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本日紹介いたしますのはこちら、「グラゼニ」第11巻です。
作者は原作が森高夕次先生、漫画がアダチケイジ先生。
講談社さんのモーニングKCより刊行、モーニングにて連載されています。

さて、凡田と丸金の開き直りや幸運も重なり、まさかまさかの大逆転日本一に輝いてしまったスパイダース。
おまけに日本シリーズ序盤はまるで役立たずだった丸金と凡田が日本シリーズMVP候補に挙げられ、結局丸金がMVPに!
最後の最後に存在感を示した二人、気になる年俸はどうなるのでしょうか!?

棚ボタ的とは言え、日本シリーズのMVPに輝いた丸金。
スポーツ新聞なんかでは、今年の年俸500万円から10倍アップの5000万円くらいになるのではないか!?などと囁かれておりました。
ですが丸金は、ビックリするほど強気。
打率.311のリーグ4位、打点100の2位、ホームランは26本の3位。
シーズンでは3位を確定する価値あるホームランを放ち、クライマックスシリーズでは3割4分・ホームラン2本・打点9の八面六臂の大活躍。
日本シリーズでは成績こそ振るわなかったものの、優勝を決定付けるスリーランを打った上にMVP……
これだけの成績を残しているのだから、8倍増だの10倍増だのというのはありえないだろう!と断言するのです!
去年の丸金は年俸500万円でサインしました。
ですが一軍には一軍最低保障年俸というものがありまして、一軍登録された日の3日あたり20万円、噛み砕いて言うと一軍に登録された日数×6万6666円が支給されることになります。
今年の丸金は一軍に115日登録されていました。
一軍最低保障年俸が760万円、そこに年俸を足すと実質の年俸は1200万円超。
そこを基準として考え、1200万の5倍、6000万はもらえるはず……と主張するのです!!
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俺は今回そこを最低ラインで交渉する、と気合をみなぎらせる丸金。
そして貧乏生活から脱却を図り、一気に現在の埼玉の住まいからホーム球場の近くの港区に引っ越す、と断言したのでした!!

そんな気合を胸に望んだ年俸の交渉。
控えめながらも後ろには下がらない覚悟を感じさせる態度で交渉に臨むのですが……球団としては基本給5000万は動かせない、というのです。
実際スパイダースは「渋い」と言う噂も聞いていましたし、丸金もそこはやはりそう来たかと感じるのですが、公証人の言葉には続きがあったのです。
出来高契約を設定しよう、と。
これは要するに球団が設定した条件をクリアすると、プラスアルファでお給料がもらえるというシステム。
その金額をなんと2000万円も設定するというではないですか!!
最大で年俸7000万!ちゃんと評価してくれていたんだと胸をときめかせる丸金ですが、肝心なのはその条件の内容です。
恐る恐るその内訳を聞いてみますと……ホームラン10本以上で700万円、安打数100以上で800万、規定打席数(446打席)クリアで500万、とのこと。
パッと聞くと、今年の丸金の感じならそこまで難しくはなさそうな内容ではありますが……冷静になって考えれば、決して低いハードルではありません。
7000万と言いながら、どこかで全額払いたくないと言う気もちも見え隠れするような。
そこで丸金は、条件の変更を申し出てみます。
「100試合出場」のみでクリアにはしてもらえないか?と。
確かに100試合出場というのも簡単ではないでしょう。
ですが先ほどの3条件に比べれば、遥に楽な条件といえます。
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今年の活躍をもっと高く評価するべきだ、という丸金の些細な反抗心がチラッと顔を覗かせたわけですが、果たして……?

