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本日紹介いたしますのはこちら、「死人(しびと)の声をきくがよい」第2巻~みんな死ぬ!!編~です。
作者はひよどり祥子(うぐいす祥子)先生。
秋田書店さんのチャンピオンREDコミックスより刊行、チャンピオンREDにて連載されています。

さて、いつも側に佇んでいる幼馴染の早川さんの幽霊とともに、望まないうちに怪異に巻き込まれ、それを潜り抜けていく岸田の日常を描く本作。
今巻も容赦なく襲い掛かる恐怖から、無事逃げ延びることができるのでしょうか?

ある日、岸田宛に小包が届いていました。
お母さんいわく「クソ野郎」から届いたという小包。
岸田はお父さんからか、珍しいねと言いながらそれを開いてみるのです。
中から出てきたのは、翻訳されて出版された様子の父のサイン入り著書と……妙な小箱です。
なんだろうと拾い上げてみると、すっと早川さんが現われて「やめた方がいい」と言ったような手振りをするではないですか。
触っちゃダメなの?と岸田が問いかけたときにはもうその手に小箱を握った後で。
岸田の鼻からは、血が滴り落ちるのです。
それは彼の体が発する、よくないものに近づいて時のサイン。
ということは……

その夜。
気がつくと岸田は奇妙な薄暗い小部屋で、机についていました。
そこに「純君、この書類にサインしてね」とにこやかに語りかけてくるものが現われます。
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その人物はなんと、夏服の早川さん。
呆気にとられている岸田に、そこにサインすれば契約成立だから、と食いふい来る早川さん。
その書類を見てみても、なんだか訳のわからないミミズののたくったような文字が躍っているばかりで、何がなんだかわかりません。
早く早く、そうしたら私、君の力になってあげるから。
そう言ってせかす早川さんをみて、まあ早川さんがそう言うなら、とペンを取る岸田。
ですがそこで気がつくのです。
なんで急に早川さんと会話できるようになったんだろう。
その時、こっ部屋の扉をどんどんと叩くような音が響き渡り……
その音がきっかけとなったのか、岸田は目を覚ましたのです。
そう、今までのは夢。
岸田が夢に君が出てきたよと語りかけると、なぜか早川さんは浮かない顔をしているのでした……

その日の岸田、なんだか体調が優れません。
だるさをガマンしながら体育の授業で柔道に挑む岸田。
ふっと意識が飛び、気がつくと
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なんと岸田はその試合相手の腕に噛みつき、流血させていたのです!!
そんなことをした覚えはまったくありません。
自分のしたことが信じられない岸田ですが……奇妙な出来事はそれだけでは終わらないのです。
帰り道、行われていた見知らぬ家のお葬式。
そこでまたも気がついた時に、安置された死体の間近に近づき……「おいしそう」と呟きながら涎をしたたらせていたのです!!
一体何が起きているんだ?何かがおかしい!
岸田はあの箱について父に尋ねようとするのですが、電話は繋がらず。
怯えながら夜を過ごすことになるのですが……
その夜、またも恐ろしい出来事がおこってしまうのです!!
夜道を一人で歩いている女性。
その女性に、ナイフが振り下ろされ……
はっと気がつくと、岸田の全身は血まみれ。
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そして足元でナイフが突き立てられた女性がうめいているのです……!!
何がなんだかわかりません。
ですが近づいてくるサイレンの音を聴き、岸田は逃げること以外の選択はできなかったのです……

頭から布団をかぶり、震える岸田。
僕は通り魔なのか……?
怯えながら早川さんにそう話しかけると、早川さんはあの箱を指差しました。
そういえば、すべてが始まったのは箱を手にしてから。
意を決し、再び岸田は父と連絡を取ってみることにしたのでした。

今度は連絡のついた父。
何でもあの箱には「グーラ」が封じられているんだそうです。
ゲーラとは、グール……食人鬼の女性名。
国によってはイフリートなどと同じような精霊の一種と考えられていて、伝承によるとグーらは美女に化けて人間をたぶらかし、肉を食らうと言います。
その箱は、霊的に無力化した精霊を身近に置くことで災厄を遠ざけてるという、お守りの一種のようです。
グーラ、人肉を食らう。
思い当たる節がありまくる岸田は、顔面を蒼白にします。
もしやすでに自分の体はのっとられつつあるのか?
通り魔をしたのはやはり自分なのか……?
そう悩む岸田の夢枕に、今日もグールは立つのでした。

