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本日紹介いたしますのはこちら、「名探偵マーニー」第4巻です。
作者は木々津克久先生。
秋田書店さんの少年チャンピオンコミックスより刊行、週刊少年チャンピオンにて連載中です。

さて、日当5000円+経費で探偵業を行っている女子高生、マーニーの日常を描いている本作。
木々津先生らしい、一捻りも二捻りも加えられた独特の事件が目を引く本作ですが、マーニーの過去と言う大きな物語の軸も用意されています。
今回はその軸の全容が、とうとう明かされることになるのです!!

落ち着いた雰囲気のいい感じのお店で、ある人物と待ち合わせをしているマーニー。
そのお相手は、これまた落ち着いた雰囲気の男性です。
何でもマーニーのパパ、ロイドと古い知り合いのようでして、今回は忙しいロイドに代わってマーニーが会うことになってのでした。

その用件は、ロイドの調査の協力であることに関して話が聞きたいというものです。
この男性、元特捜の佐賀瀬です。
元特捜に聞きたいことというのは、すなわち何かかこの犯罪者に絡むことなのでしょうか……?
ですがその時……いや、それ以前から佐賀瀬には気になっていることがありました。
この見せの中に、あやしい人物がいる。
2、いや、4人。
もちろんそのことはマーニーも気づいています。
どう見てもカタギには見えないというか、あからさまだ、と。
そのことに気づくとはさすが、ロイドに仕込まれたかと笑みを浮かべる佐賀瀬に、マーニーはどういう関係の人物かわかるかと尋ねました。
さりげなく、注意深く見回してみますが、あやしい人物がどんなスジの人間かを見極めるほどのモノはすぐには見当たらず。
佐賀瀬が考え込んでいますと、そこでマーニーはある話を切り出すのでした。

先月釈放されたある男。
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この喫茶店を行きつけにしたと言うその男は、史上最大の愉快犯「メカニック」と呼ばれた人物です。
この男からマーニーを守るため……ロイドは警察を追われることになってしまいました。

……燃え盛る日の中で泣き叫ぶ幼いマーニー。
その体には爆弾が巻きつけられているものの、それを解除すれば他の多数の人質の爆弾が起動する仕掛けになっていて。
マーニー一人の命か、他の大勢の命か。
警察官だったロイドは選択を迫られ……
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恐ろしい事件を嬉々として繰り返したその犯人。
用意周到にして犯行は大胆。
次々と顔を変え、身振りや癖も変え、その正体はつかめないまま。
人をあざ笑うように、歯車のような自分のマークを残す男についたあだ名が「メカニック(イカサマ師)」……
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メカニックは裁判で一部の罪を認め、司法取引をして2年の懲役という軽すぎる刑に服しました。
入所後は真面目に過ごし、罪への後悔も見られるためひと月前に仮釈放されます。
そして現在は監視から逃走し行方不明。
様々な悪夢を量産した犯罪者が今、野放しになっているのです!!

マーニーの脳裏には、今もまたこびりついています。
何の感情もない、人をゲームの駒にしか見ていない、ヤツの目が。
その焦燥感にマーニーは頭を掻き毟ります。
佐賀瀬は注文していたサンドイッチが来たからと左手で取り、自分も納得していないから君の気持ちはわかる、と落ち着かせようとします。
腕時計が光るその手を見て、マーニーは佐賀瀬に左利きなのかと聞き、さらに左利きの人が字を書くとき必ずする癖があるんだと筆記用具まで差し出しました。
誰がどう見てもこれは焦りすぎです。
佐賀瀬も何故そんなに緊張しているのか、そろそろ本題に入らないかとマーニーに言うのでした。

