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本日紹介いたしますのはこちら、「僕だけがいない街」第2巻です。
作者は三部けい先生。
角川書店さんの角川コミックス・エースより刊行、ヤングエースにて連載されています。

さて、ほんのすこしの時間過去に戻る能力、「再上映(リバイバル)」をもっている男、悟。
そんな彼を女でひとつで育て上げてくれた母親が、何者かに殺害されてしまいました。
なんとしても母親を救ってみせる。
そう決心した悟は、渾身の力でリバイバルを使い、過去へと戻ります。
ですがその戻った過去は、母親が殺されてしまう日の昼……ではなく、18年前、88年の2月だったのです!

何故18年も時が戻ってしまったのか。
母を救うためにはここまで戻る必要があるとでも言うのでしょうか?
なんにせよ、18年前と言うのはあまりにも昔過ぎて、この時自分が何を考えていてどういうポジションにいたのか、何もかもがわからない状態です。
そんな状態から、再び18年の時を生きて母親を救うと言うのは、相当な覚悟が必要でしょう。
そんな覚悟が自分にはあるのだろうか……?
様々な疑問が渦巻く中、視界に入ってきたのは一人の少女でした。
雛月加代。
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この時間は、彼女が失踪し、そしてその命を落す前の月なんだ。
自分が何故この時代に来たのか。
その答えは、そこにあるのでしょう……

考えてみれば、加代のことを何も知らないことに気がつく悟。
事件後に知ったのは「母親と二人暮らし」だったと言うことだけ。
18年もたった今となっては、事件の起こった正確な日付すらわかりません。
何かヒントになることはないだろうか?
そんな気持ちもあって彼女の様子を窺っていると……スカートからのぞく太ももに、殴られた後が見えるではないですか。
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それに何かがあることは間違いなさそうです。

ですがその気付きは、思わぬ副産物を生んでしまいました。
じっと加代を見つめていたことをクラスメイトに気付かれてしまい、加代に告白しろ!とはやし立てられてしまったのです。
とは言えそれは彼女を知るために悪くない手ともいえます。
意を決して「事件に踏み込む」悟。
ですが加代の返答は「バカなの?」の一言なのでした。
帰る方向も一緒だし、友達になりたいと思った、と悟は取り繕いました。
そんな悟に、加代は驚くべき言葉を投げかけたのです。
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悟は、あたしと一緒で「ニセモノ」だ。
……加代が何を言っているのか、悟にはわかりません。
悟が未来からやってきていて、過去の自分のフリをしている偽者である……ということを、加代が知っているはずはないのです。
動揺する悟るに、加代は更なる質問を投げかけてきました。
母親って大切なもの?と。
すこし考えた後、うんと力強く答える悟。
その答えをどう思ったのか、加代はそう、とだけ言うと踵を返して歩き始めていってしまいます。
まだ話は終わってない、友達になりたい。
そう話しかける悟。
その要求は、まさにこれから起こる事件を防ぎたいと言う大人の都合からでる偽者の言葉でした。
その言葉に対する加代の言葉は、まさしく本物です。
はじめてしっかりと悟の目を見つめて言った言葉。
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「じゃ、あたしの為に、人を殺せる?」

その言葉は、まるでこれからおこることを知っているかのような言葉でした。
小学生連続誘拐殺人事件。
その最初の犠牲者になる加代には、その事件が降りかかる前から何かが起きているのです。
もしかしたら加代に近づくことこそが、事件の真犯人に辿り着く道なのではないだろうか。
より一層、加代との距離を縮めていかなければならないようです。
さらに気になるのは例の「ニセモノ」発言です。
前述の通り、未来の自分が過去の自分に成りすましていることに気付いた、などと言うことはないでしょう。
ですが実際に小学生だった当時から、悟は「こうありたい」と言う自分を演じていたのです。
母や友人、周りの人たちと上手に付き合っていくため。
この狭い社会の中で自分が適応していくために。
加代が言ったの偽者というのは、おそらくそう言う行動のことを指していたのでしょう。
そして自分と一緒だと言ったと言うことは、彼女もまた同じようにまわりの様子を窺うような生活をしていると言うこと。
それが直接事件に関係しているのかはわかりません。
ですがひとつ確実にいえるのは……時間はあまり残されていないこと。
今日は2月17日。
加代がいなくなるのは3月。
正確な日がわからない以上、残された時間はあと10日ほどと考えなければなりません。
加代ともっと話さなければいけない。
だが焦ってしくじり、距離をとられてしまっては元も子もない。
慎重に、そして迅速に加代との距離を縮めなければいけないのです。
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加代に起こっている何かを知るために、真犯人を探るために。
……母を助けるために……

というわけで、時代は88年に移行。
06年で母親が殺害されることとつながりのある、小学生連続誘拐殺人事件の真相を探る。
それこそが最大の目的になるわけですが、そのほかにももちろんしなければならないことはたくさんあるのです。
まずはやはり加代を救うこと。
犠牲者第1号になることを防ぐだけではなく、その太ももや体に刻まれた痛々しい傷から何とかして彼女を救い上げたい……
そう思うのも至極当然のことでしょう。
そしてもうひとつが、事件の犯人としてつかまってしまったユウキを助けること。
06年では死刑判決が確定してしまった彼ですが、少年時代彼とよく遊んでいた悟るからすれば、彼が犯人であるとはどうしても思えないのです。
真犯人を捕まえることが出来れば、彼の濡れ衣を晴らすことも自然とできるわけで。
母を助け、加代を助け、ユウキを助ける。
そのすべてを、悟はたった一人で成し遂げようと奮闘するのです!!

あの日に戻りすべてを変える「僕だけがいない街」第2巻は全国書店にて発売中です!
数々の謎をはらみながらも、一歩一歩進んでいく本作。
ですがまだ「文集」などのまた別の謎も残されていまして、悟が思うように物事は進んでいかなそうなのです……
過去の世界で再び襲い掛かる過酷な運命を、悟は跳ね除けられるのでしょうか!?
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!