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本日紹介いたしますのはこちら、「目玉焼きの黄身いつつぶす?」第1巻です。
作者はおおひなたごう先生。
エンターブレインさんのビームコミックスより刊行、コミックビームにて連載されています。


さて、本作は最近流行の単純なグルメ漫画ではない、「食」をモチーフにした漫画です。
ですが昨今のメインストリームであるB級、C級グルメに舌鼓を打つ作品ではありません。
本作がメインとしているのは様々な食べ物の「食べ方」。
千差万別の食べ方に真っ向からぶち当たる問題作(?)なのです!!

みふゆと二郎は初めての二人の朝を迎えていました。
一杯のブラックコーヒーを飲みながら、幸せを噛み締める二郎。
みふゆが作ってくれた朝ごはんは、ごはんに味噌汁、そして黄身が半熟の目玉焼きに、付け合せにほうれん草とソーセージ。
文句なしの朝ごはんだよ、みふゆ。
ご満悦の表情でみふゆを見つめる二郎の目の前に、突然どんと

調味料の山がおかれました!!
仰天する二郎ですが、これもみふゆの愛ゆえです。
目玉焼きに何をかけるか、と言うのは人によって違うもの。
ソースをかける人もいれば、塩・コショウケチャップやマヨネーズの人だっています。(どうでも良いことですが俺は塩派です!)
白身に醤油で黄身には塩という変化球もありまして、まさに調味料ひとつとってもまさしく人それぞれ!
みふゆは?と尋ねてみると、粉チーズよ!と答えるではないですか!!
予想外すぎる答えにぎょっとなる二郎ですが、流石にこれは冗談。
みふゆもスタンダードに醤油派でしたとさ。

この大量の調味料が、みふゆの男性遍歴を表しているのではないか?
そんな想像をしてくらりとなる二郎ですが、その不安を振り切って今は朝ごはんを食べることにします。

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二郎はまず黄身に箸を突き刺し、その穴に醤油を注ぎました。
白身を適当に裂き、そこにつけあわせを乗せてつまみ上げ、その醤油の混ざった黄身をつけて口に入れる。
つぶした黄身と白身、付け合せの醸し出す旨みにもう二郎はメロメロ。
白いごはんとの相性も実によく、目玉焼きの奥深さを思い知らせてくれる……
幸せ一杯で視線をうつす二郎ですが、そこで彼は再びぎょっとすることになりました。
みふゆは

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白身だけを先に食べ、真ん中の黄身だけを手付かずで残していたのです!
そしてサイゴンその着実を一口で食べるみふゆ。
白身や付けあわせを絡めて食べるうまさを知らないのか!?とはとが豆鉄砲を食らったかのような顔で二郎は尋ねます。
みふゆはといいますと、知らないわけではないが、つぶすとお皿が汚れるのがいやだからずっとこの食べ方をしている……と説明してくれました。
お皿が、汚れる。
自分の常識からは考えられないその思考に、二郎は思わず言ってしまうのです。

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お前、バカか?と!!
こういうことに関してはヒートアップしてしまう二郎。
この後、きっと何かいろいろあったんでしょう。
気がついたとき、そこにみふゆはいなかったのでした……

翌日、人気キャラクターのきぐるみの中の人、と言う仕事を終えた二郎。
そこで現場を取り仕切る近藤さんに思い切って声をかけました。
目玉焼き食べに行きません?
目玉焼を食べに行こうなんて誘われたのは初めてだと言う近藤さん。
もちろん二郎もそう誘ったのは初めてでしょう。
ともかくうまいこと目玉焼き定食を出してくれる店も見つかり、二人は目玉焼き定食を食べました。
この目的はもちろん、近藤さんの食べ方をみるため。
近藤さんの気になる食べ方は……みふゆと同じ、最後に黄身を綺麗に残すタイプでした!!
が、違うのはここからです。

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近藤さんはおもむろにその黄身をごはんの上に乗せ、醤油をたらしてかき混ぜてかき込んだのです!!
この食べ方は最後にどんぶりにするためある程度ご飯を残しておく必要があり、ストイックで不自由な食べ方である、と近藤さん自身も解っています。
ですがそれでも、このどんぶりにして食べる快感、最後に黄身と飯を一気に混ぜてその不自由さから解放される瞬間の魅力の方が上回っているのだ、と力強く語るのでした!!

皆自分自身の食べ方をもっており、そしてそのことに疑問をもっていない。
人がどう食べるかなんて考えたこともなかった。
二郎は目玉焼きをつくり、思い切って黄身のこしタイプの食べ方をしてみました。
白身だけというのもそれはそれで乙なものかもしれない……と思っているうちに、二郎は誤って黄身に箸を刺してしまいました!
さらに黄身だけになった目玉焼きを持ち上げようとしてみれば、つるりと滑って黄身のやぶれている方を下にしてお皿に落ちてしまい……

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見るも無残に汚れた皿を見て、思い起こされるみふゆの言葉。
皿が汚れるのがいやなの。
アイツ、こんなに難しいことを平然とやっていたのか。
俺の皿はなんて汚いんだ……!
時間は午後11時45分。
まだ電車はあります!!
二郎は意を決し……

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眠るのでした。
明日は朝早くからお台場できぐるみの仕事ですからね……

というわけで、いろいろなもののいろいろな食べ方を掘り下げる本作。
この目玉焼きの食べ方だけでも十二分に興味深く、おおひなた先生らしい脱力オチもあって非常に面白く仕上がっています。
ですがこれだけではありません。
本作には一話たりとも見逃していただきたくない、興味深いネタばかりが取り揃えられているのです!
トンカツに添えられたキャベツの食べ方とタイミングは?
カレーのルーはどうかけて食べる?
さらに盛られたご飯を、カトラリーでどう食べるのか?
みかんの皮の正しいむき方は?
納豆はごはんにいつかけるのか、チラシ寿司にかける醤油にはわさびを溶いておくのか?
そんな7つのものの食べ方に、二郎と近藤さんとみふゆあたりがずばずば切り込んで行ってくれるのです!!
まあもちろんそれらに完全な「正解」なんてないんですけどね!!

食べ方一本でやってます!?「目玉焼きの黄身いつつぶす?」第1巻は全国書店にて発売中です!!
おおひなた先生らしい謎の勢いと脱力感を両立させつつ、食べ方ひとつでギャグからなぜか感動してしまうお話までやってのける本作。
こんな調子で淡々とやっていくのかと思いきや、なんだか急展開まで待ち受けていまして……
流石のおおひなた先生、本作でもあの手この手で楽しませてくれますね!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!