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本日紹介いたしますのはこちら、「補助隊モズクス」第2巻です。
作者は高田築先生。
エンターブレインさんのビームコミックスより刊行されました。

さて、ひょんなことから「式神使い」となり、人間の体を乗っ取って人々を殺していく謎の存在「倫虫」を倒すことを生業とし始めることとなった東海林。
ですがその式神は、東海林の思っていることを頼んでもいないのに勝手に代弁してしまう三人の子供のような扱いの面倒な存在ですし、何より倫虫は個体差はあれど、人間を容赦なく惨殺していく恐ろしい存在で。
東海林をこの道に引き込んだともいえる女性、若木や、サポートしてくれる警察官の蒲生、同じく式神使いの遊佐などなど、周囲の人物も食えない存在ばかり。
東海林の前途は多難なようです!!

とある田舎の村。
二郎は学校から帰ると、すぐに家をでて友達と一緒に野球をしようと考えていました。
一番早く集合場所に来たやつがバッターで、一番遅く着いたものがキャッチャーをやらされる、というので、手早く着替えて少しでも早くその集合場所に行きたかったのですが……家に入る前から、庭先にでていたお母さんにゴミを埋める穴を掘ってくれと言われてしまいました。
面倒な仕事を断りたいのはやまやまですが、お母さんは腰の調子がよくないようで。
かといってすぐにやる時間はありませんので、後でやるからそこに道具を置いておいてと答えて家の中にはいるのです。
どうして甲面倒な仕事ばっかり俺に……とぼやきながら、2階の自分の部屋に向かおうとする二郎。
ですがその時、2階に「何か」の気配を感じました。
その瞬間、「一界!」と叫ぶ二郎!
これは式神使いが3体いる自分の式神の一体目を呼ぶときの呪文のようなもの。
言葉と同時に、床から式神が現われ、「何か」に向かって手にしていた武器で切りかかって行ったのです!!
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そう、二郎もまた式神使いだったのでした!!

二郎宅に現われた「何か」は、倫虫ではありませんでした。
東海林をスカウト(?)した式神使い、若木の式神だったのです。
なぜ若木がわざわざ二郎の家まで来て、そして式神でプレッシャーをかけてきたのか?
それは、二郎の式神の使役力を確認するため。
そして充分戦力になると判断したのでしょう、二郎の力を借りよう、という目的のためでした。
場所は、東京……渋谷。
ヘタをすればとんでもない数の犠牲者がでかねない場所に、倫虫は現われたようです!!
ところが二郎、その倫無視の状況などを一切聞かないまま、お断りしますと協力しないことを断言したのです。
家を見回してみれば、大きなテレビはコンセントが切断されて見られないようにしてあります。
……情報を遮断し、倫虫の被害をあえて自分に届かないようにしているのでしょう。
まだ14の二郎にとって、命を賭けて戦わなければならないと言うのはあまりに残酷な運命です。
受け入れたくないのもわかりますが……
だからと言って、力のあるものがそれを隠して自分だけは安穏に暮らそうと言う考えが、若木は気に入らないのかもしれません。
若木は強引に一本の動画を見せました。
闇夜の街を歩く、白い児童。
そして、その児童に腕を切断されてしまい、いまだその腕が見つかっていないと言う少年……
その少年は、まだ13歳だといいます。
自分よりも小さい少年が、倫虫によって理不尽な被害を受けている。
少しは心が動かされたのか、二郎はその腕を探すのか?と若木に尋ねて来ました。
もちろんそんなわけがありません。
若木は言うのです。
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腕を探すのは警察がやっている。
私とキミは、白いガキを殺す。

その白い児童は、新たな獲物をその毒牙にかけていました。
図書館で本の片付けをしていた少女。
早く終わらせて友達とドーナツを食べに行こう、などと考えていた彼女に……白い児童は音もなく駆け寄ってきます。
それに気がついた少女はたまらず逃げ出そうとするのですが
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気がつけばまわりは白い児童「達」に取り囲まれていて……!!
少女にできることは、もはや悲鳴を挙げることだけでした。
白い児童は草刈をするかのようにたやすく少女の首を刈り取り、その首をいずこかへと持ち去るのでした……

