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本日紹介いたしますのはこちら、「新米婦警キルコさん」第3巻です。
作者は平方昌宏先生。
集英社さんのジャンプ・コミックスより刊行されました。

さて、流島に企業進出にやってきたと言うジンが現われた前巻。
ですがこのジン、どうやらたちの悪い犯罪者のようで、流島をその犯罪組織の本拠地にしようとしているようで。
このままでは流島はたいそう物騒な土地になってしまいそうですが、さらに悪いことにジンは警察の飢えの人間とも繋がっていて、おおっぴらに捜査を行うこともできず……
放っておけば流島は無法地帯に、かといって流島分署の一同単独で挑めば結果はどうあれ警察官を続けることはできなさそう。
キルコ達はその間で頭を悩ませるのでした!

夢だった婦警さんの道を自ら捨てて、この寂れきった流島の治安を維持するのか。
婦警を続けて、この流島を見捨てるのか?
キルコはその二つの道の選択を付けられずにいました。
ですがそんな事情をまったく知らない商店街の皆さんが、何故かキルコさんのきぐるみやらグッズやらを作って町おこしをしようという暴挙……もとい英断を下しまして。
町がおこされたかどうかはともかくとしまして、結果として島のみんなが駆けつけて突発的キルコさんフェアは大成功に。
老若男女問わずキルコさんのことを受け入れてくれている。
その様子を見てキルコさんは思わず感涙!
自分はこの流島のおまわりさんだ、ここを守らなければいけない!
迷いを吹っ切ったキルコさん、そしてその思いに賛同し、一同もまた仁に挑む決意を固めたのでした!!
……安錠以外!!

ジンの逮捕を可能にするタイミングは、ごく僅か。
明日の夜、ここにジンの所有するカジノ船が着港するその時を持って他にありません。
タイミングはそこだけ、と言うのはいいとしまして、問題は陣に対する逮捕状がでていないと言うこと。
物証が無い犯人を逮捕する方法、と言いますと……自首を促す、というくらいしかすぐに思いつく方法はありません。
署長の作戦はまさにそれ。
思わず罪を白状してしまいたくなるくらい、酷い目にあってもらうしかない!と言い出すのです!!
とは言えそれは、キルコさんがいつもやっていることと言えばやっていることなワケで。
いつものように、キルコさんの「おしおき」で、ジンにトラウマのひとつでも植えつけてやろうという……まあ要するに力任せ、ということなのでした!!

バレットにとってその作戦は望むところですし、つい先日ジンの差し金で本庁からこの流島分署にとばされたらしい事を知った知秋もやる気まんまんです!
ですがそこでその作戦に異を唱えたのは、やっぱり安錠……ではなく、
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キルコさんその人でした!!
なんとキルコさん自分ひとりだけで敵地へ乗り込むと言うではないですか!
乗り込めば最後、その時点で知秋(と安錠)は職を失ってしまうことになります。
それはあんまりですし、そもそも武装兵が待ち構えているであろう場所に一般の警察官でしかない人物をその激戦の渦中に連れて行くことが危険極まりないことです。
ならばキルコさんに引けをとらない実力を持つバレットは行くべきじゃないかというところなのですが、そこもキルコさんは織り込み済み。
万一キルコさんが失敗したとき、敵の反撃の手からみんなを守ってもらわなければいけない、と考えていてのです。
どうあってもジンは私が止めます、なんたって私は元傭兵の婦警さんなんですよ!
笑顔でそう言い残し、キルコさんは準備があるからと早退して行ってしまったのですが……
もちろんそれが空元気であることは言うまでもありません。
ほっとけるわけ無い、あのドジで可愛い新米を!と、彼女の思いを知ってなお、いやだからこそ同行する意思を強くする知秋。
それはバレットも同じです。
もともと自分はキルコのためだけに日本にいるんだから、と気合を込めなおしました。
そして安錠は真剣な表情で……おまえらならどうにかうまいことやれるだろう、俺は安心してここで待ってるぜ!とここで空気を読まない発言をしやがりました!
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当然バレットと知秋からは批難がごうごうなのですが、署長はそれを諌めるのです。
今回の件の参加はあくまで自由意志。
人生に関わってくることだし、イヤだって言うなら強制しちゃいけないよ、と署長らしからぬ理性的な判断をするのです。

