晩怖いことが起きるから来い、とのこと。

日が暮れた後、望むところだとしゃっくり丸はお寺に向かいました。
お寺では先ほどの小坊主と、和尚さんが待っておりまして。
実はこのごろ、夜になると毎日お化けが出て困るんだ。
息を潜めて和尚さんはそう語るのですが、しゃっくり丸はというと、お化けが出ると言うのはこの屋根裏ですか、とずんずん進んでしまうのです。

屋根裏は蜘蛛の巣だらけの埃だらけ。
こんなところへ出るなんて不潔なオバケだな、と言いながら待ち人を待つしゃっくり丸ですが、なかなかお化けはやって来ません。
しゃっくりどころか大あくびまで飛び出た頃、ようやくあやしげな音が聞こえてきました。
音をたどってみれば、そこでは小さな小坊主が木魚を叩いております。
前に回りこんでみてみると、その小坊主は目が三つあるではないですか!
ヒヒヒと笑う三つ目小坊主ですが、しゃっくり丸は涼しい顔でこんばんはとあいさつ。
ちょっと僕にもたたかせてよ、とばちを奪って自分で木魚を叩き始めて遊び始めてしまうのです。
ならばもっと脅かしてやる!と、三つ目の小坊主はどこかへ引っ込んじゃいます。
すると程なく風が入ってきて、近くでともっていたろうそくの火を消してしまいました。
そしてそれに気をとられているしゃっくり丸、頭を棒でひっぱたかれました!
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振り返ってみれば、そこにはしゃっくり丸の何倍もあろうかという体躯をもつ、般若のような顔をした怪人がたっております!!
しかしそれでもしゃっくり丸は驚かず、むしろ怒ってその怪人に飛び掛っていくのです!!
しゃっくり丸の腕前はそうとうなものだと言うこともあり、怪人はボッコボコにされてしまいます。
ですがそれよりも怪人があっさりやられた原因は、
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中身に入っているのがこのお寺の小坊主と和尚さんだったからと言うところにあるでしょう!
要するに今日の騒動はすべてしゃっくり丸を驚かしてやろうと、和尚さんと小坊主が企画したものだったと言うわけです……

ここまでびっくりしなくては仕方ありません。
もうボクはどんな目にあってもびっくりできないんです、と落胆するしゃっくり丸。
ですが和尚さんは、諦めて廃刊、まだまだ世の中にはこわいものがあるはずじゃ、としゃっくり丸を諭すのです。
そして自分で言ったその言葉から、名案を思いつきます。
旅に出なさい。
いろんな国をまわってこわいモノを探しなさい!!

思い立ったが吉日です。
早速しゃっくり丸は両親に旅に出ることを告げ、家を出て行きました。
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お父さんの、うんと酷い目にあえよ、という励まし(?)も心強いもの。
意気揚々と進んでいくのです。

日もくれたころ、鬱蒼と木々が生い茂った山に差し掛かります。
すると突然目の前に、がっしりとした大男が現われ、道をふさいできたのです。
ここから先の道は山賊が出るから危ない、帰れと言うその大男。
それを聞いたしゃっくり丸、それはそれは是非お会いしたい!と、早速見つかったビックリの種に出会うため、大男の横を通ってダッシュで山賊の出る道へ向かうことにしました!!
が、この大男もなかなかそそっかしい男のようで、怖がらないと言うことは山賊の仲間だな!と早合点。
手にした巨大な鉄棒をぶん回しながら、山賊待てぇ!ともの凄い勢いでしゃっくり丸に襲い掛かってきたのです!!
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いきなりやってきたピンチ!
しゃっくり丸はやっぱりびっくりすると言うところまでは行かないようで、僕は山賊じゃないよ、と対話を試みるのですが……?
トラブルとともに幕を開けた珍道中。
果たしてこの旅でしゃっくり丸はしゃっくりを止めるビックリに出会うことが出来るのでしょうか?
しゃっくりが止まったら、しゃっくり丸の名前ってどうなるのでしょうか?「丸」?
とにかくしゃっくり丸の大冒険は始まったばかりなのです!!

というわけで、しゃっくりを止めるために諸国漫遊のたびに出るしゃっくり丸。
児童向けの漫画と言うこともあってその目的からして(当人の気持ちはさておき)真面目ではない作品ですが、お話も階を王ごとに何でもアリになって行くのです。
なんにでも化けられる狐や、超万能な忍術を使う忍者の登場だけに飽き足らず、ついには目玉をせんじて飲むとしゃっくりが治ると言われている龍が登場!
これだけならまだ昔話的な内容といえるのですが、終いにはロボットまで出てくるのですからもう大変!
半分ギャグとは言え、戦車やゴジラまで出てくるストロングスタイルな作品なのです!!

「しゃっくり丸」はきちんと完結するのですが、「やじさんきたさん」は残念ながら最終回らしい最終回もない普通の話で終わってしまっています。
とは言えクオリティが低いわけではなく、しゃっくり丸と似たテイストのドタバタ道中が楽しめます!

F先生初期の名作児童漫画を収録した、「藤子・F・不二雄大全集 しゃっくり丸/やじさんきたさん」は全国書店にて好評圧倍柱です!
どちらも肩肘はらず、のんびりと楽しめるドタバタ冒険時代物が収録された今巻。
雰囲気の似た作品2編で、統一感ある一冊に仕上がっております!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!