丸金を囲んで行われる、恒例の年俸探りの記者会見。
丸金は判を押していない、今日はお金の話をせず、今シーズンの話をしていただけだから……と汽車を前にして濁した表現に終始します。
ですがいうなれば、それこそがすんなり交渉がすすまなかった証。
さらに言うなら、こう言うお茶を濁す表現自体が大物にしか許されないものなのですが……
これは5000万提示でもめたな、と記者陣にはあっさりと推測されてしまうのです。
ですが丸金は、スパイダースにとって久々に出てきた「大スター」の候補生。
ここは金額的にも大花火を打ち上げてほしい、と記者も期待するのです。

そんな記者陣が猛一人話題にあげているのが、やはり凡田です。
1勝5敗、防御率5.24。
そんな成績だけ見れば、どう考えても年俸ダウンでしょう。
ですが実際の投球内容は悪くなかった上70イニングス以上投げていますし、クライマックスシリーズでMVP、日本シリーズで優秀投手賞、と最後の最後に鮮烈な印象を残したわけです。
こういったポストシーズンの働きが年俸を左右するかどうかは選手の契約なんかにもよるのでしょうが、凡田はどうなのでしょうか?
おそらく契約にポストシーズンの働きに関しての話題など何も入れて無いでしょうが、丸金同様今年のシメ周辺でとこれでもかといわんばかりの印象を残したわけで。
いくらなんでもこのことを無視して査定はできないのではないでしょう。
そのあたりを総合的に考えると、下がる、ということはなさそうですが?

で、迎えた凡田の契約更改交渉の日。
記者会見の場に現われた凡田は、判子を押していない、とキッパリ断言!
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して提示額はと聞かれると、これまたストレートに言うのです。
現状維持です!と!!

その後、凡田の元に顔見知りの記者がやってきて、やっぱりスパイダースアは渋かったのかと様子を窺ってきました。
その場にその記者の記者仲間で、別球団担当の記者が同席しているのを聞くと、凡田は旧にその記者に質問したいことがあると聞いてきたのです。
人気のないところに移動して尋ねたのは、その記者の担当チームにいた松浪と言うピッチャーに関してでした。
シーズンは1勝6敗くらいだったものの、シリーズで2先発2勝して優秀投手に選ばれた松浪は、そのオフに契約更改で揉めに揉めて年俸調停にまで持ち込んだのです。
2月になっても契約がまとまらず、慈悲でキャンプに参加したと言う彼、その問題の年から3年たった今はどうしているのか?と聞いてみますと……
先月の段階でクビになった、というじゃありませんか!!
年俸調停に持ち込んだのは印象が悪かったとは言え、もちろんそれだけではクビにはなりません。
問題の年の翌年は中継ぎで35試合投げて年俸アップ、その翌年も同じように活躍してさらに年俸アップと積みあげ、チームを見返した形となりました。
ですが今シーズンはキャンプのときに怪我をしてしまい、二軍落ち。
一軍では1試合登板でシーズンを終えてしまったのです。
年齢も31、年俸も5000万円とそれなりの高額。
去年までの活躍もあって擁護していたものもいたらしいのですが、それらの要素に3年前のゴネのあく印象も加わって、結果としてクビになってしまったのです。

それを聞いて凡田は、記者から見ても現状維持というのは渋いんじゃないか?という契約額にもかかわらず、ごねないことを決意しました。
大人しくやって、細く長く。
それが自分の生き様だ、と。
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ところがその時、スパイダースの方にも凡田の年俸に対して動きがあったりしたのです。
もちろん凡田はそんなことを知るはずもなく、ものすごーく腰を低くして交渉に挑もうとしていたのですが、スパイダースの方は……!?
意外な展開が待ち受けているのです!!

というわけで、本作ならではといえるリアルな契約更改交渉を描く今巻。
凡田のピッチャーとしての活躍ももちろん本作の面白さのひとつのなのですが、グラウンドに埋まる銭を掘るというコンセプトから言っても、むしろこっちの契約更改のほうが主題といえるかもしれません!
強気の丸金、一転して弱気の凡田。
チームを取り巻く状況も大きく左右する、その契約更改の結果やいかに!?

そして気になる過去編も収録。
順調(?)に野球部のエースとなった凡田に、思いもよらない出来事が起きてしまいます!!
こちらも必見ですよ!!

本編で試合一切無しの「グラゼニ」第11巻は全国書店にて発売中です!!
それでも面白いのはまさに本作の味。
野球に詳しい人ならより楽しく、詳しくない人でも普通の野球漫画とは違った楽しみ方ができること間違い無しですよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!