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本日紹介いたしますのはこちら、「ハチワンダイバー」第29巻です。
作者は柴田ヨクサル先生。
集英社さんのヤングジャンプ・コミックスより刊行、週刊ヤングジャンプにて連載されています。

さて、トーナメントもいよいよ残り僅かとなってきた本作。
準決勝に駒を進めているのは鈴木八段と菅田、そして「神」。
残るひとつの椅子は、そよと卑弥呼が争うことになりました。
一方、地下の鬼将会ビル破壊組着々とその準備を進めていました。
あのジョンス・リーも期せずして発揮された羽比田のねずみ召喚能力で追い払うことが出来たのですが、このまますなおに引き下がるとも思えず……?

凄まじい熱戦となったそよと卑弥呼の一局。
どちらがより「谷生の将棋」を濃く継承しているのか?
その証明をするために、二人はその深すぎる読みを見せ付けあい、ぶつけ合うのです。
そんな激戦を間近で見ていた菅田は、そよが強くなった理由が谷生に将棋を教わったからだと直感します。
そしてその事実に気がついた菅田、「谷生に将棋を教わった」という事実ごと焼き尽くすような強さを手に入れなければならないと決意したのです。
自分の体は人間で出来ているが、本当は将棋で出来ている。
最初に駒に触ったときから、強くなるために生きて、強くなるために指して、将棋を指すために生きてきた、
心で叫ぶだけなら誰も文句は言わない。
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全部、何もかも越えてやろうか。
一番ふるい将棋の記憶から、勝った将棋ではなく、負けた将棋を思い出す。
負けた将棋数千局にダイブし、全勝する!!
夢枕ならぬ、ダイブ枕にたってくれたのは「真剣師」菅田の死である二コ神でした。
徹底的にテメエに潜り倒せ。
俺がついててやっから、きたねぇジジィが。
菅田は何よりも心強い言葉を受けながら、自らの過去との戦いに挑むことになるのです!!

自らの頭を地面に撃ちつけて喝を入れながら、何度も何度も何度もダイブする菅田。
その記憶はやがて奨励会で行われたある試合に行き着きました。
その試合に負ければ、年齢制限でプロへの道を絶たれる一局。
そんな一局に、菅田は特別な覚悟もなく挑んでしまいました。
いつものように始まり、いつものように指したその一局で、子供のころから目指していたプロの夢が途絶えるなんて信じられなかった、というのもあったのですが……
根拠はないものの、自分が勝って「負けたら危なかったー」なんて観想戦をしているところを想像している始末だったのです。
実際、ジョバンな僅かなリードを守って菅田が優位に試合を進めていました。
ですがそれは、対局中相手が漏らしたある言葉をきっかけに瓦解することになるのです。
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「消えて」。
プロ野球選手、プロサッカー選手は年間何百人かは誕生します。
ですがプロ棋士は、年間「4人」しかなれない。
修行僧のように精進していれば順番が回ってきてプロ棋士になれる、なんてことはありえないのです。
次から次へと全国から天才将棋少年がやってきてぎゅうぎゅうの奨励会で、相手をぶったおしまくらなければなることが出来ないプロ棋士。
何かが手遅れだった、何が手遅れかはわかりませんが……いろいろ、らくさん手遅れだった。
……菅田は相手の勝負手に押し切られ、夢の道から転落したのです……
そんな忘れられない一局に戻り、完膚なきまでの勝利をおさめた姿。
その時に足りなかったものを、今の菅田は持っているのです。
夢破れ、肩を落とす当時の自分に菅田は言いました。
プロ棋士の夢からはかなりはずれたけど、君には
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立派になったねって言ってもらいたい。
生まれ変わった、いや、自らを生まれ変わらせた菅田。
彼が挑むのは、奨励会時代の師である鈴木八段!!
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そよを、谷生を倒すためにはこの鈴木八段をねじ伏せ、乗り越えていかなくてはなりません。
過去と決別し、未来を、愛を手に入れるため。
すべてをかけた戦いが始まるのです!!

その頃、ビル破壊組はといいますと。
ビルの要である柱、モンスタースポットに爆弾を仕掛けると言う大詰めに辿り着いていました。
ですがモンスタースポットがある場所は、開けに開けまくった大広間のようになっていまして。
ここに敵がでてきたとしたら、逃げることや、物陰を利用してのゲリラ戦法等ができません。
もはや真っ向から戦うほかないのですが……やはり戦闘部隊はそこにやってきてしまうのです。
ですがザンガードとなった斬野ならば、一般の戦闘部隊打ち伏せることも難しくありません!
十数人の戦闘部隊ですが、ザンガードならばいける……といいたいところだったのですが……
そこにやってきてしまったのです。
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世界最強の男になったこともある猛者中の猛者、ジョンス・リーが!!
いくらザンガードのアーマーを着込んでいるとは言え、ジョンス・リーの前では紙細工も同然。
このままではもはや作戦失敗は間違いなさそう……ですがここで、羽比田はある人物の存在を思い出したのです。
ジョンス・リーと引けを取らない、かつて世界最強の女になったこともある人物……かなしいいろやねんの存在を!!
もはやジョンス・リーを止められるのは彼女のほかにいなさそう。
羽比田は彼女を呼ぶために走り出します。
問題は、斬野がそれまで耐えられるかどうかということ……
走れ羽比田、作戦の成否と仲間達の命は君の足と交渉術(とかなしいいろやねんの実力)に掛かっているのですから!!

というわけで、今巻も白熱の将棋と肉弾戦、二種類のバトルが繰り広げられる今巻。
あくまでメインは将棋のほうなわけで、そよVS卑弥呼、そして菅田VS鈴木八段と、どの人物も今更言うに及ばない実力者同士の戦いとなっております!
そよと卑弥呼の戦慄の谷生将棋対決、そして菅田と鈴木八段の師弟対決。
成長著しい菅田とそよの主役組が勝ち、その実力を更なる高みへともって行くのか?
あるいはまだまだと跳ね返されてしまうのか?
手に汗握るぶつかりあいが描かれるのです!!

そして本筋ではないはずの肉弾戦も見逃せません!
ザンガードVSジョンス・リー、勝敗は戦う前から決しているといってしまっていいレベルかもしれません。
ですが斬野が澄野への愛を胸にどれだけ食い下がっていくのか?
そして「エアマスター」で実現しなかった、ジョンス・リーVSかなしいいろやねんの激突はなるのか、実現したときの勝敗は?
こちらでも血湧き肉踊るバトルが披露されることとなります!!

将棋も肉弾戦も大白熱、「ハチワンダイバー」第29巻は全国書店にて発売中です!!
今巻も息を呑むばかりのテンションでバトルが描かれる本作。
残す対局もおそらく3試合+谷生戦。
肉弾戦の方もよっぽどのことがない限り現在の戦いが最後でしょうし、クライマックスは間近といってもよさそうですね!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!