メカニック釈放のニュースが報じられた直後、「メカニックを殺す」という殺害予告がネットにあがりました。
メカニックに恨みを持つ人間はたくさんいます。
そんな彼らがどんな動機があるにせよ、本当か嘘かもわからない情報をネット上に大量に拡散させていきました。
過激な一団はその犯罪予告に便乗して活動を活発化させ、警察のサイバー対策本部も動き出す大騒動にまで拡大しました。
そんな中流れた、保護観察から逃亡の一報。
この店がメカニックの行きつけだと言うことはすでにネット上に知れ渡っています。
メカニックが近いうちにこの店に来るかもしれない。
それを待ち構えて、ヤツを殺そうとする人間が……この中に、いる。
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待ち合わせを申し込んだとき、この店を指定したのは佐賀瀬でした。
そして佐賀瀬は、メカニックと因縁があります。
佐賀瀬とメカニックの間には「いろいろあった」そうです。
佐賀瀬はメカニックを人として放っておけない種類の人間だと考えており……そして、長年勤めた刑事家業の最後に捕らえたのが、他ならぬメカニックだったといいます。
もちろんできることなら再び捕らえたいでしょう。
ですがこの店の中にやつを殺そうとする人間がいるなら、その中で捕まえるのは……
大丈夫、そのときは私が。
佐賀瀬が何かを言いかけたとき、店に一人の男が入ってきました。
それを見た瞬間、佐賀瀬は反応します。
メカニック!?いや、しかし、アレは……
戸惑いながらも佐賀瀬は、今まで一度も見せなかった、ポケットの中に突っ込まれた右手を出そうと動きます!!
マーニーはその瞬間を、待っていたのです!
パッと手錠を取り出し、どこかに用意していたのであろうダンベルと佐賀瀬の右手を繋いだのでした!!
思いもよらなかった行動に戸惑う佐賀瀬。
ですがマーニーはすべてを知っていたのです。
メカニックの犯罪予告をしたのが佐賀瀬で、やつを殺そうとこの店にずっと通っていたのも佐賀瀬だったと言うことを。
やってきたメカニックに似た男も、あからさまにあやしい数名の客も、この状況はすべて佐賀瀬を試すために整えられたものだったのです!!

この店にいたのはすべて警官で、佐賀瀬の様子を窺っていました。
サンドイッチを食べるときも筆記用具を出してときも右手を出さないうえ、そもそも左利きの人は左手に腕時計をしません。
それらのことが、右手に凶器を隠していることを如実にあらわしていました。
佐賀瀬もまた、メカニックによって家族を失っていました。
それなのに、捜査の不備やら人権やらでメカニックにあの程度の罰しか与えられなかったのが、刑事人生唯一にして最大の汚点だと考えていたのです。
最初こそ、佐賀瀬は被害者達を励まそうと考えていたんだそうです。
が、被害者に触れていくにつれ、彼らの怒りや絶望の深さに気がつかされました。
自分がしてあげられることはないか?
そう考えた結果、佐賀瀬の手には凶器が握られていたのです。
仕事は定年退職し、家族はもういない……失うもののない自分の余生と引き換えに、彼らの恨みを晴らそうと……
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とにかく事件は解決しました。
では警察に行こうかと席を立つと、ロイドは一枚のコースターに気が付きました。
店のものではないそのコースター、そこには大きく
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メカニックのサインが描かれていて……!!
メカニックは、この店にいたのです。
そしてずっと一連の事件を見ていたのでしょう。
笑いを押し殺しながら……!!

というわけで、ついに因縁深き怨敵、「メカニック」が登場することとなった本作。
マーニーの人生を、それどころか多くの人々の人生を狂わしてきたであろう底知れない人物メカニック。
おそらく彼を捕らえ、トラウマを払拭することがマーニーの目的にして、この探偵と言う仕事を営み始めたきっかけでもあるのでしょう。
ただ、このメカニックと言う男は一筋縄ではいかないどころの存在ではありません。
この後もマーニーの前にふらっと現われては、彼女をおちょくるように罠を仕掛けてきて……
一枚も二枚も上手の底知れぬ男に、マーニーの手が届く日は来るのでしょうか?
息を呑みながらその日を待つしかないのかもしれません!

もちろんメカニックがらみ以外の事件もたくさん収録しております。
マーニーの結構どうしようもない友人、ユリカちゃんが最近なぜか異常にはぶりがいいその理由とは?
天才探偵少年とメディアでもてはやされる少年がマーニーへしてきた依頼とは?
最近突然体調を崩した夫がしきりに会いたがる謎の友人の捜索……
様々な事件は、本作ならではと言った深層が隠されているものばかり!!
どれも引き込まれること必至の完成度の高いものになっていますよ!!

狂気の男、メカニックが登場する「名探偵マーニー」第4巻は全国書店にて発売中です!
いよいよ謎となっていたマーニーの過去が明かされ始めた本作。
避けられない巨大な壁、メカニックに立ち向かうマーニーの行く手に待っているのは?
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!