その頃東海林はというと、自分が式神を持つハメになってしまった、因縁のホテルに来ていました。
そこで東海林は、式神のことを最初に少しだけ教えてくれたホテルの従業員の女性に話を聞いてみることにします。
彼女は式神を使って倫虫と戦っていると言う東海林の今を聞いて大感動!
握手してください、サインしてください!と何故かはしゃいでおります。
何でも以前東海林の式神の持ち主であったこのホテルの支配人は、式神を守り神と考えて大事にしていたそうです。
結果として彼らと共生していた為に、倫虫に殺されてしまったわけですが……
それでも、支配人は式神たちに「もずく酢を与えると喜ぶ」からモズクスと名づけて可愛がっていたようで。
志半ばでその命は奪われてしまいましたが、支配人もこうしてモズクスを受け継いでもらって喜んでいる、かもしれません。
ですが正直な話、東海林はこのモズクスたちから解放されたいのです。
何か力に慣れることはあるかと尋ねてくる従業員に、東海林はひとつの考えを明かしました。
先日の戦いで、若木の3体の式神のうちの1体が死んだ。
俺もこいつらを少しずつ減らしていく方向を探っている。
いい方法はないか?と。
ですがそこで彼女から帰ってきたのは、思いもよらない言葉だったのです!
そんなことをすれば、貴方も死んでしまいます。
……何でも、人間は式神と契約した時点でその寿命を式神に預けた形になるんだそうです。
式神全員が死んだときは、寿命がなくなるとき。
すなわち自分も死ぬときだと。
そしてさらにショッキングな事実が続けて明かされました。
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式神が1体死ねば、寿命が3分の1減ることになる。
式神が1体やられたその人……若木は、おそらく60歳くらいで、死ぬ。

あまりにも衝撃的な事実を知らされることとなった東海林。
しかしその従業員……世衣良(せいら)が与えてくれたのは、その残酷な現実を突きつける言葉だけではありませんでした。
生来のドジから失敗続きの上、横暴なお客さんの振る舞いにもにこやかに答えて仕事を続けるせいら。
毎日大変そうだけど、辞めたくならないのか?という問いに、彼女は甲答えたのです。
なりますが、それはあきらめるということじゃないですか。
諦めると言うことは自分に負けると言うことですし、自分に負けた後は後悔しか残らないと思います。
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後悔は嫌いなので、諦めません。
……ホテルを後にする東海林の耳に飛び込んでくるのは、白い児童による新たな被害者の報せ。
東海林の頭の中には、彼女の言葉が反響し……
彼の中に、確実に新たな力を滾らせてくれたのでした!!

というわけで、衝撃的な事実が明らかになる本作。
前巻で蒲生が言っていた、「式神使いは早死にする」と言う言葉が、戦いによって直接死ぬと言うだけの意味ではないと言うことが解りました。
ただでさえ危険極まりない倫虫との戦いが、これでより一層踏み出しにくいものになってしまったわけです。
が、それと同時に若木の寿命がすでに3分の1削られてしまったことがわかり、倫虫によって殺されてしまう罪なき人々を見過ごす「後悔」のみならず、ともに戦っている仲間がはっきりとわかる形で死に向かっていると言うことを見過ごす「後悔」を生むことになりまして。
この事実は東海林の闘志をそぐどころか、逆に燃え上がらせることになるようです!!
ですがそんな東海林の闘志が倫虫による被害を一気に減らすと言うことはありません。
今巻でも昨今の漫画には珍しいくらい被害者は続出!
さらに衝撃的な出来事も待っているのです!!

そして意思疎通のできない、人々に危害を加えるのみの存在だと東海林が思い込んでいた倫虫に関しての事実もすこしだけ明かされます。
倫虫は必ずしも、人間に攻撃を仕掛けてくるものばかりではない。
そんな事実が、ある事件によって明かされることになるのですが……この事実もまた、東海林にいざと言うときの致命的な迷いを生むことになりかねません!
式神の真実、倫虫の謎、すぐそこに迫る死。
今後の展開に目が話せませんね!!

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犠牲者が続出するシビアな戦いを描く本作。
登場した新キャラクターなどもいつ死んじゃうかわからない、スリルある展開が連続ですよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!