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本日紹介いたしますのはこちら、「フィッシュパークなかおち」です。
作者は小田扉先生。
小学館さんのビッグコミックスより刊行されました。

さて、本作はビッグコミックオリジナル増刊にて、06年から13年にかけて足掛け8年、4Pという少ページでコツコツ連載してきた作品を1冊にまとめたものです。
作品のジャンルとしては、小田先生が得意とする日常物。
ですがそのメインとなる舞台は……なんと釣堀!!
ほぼ釣堀一本でお話は進んでいくのですが、もちろん唯の釣堀じゃありません。
一風も二風も変わった釣堀、なかおちでは今日も何かが起きるのです!

青年の正面で、釣り糸をたらしている女性がいました。
いつも青年がここに来るとそこにいる彼女。
ずーっと一匹も釣果は上がらないようですが……そんなことより気になるのは、彼女の傍らにおいてあるグッズです。
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今日おいてあるのは墨汁と硯、筆に半紙。
……どうやら魚拓をとる気のようです。
実は先週まで、彼女の傍ら似合ったのは包丁とまな板でした。
つれたりしたらどうなることかと青年はひやひやしておりましたが、どうやら食べるのは諦めたようで一安心します。
そもそも釣ったその場で食わんとしている女性を見て、店主は何も言わないのでしょうか?
ええ、言わないのです。
ここの店主は一切客を詮索しません。
どれだけ通っても、話しかけてくることはまずないのです!!
それはこの釣堀で一番の常連と言ってもいいこの青年に関しても同様。
一度縞々模様のレトロな水着にモリと浮き輪装備で入場してみたものの、それでも店主はまゆひとつ動かさなかったのです。
それがこの、フィッシュパークなかおち最大の特徴にして利点。
滅多に魚がつれない、と言うことを抜きにすれば、孤独を愛する彼には最高の居心地を誇る場所なのです!!

別の日。
雨降りだと言うのによほど物好きなのか、彼女はまたこのなかおちにやってきていました。
まぁそれは青年に関しても同じことがいえるのですが……
前日にはクーラーボックスを持ってきていた彼女ですが、今日持ってきたビニール袋の膨らみ方はどこかで見覚えがある気がします。
沸き立つ不安を抑えながらさをと傘を構えていますと、雨がやみました。
すると彼女はそそくさとそのビニール袋から中身を取り出すのですが……それは青年が予想したとおり、七輪でした!!
食べる気が再燃してる!!
そもそもこの釣堀にいる魚はフナです。
鮒寿司などの特徴的な料理はあるものの、寄生虫がいるなどのこともあって一般的にはあまり食べられる種類の魚ではないはず。
そのことを彼女は知っているのかな?などと考えていたところ、彼女が読んでいる本のタイトルがちらりと見えました。
「絶品!!フナ料理」。
知った上での行動だったようです!!
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また別の日。
今度は七輪の上になべがセッティングされました。
基本的になかおちはキャッチ&リリースのお店。
商売道具が食べられようとしているのに、店主はあくまで静観を決め込むのでしょうか……!?
そして遂にはその鍋に野菜が添えられました。
……ここで青年はある可能性に思い当たります。
ひょっとして彼女もは魚を釣ろうとはしていないのではないだろうか?
過去に自分がしたように、どこまであの店主が平静でいられるのかを試そうとしているのではないだろうか?
そんなことを考えた瞬間、彼女が何かを釣り上げました。
それはフナではなく……長靴です。
どう考えてもはずれを吊り上げてしまったわけですが……何故か彼女、
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青年を見てニヤリ。
どうやら彼女、青年をライバル死してどちらが先につれるかの勝負を勝手に挑んでいたようなのです!!
しかもこの長靴で勝利を確信しているようで……
結局青年は、彼女に何もされないまま振り回されていただけなのでした。

というわけで、こんな感じで淡々と釣り掘りを取り巻く物語が描かれる本作。
今後もこの青年が主役になって……と言うことは無く、主役格のキャラクターはほぼ毎回入れ代わっていくことになります。
さらにこのお客さん同士が勝手に絡むようなお話だけではなく、お客さんを詮索しないはずの店主もお客さんに絡んでくることもあります。
そんな客同士のやり取りに店主が加わったお話、そしてもうひとつメインといえるのが店主のてこ入れです。
決して繁盛してるとはいえないなかおちを何とか守り立てようと、店主がいろいろと迷走するのです!!
いろいろあって温泉になってみたり、釣堀とゴルフの練習場を一体化させてみたり、賃貸住宅を釣堀の上に作ってみたり、お化け屋敷をはじめてみたり……
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どう考えても努力の方向性を間違っている店主。
とは言えその涙ぐましい努力を堪能するのもよろしいのではないでしょうか!!

小田先生珠玉のショート日常漫画、「フィッシュパークなかおち」は全国書店にて発売中です!!
迷い戸惑うお客さんたちと店主の日々を描いていく本作。
地味になりがちな日常漫画の中で、この作品はとりわけ地味といわざるをえません。
ですがだからと言ってイコールつまらないではありません!!
地味ながら面白い、という言葉こそがピッタリ来る本作、是非ともご賞味あれ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!