丈山先生は10年に手塚賞佳作を受賞。
その後、中山敦支先生のアシスタントを勤める傍ら、12年に四季賞を受賞されました。
その受賞からほどなくして本作の連載を開始。
めでたく単行本刊行となりました。

さて、本作はエロス要素が盛り込まれたラブコメです。
それも特殊な能力を持つ同居人が突如やって来る、ドラえもんタイプ。
ですがよくある、なぜか冴えない主人公がモテモテの（まったくもてないわけではありませんけど！）ハーレムモノではありません。
主人公がなし崩し的に巻き込まれることとなる。ある特殊な戦いが描かれるのです！

利美堂猛はお風呂の中で驚愕しておりました。
気持ちよく入浴している最中、いきなり窓をつらぬいてそれが降ってきたのです。
おっぱいもたわわな美少女が！！
そしてその美少女は言うのです。
お前は今から私のものだ！と！！

彼女は聖天使ペロエルと名乗り、猛のことを確認し始めました。
利美堂猛、高校一年生。
内気で弱気、友達もおらず存在感も薄い。
家庭でも自分の主張はまったくなく、夕飯のおかずから志望校まですべて親任せ。
草食系などと言う言葉すら生ぬるい、「草」そのものとでも言うほかない存在である。
ですがペロエル、そんな彼にひとつだけ並外れた部分があることを知っていると言うのです。
それは……とてつもなくエロい、ということ！！
あまりの得ろ差に女性を性的な目でしかみられず、そのため女子と接することができない。
現に今も自分の胸のタニマをみていただろう、気がつかないと思ったか？と笑うのです！！
実際猛のエロスは大したもので、お風呂に飛び込んできたせいで服がスケスケになったペロエルの姿に興奮するあまりなんでも言うことを聞くとまで言い出す始末。
それで結局何をするのかといいますと、この国の少子化を解消するために高純度の「性的衝動（リビドー）」を集め、天界で濃縮還元し、全体に再分配する、んだそうです。
それで結局何をすればいいのかと申しますと……
女性とのキス！！
そうするとキスした女性のリビドーが回収できる、と言う仕組みみたいです。
ですがもちろん猛にそんな大それたことは出来ません。
ペロエルも猛がそんなことできる性格ではないのを重々承知なようなのですが、それでも全然心配していないようで。
リビドーの持つエネルギーはホンモノで、ペロエルが飛び込んできた際に開いた窓の穴もたちどころに元通り。
物の修復だけでなく、そのほかもろもろのいろんな人知を超えたことができる様子。
……しかしリビドーを回収できなければ意味はないわけで。
たまたまお風呂場にやってきたお母さんが、かわいい息子と見知らぬ女性がお風呂にはいってキスまでしている所を見てショックのあまり気絶している隙に、二人は「狩り」に出ることになるのでした！

猛は大都会のヨルの繁華街に一人おいていかれました。
エロそうなメスとキスして来いと言う無責任な言葉と、困ったときはこれについているカプセルを叩き割れと手渡された腕輪とともに。
来て早々ですが、女性に声をかけることもできず、なんか怖そうな人もいっぱいフラフラしているこの繁華街で何をしていいかわからず……もう猛は腕輪のカプセルを割りたい気分。
不安の面持ちで立ち止まり、腕輪を見つめていると誰かに邪魔だと押され、その衝撃で見知らぬ女性のおっぱいを掴んでしまいました！！
ラッキースケベで終わればいいのですが、胸を掴んでしまった女性二人は怖い感じの男付き。
オマケにその男、なんと猛のクラスメイトで、クラス一の危険人物の座を独走する男、権田だったのです！！
筋骨隆々の大男の権田ですが、連れの女性の胸を掴まれた謝罪として……なぜかタケルにパンツを脱げと命じてくるのです！！
有無を言わさずボコボコにされるよりはいいかもしれませんが……いや、脱いだ後ボコボコニされたらやっぱりその分損ですし、絶望的な状況なのは変わりません。
もう無理。
いち早くそう判断した猛がカプセルを叩き割ると、いきなり猛の体に変化が起きました！！
凄まじい力の本流がおき、気がつくと猛は
なんかスタイル抜群のイケメンになり、性格もイケイケ（死語？）になっていたのです！！
イケメン猛は権田に喧嘩を買ってやると言い放つと
一撃で権田をふっとばし、その勢いで連れの女性二人の唇を奪って見せたではないですか！！
そのキスはたいそうすんごいものだったようでして、女性は権田がぶっ飛ばされたことなんて眼中にないかのようにもう一度キスをしてくれと強請り始めます。
が、猛は言うのです。
我慢しな、俺の唇は安くねぇ。
次会った時もっと可愛くなってたら！またキスしてやってもいいぜ！
そう言って静かに立ち去っていく猛。
女性だけでなく、その騒動を見ていた全員がこう思ったとか……
なんだあの男。
超!!!!カッコいいッ!!!!!

人目につかないところでそんな猛と合流したペロエル。
彼女はすぐ猛を元の姿に戻し、説明してくれました。
あの腕輪は「オトコリング」。
その力を解放したオスは、一時的に己の性欲にふさわしいオトコになる、と。
猛の内に秘めたエロスは、すべてのオトコを蹴散らし、すべてのメスを従えるポテンシャルを持っているのです！！
その湧き出すエロス力と天界のテクノロジーがあれば、あまたのメスを盛らせられる。
一緒に日本を救おう！！
ペロエルはなんだかよくわからないまま、猛に日本救済の使命を与えるのでした！！
……拒否権は与えないまま！

というわけで、天使の導きでイケメンに変身し、女性にキスをすると言うとんでもない使命を帯びることとなる本作。
この後も各話ごといろいろなトラブルをイケメン変身で回避しつつ、ターゲットの女性との樹スを狙っていくことになるのです。
が、今巻では今後レギュラーとなって行きそうな人物も多く登場。
第2話では幼馴染の小山内なじみが登場し、
彼女がイケメンモードではない猛に対して単なる幼馴染であると言う以上の感情を持っていることが判明します。
第4話に登場する海野つばめ
もまた猛を憎からず思っているのですが、そんな彼女に近寄ってくるあやしい影が登場！
彼女達が物語を毎回女性とキスするだけの代物にはしない、アレコレの要素を加えてくれそうです！！
本作のわかりやすい、最大の売りはおそらく乳首券の発行こそされていないものの、ふんだんに盛り込まれたエロスなサービスシーンでしょう。
ですがそんな個性的なキャラクターとのカラミや、勢いに溢れたアクション（キス含ム）シーンに擬音なども見逃せませんよ！！

そして面白いのが、後のお話でターゲットとなる女性キャラがそれ以前のお話でちょこちょこ顔見せをしているところ。
モブやちょい役なんかでも今後ターゲットになるかも？とちょっぴりワクワクしながら読み進めることができるのです！！

キスとリビドーで日本を救え！「リビドーハンタータケル」第1巻は全国書店にて発売中です！
濃い演出と濃いキャラが目を引くエロスラブコメである本作。
演出面や絵柄は師匠である中山敦支先生の影響が非常に強く出ていらっしゃいまして、リスペクトが溢れていらっしゃいます。
作品から漂う雰囲気的なもの、カバー下本体のデザイン等に加え、「ねじまきカギュー」のキャラもゲストともいえないくらいのちょい役ですが登場していたり……
エロスに惹かれる方々はもちろんのこと、中山先生ファンの方も見逃せない作品かもしれませんよ！！
さぁ、本屋さんに急ぎましょう！！