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本日紹介いたしますのはこちら、「少年Y」第1巻です。
作者は原作がハジメ先生、作画がとうじたつや先生。
秋田書店さんの少年チャンピオンコミックスより刊行、別冊少年チャンピオンにて連載されています。

原作のハジメ先生は本作がデビュー作の様子。
名前がシンプルなこともあってちょっと確信が持てませんが……
作画のとうじ先生は04年にコミックバンチにて読み切りを発表したのがプロデビューのようですが、その後05年にチャンピオンの漫画賞に投稿し、奨励賞を受賞。
その後永久保貴一先生原作による「武闘占術伝ヒイロとナナシ」「半熟ガーディアンズ」と相次いで連載しますが、残念ながら短期で終了してしまっていました。

さて、本作は主人公がある選択を強いられるサスペンスモノです。
その選択は少年漫画としてはかなりショッキングなもので……
次々に与えられる選択に、主人公はどう答えるのでしょうか!!

今日から新しい学校に通うことになる栗原ユズル。
彼はひたすら思い悩んでいました。
自分に友達が出来るのだろうか?
……いや、そうではありません。
自分が「友達が出来ない人」だと思われ、クラスの中でダメなやつのポジションに追い込まれること、を恐れていたのです。
頭がいいとか運動ができるとか顔がいいとか、才能があるものならば一人でも「孤高」を気取ることもサマになるでしょう。
ですが残念ながら、ユズルは何をとっても平凡。
考えれば考えるほど、不安が胸にのしかかってくるのです。

普通の生徒たちに紛れて学校には言っていくと、なんだかニセ生徒になって潜入しているような気になってしまう。
そんなことを考えながら歩いていると、2階にたっていた少女と目があいました。
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すぐ彼女はどこかへ消えてしまったのですが、なんだか彼女を見てからユズルの胸は高鳴っております。
一目惚れ溶かそう言うのじゃない、吊橋効果ってやつだ。
そう自分に言い聞かせ、こそこそとユズルは職員室に向かうのでした。

活気のあるクラスだからすぐになじめるさ、と言う先生の言葉に、そういうクラスこそすでにポジ四が出来上がっていてやりづらいんだとさらにネガティブになるユズル。
ため息をついていると、先生は出欠簿を忘れたから取りにいってくる、教室の前で待っていてくれと職員室に戻ってしまいました。
やむなく教室の前で腰かけ、ユズルはクラスメイトになる者たちの話し声に耳を傾けることにします。
声を聞いているうちに、クラスのムードメーカー的な人物の声が飛び込んできました。
なんだか軽いノリについて行け無そうなムードを感じてしまうユズルですが、クラスでうまくやるにはこのノリを許容し続けなくちゃ行けない、と死んだような目をしながら自分に言い聞かせるのです。
その死んだ目のまま、とりとめもなくいろいろと考えるユズル。
ぼそりと「めんどくせー」と呟いたそのとき、先生は戻ってきました。
先生が教室に入っていき、ユズルはすっかり落ち着けていた腰を持ち上げ、バッグを肩にかけなおしてその後を追うのですが……
そこには、倒れた先生がいました。
そしてクラス全体を見渡すと……
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クラスメイトになるはずだった生徒達全員が倒れ伏していたのです!
ドッキリか何かかとも思いましたが、どう見ても死んでいます。
あまりの出来事に驚愕し、しりもちをついてしまうユズル。
ですがその瞬間、急に電源を切っていた筈の携帯がなり始めるのです!
恐る恐るその電話にでてみると、その電話からは女の声で「四方から壁が迫ってくる部屋って、物理的に可能だと思うか?」という問いが聞こえてきたではないですか!
悪戯か何かなのかと、その電話口に叫ぶユズルですが、その電話は自分が神様のようなものだととぼけたような口調で答えるのです。
そしてその声は、ユズルに上を見るように命じます。
促されるまま天井を見上げると、
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クラス全員の……女の声が言うところの「魂」が宙吊りになっていたのです!!

逃げ出そうとしても教室の壁は閉ざされて開きません。
うろたえるユズルに、この状況は「願いごとを叶えた結果」だと言う女の声。
こんな願いなんてあるわけがない。
そう言った瞬間、ユズルは教室に今までいなかったはずの人物がいることに気がつきました。
片手に携帯電話をもったその人物は……先ほど目があったあの少女でした。
そしてやはり電話をしていたのも、その少女のようです。
彼女の名はワビコ。
彼女は言うのです。
この願いは、ユズルの願いだと!

先ほどユズルがつまんねーと呟いていたそのとき、ユズルの脳裏にはちらりと過ぎったというのです。
「クラス全員死ねばいいのに」。
お前の他人に対する恐怖心がこの状況を作り出したのだ。
そう言うワビコは、先ほどの四方から迫ってくる壁の問題を答えられれば疑問をひとつ解消してやる、と続けしました。
その疑問に、ユズルは実にあっさりと答えます。
壁を互い違いに組ませればいい、スライドしながら四方の壁が迫るように出来る、と。
答えを聞いたワビコは、なぜか落胆した様子。
答えのある問題は、正解がわかるとガッカリするものだな、と。
そしてワビコはおもむろにサボテンの鉢を取り出しました。
サボテンの中央にはタイマーのようなものが埋め込まれていまして。
ワビコがサボテンのなにかを押すと、5分のタイマーのカウントダウンが始まりました。
ワビコは紙を取り出し、そこに書かれた文章を読み始めます。
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あなたはこの教室でスクールカーストの頂点に立っています。
時間内に生き返らすべき価値のある人間を一人だけ選んでください。
その人間を生き返らせてあげます。
……残り時間がゼロになると、サボテンの先端がすべての魂を破壊してしまうそうです。
そうなれば、誰一人生き返らせることは出来ません。
真剣に選ばなければ一生後悔する結果になる……
「全員顔も名前も知らないんだぞ、そんなの選べるわけないだろ」。
ユズルはそういいました。
つまりそれは、知り合いや身内がいたら選べると言うことです。
ユズルはすでに命のランク付けしているのです。
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命に順番は付けられないなんてえらそうに言うものの、それは単なるランク外にある他人の命には関心がないだけなんだ。
命には順番が付けられる。
……付けようという意思さえあれば!
ワビコは一気にそうまくし立てると、ユズルを指差して言いました。
四の五の言わずに命を選べ!!
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チョチョイのチョイス!!

というわけで、命の順序付けを強いられる本作。
あまりにも衝撃的過ぎる事件に巻き込まれたユズルが、最初に選ぶ命とはなんなのでしょうか?
この最初の選択が、ユズルの今後のすべてをきめることとなるのです!!
「生き返らせる命を選ぶ」といえば聞こえはいいですが、逆に言えば「殺す人物を選ぶ」ということにもなります。
誰を殺し、誰を生かすのか。
残酷な選択が、ユズルに次々と与えられることになるのです!!

その選択は今回のような単純な選択ではありません。
2択であったり、変則的な選択方式だったり……
いきなり降りかかるこの悪魔の……神の与えた問題を与えるワビコとは何者なのか?
そして、ワビコの後ろにいる「上の神様」とは一体?
あまりにも多すぎる謎。
それを紐解く暇もなく、ユズルは苦悩します。
この選択を、ユズルはしおえることが出来るのか。
それとも……?

選択の時は突然やって来る、「少年Y」第1巻は全国書店にて発売中です!
かつてない選択を迫られる本作。
ユズルに待つ運命は果たして!?
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!