翌日。
安錠は一人、流島分署の自分の机に座っておりました。
みんな今夜の準備をしているのか、どうしてこんな秘境のためにそこまでするのかわからないな、と毒づく安錠ですが……
たった一人ならエロスな本を見放題じゃないか!と気を取り直し、机の上に大量に広げて賢者への道を歩み始めるのです!!
……ところが、何よりも至福であるはずのエンジョイ・ザ・エロスがどうにも心から楽しむことができません。
頭に過ぎるのは、ころころ代わるキルコさんの表情の数々……
その思いを振り切るかのように、安錠はお昼ごはんを買うために外へ出て行くのでした。

するとそこでたまたま、キルコを慕う小学生軍団と鉢合わせしてしまいます。
出会うなりキルコはどこにいるのか、と尋ねてくる小学生たちに、安錠は何故かイライラ。
なんでどいつもこいつもキルコキルコなんだ、冷静に見ておかしいだろうあんな婦警!と当り散らしてしまうのです。
そこが面白いんじゃないかと言い出す小学生たちですが、そこに違和感を持てよ、馴らされすぎだぞ、と安錠の勢いはもう止まりません!
今日はなんか変だよと小学生たちに心配までされ始める安錠、だから変なのはそっちだとさらにブチ切れ!
俺がアイツといていったいどんな目に会ったと思ってるんだ!!と怒鳴るのですが……
その瞬間、脳裏に今まであわされてきたことが浮かんできました。
笑ったり泣いたり喜んだり。
キルコさんと出会ってから安錠におきたことは、酷い事だけだったのでしょうか……?
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安錠はぴたりとその動きを止め、一瞬沈んだ表情を浮かべたかと思うと、今度は空に向かってひときわ大きな声で叫びました!
ド畜生が、ほっときゃいいのに馬鹿だもう俺もいつも!
せめてやつが巨乳じゃなければ!!
そして走り去っていく安錠。
取り残された小学生たちは呆気に取られてそれを見送るばかりですが……安錠が向かった先はもうあそこ以外ありえないじゃないですか!
戦闘服と言う名目(?)の身元バレ防止用ケルベロくんきぐるみにその身を包み、一同が集結していた港へ!!
まさか来てくれるとは、いったいなんで?本当に安錠なのか!?と仲間のはずのみんなから酷い評価を受けつつも、安錠は言うのです!
なんでもクソもあるか、
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俺はお前の先輩だろうが!と!!
まさかの全員集合となった流島分署。
挑む把握の組織の大ボス、ジンとその厄介な仲間達!!
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幕を開ける本作最大の決戦、その結末は?
そして安錠に活躍の場面なんてあるのでしょうか!?

というわけで、ほぼまる1冊を使って繰り広げられるラストバトル。
キルコたちの前に立ちはだかるのは、かつての古巣、ファントム部隊で教鞭をとっていたキルコさんの師匠!
さらには前巻で登場した只者じゃない双子の兄妹、ライとメイの正体も判明し、彼らをも巻き込んだ大バトルへと発展していくのです!!
いつになくシリアスなバトル展開、と思いきややっぱり中身はいつものドタバタギャグが繰り広げられていく今巻、最後にまっている結末は……?

さらに雑誌掲載時の最終話の後のエピローグ的な内容のお話をまるまる一話、なんと13ページ描き下ろしで収録!
そのほかにも様々なおまけ要素がたっぷりと収録されておりまして、最後の最後まで楽しめる盛り沢山の内容となっていますよ!!

これにて一件落着、「新米婦警キルコさん」最終第3巻は全国書店にて発売中です!
全3巻とは言え、急すぎる展開もなく綺麗にまとまって終わりを迎えた本作。
この後もスマートフォン用雑誌、ジャンプLIVEにて「帰ってきたっ!新米婦警キルコさん」が連載されたりもしまして、もしかしたらの復活も期待したくなってきます!
完全復活ももちろんお願いしたいところですが、とりあえず「帰ってきたっ!」の方もなんらかの形で単行本に掲載してほしいところですが……どうでしょうか集英社さん!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!