今度はなんだかアマロリ風の格好をした早川さんの姿で現われ、サインを求めてくるグーラ。
なんで早川さんの姿なんだ?と尋ねてみますと、グーラは谷間をバックリと見せ付けた式野部長の姿になってみたり、スリットも眩しいチャイナドレスの姿になってみたりといろいろサービスしてくれます。
僕に構わないでくれ、と岸田は持ちかけてみますが、グーラは君とは霊的相性がピッタリなんだ、自分の意識が私に侵食され始めているのを感じるだそう?と聞く耳を持たないのです。
さらにグーラは岸田の腕を勝手に操作し、強引にサインさせようとし始めました!!
しかも深層心理に入り込んで岸田が想像するキモイ怪物を出現させ、その怪物に岸田の肉を食わせると言う彼つば攻撃まで仕掛けてきたのです!!
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そのキモイ怪物というのが、親友(?)小泉の顔面にたこのような足がたくさん生えていると言うものだったりするのがアレですが……
ところがそこで岸田はひとつのことに気がつくのです。
こんなことがあるわけがない、これは夢だ。
ということは……

再び小部屋の中で、岸田とグーラは二人きりになっていました。
ですが今度はすこし様子が違います。
ここは僕の夢の中。
ということは主導権は僕にあるはずだ。
そういった途端、グーラは急に旧スクール水着の姿に変わります。
グーラとは言え、格好は早川さん。
早川さんのスク水姿にちょっと頬を染めながら、岸田は言うのです。
君は僕の潜在意識に干渉しているだけ、本当はたいしたことないんじゃない?
丁度いいや、本物の早川さんにも来てもらおう。
どんどんと言う扉を叩く音は大きくなっていき、やがて
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扉を破壊して、冬服のセーラー服に身を包んだ影がその部屋に……!!

というわけで、自分を制御できない恐怖に苛まれるエピソードを収録した本作。
乗っ取られて人に噛み付くと言う、昔ながらの恐怖漫画のステレオタイプなネタが繰り広げられます。
ですが恐怖漫画と言うのはそう言う教科書通りのものをどれだけ恐ろしく描けるかというのが勝負な訳です!!
そのあたりはもちろんバッチリですし、早川さんと言う本作ならではの要素を使った逆転の様子や、悪霊を退治して終わりだったり破滅して終わりだったりとは一味違う捻りの聞いた落ちも完備!
ステレオタイプなのにオリジナリティもある一作に仕上がっているのです!!
もちろんこの他のお話も見所満点!!

下手すれば、いや下手をしなくてもギャグにしか見えない気のする独特の一編「白い手」、またも本作らしいどんでん返しが用意されている「無邪気な幽霊」、自己中我侭性悪巨乳、式野部長とともにツチノコの謎に迫る「降神山にツチノコを追え」などなど、7編が収録されています!!
中でもとりわけ目を引くのが「雪の日の記憶」と言うエピソード。
おぞましきストーカーを描いたお話なのですが、なんとこのお話では戦前の早川さんと岸田の絡みがたっぷりと収録!!
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謎に包まれていた早川さんの人となりや、岸田に対してどんな感情を持っていたのかがすべてでないにしろ明らかになるのです!!
ここで断片的に得られた情報が、本作最大の鍵である「早川さんが岸田の側に居続ける」謎を解くひとつの手がかりになるのかもしれません!!

今夜も怪奇は忍び寄る、「死人の声をきくがよい」第2巻~みんな死ぬ!!編~は全国書店にて発売中です!!
第2巻が出るかどうかは売り上げ次第だったとのことで、まずはこの第2巻の刊行を祝福したい本作!
このまま第3巻、第4巻と刊行していただきたいところです!!
早川さんの……岸田の謎が明らかになるその日まで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!