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本日紹介いたしますのはこちら、「TAIL STAR(テイルスター)」第1巻です。
作者はokama先生。
集英社さんのヤングジャンプ・コミックス・ウルトラより刊行、ウルトラジャンプにて連載されています。

さて、本作はファンタジー的な世界でのバトル物です。
独特の世界観の中で繰り広げられる、容赦ない残酷な戦いが目を引く作品となっているのです!!

はるか遠い宇宙にある、地球のような青い星。
そこには二人の女王がいました。
白き女王と黒き女王が。
白き女王は美しく優しい存在でしたが、黒き女王は神経質で邪悪。
全てにおいて自分よりも優れている白き女王が、キライで、ねたましくて、恐れていた黒き女王。
黒き女王は祈っていました。
白き女王の死を……
そんなあるとき、二人の間にとうとう大きな争いがおこってしまいます。
後の世で「女王大戦」と呼ばれることになるその争いは、黒き女王の統治する帝国と、白き女王の庇護を受けるもの達の連合軍との、星を二つに分ける巨大な争いに。
その激しい戦いの末に勝利をおさめたのは、黒き女王。
黒き女王の祈りは、現実のものとなったのです。
白き女王を失った国々は、降伏して黒き女王の属国となるか、あるいは滅ぼされてしまいました。
……たった一つの国を除いて。
それが辺境にある小さな国、アゲハの国だったのです。

黒き女王が全ての国を統治するか、滅ぼすかしていたのには理由がありました。
どこからか再び、白き女王が生まれてくるのではないか?
それを何よりも恐れていた黒き女王は、生まれてきた子供たちを全て調べ、白き女王の生まれ変わりではないかをチェックしていたのです。
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ですがアゲハの国だけは、属国に身を落としてこそいたものの、赤子を差し出すことを拒否していまして……
痺れを切らした黒き女王は、アゲハの国にいわれなき疑いをかけ、戦争を始めると一方的に宣言!
女王は使者としてやって来ていた首相を殺害。
そして女王だけが持つと言う星を操る力を使い、アゲハの国を大陸ごと破壊してしまったのです!!
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あまりにも理不尽な攻撃に、ほとんどの国民たちはその命を散らしてしまいます。
生き残ったわずかな国民たちは、帝国内に入り込み、行きを潜めて生きていくより他なく……
その非道にさらされた、長老の娘マユはただ怯えるばかり。
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そんなマユを抱きしめ、ともに震えていた少年、サナギはやがてその恐怖の震えを怒りの震えに変えていって……
白も黒も関係無い、こんな力を人が持っていてはいけないんだ。
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俺が女王後とたたき斬ってやる!!
サナギは幼い心に、烈火のような怒りを燃やすのでした!

黒き女王の刺客は容赦なく襲い掛かってきます。
隠れ住んでいたアゲハの民は発見されるたびに殺されていき……
逃げていてもやられるだけ。
もはや3桁に届いているかもあやしいくらいの人数にまで減っていた集団に暮らすサナギは、この集団のリーダーである尾頭にもう戦うしかないと提案をするのです。
が、サナギはまだ幼く、黒き女王を護る「流星兵」に対抗するアゲハの戦士、「尾狩人」の見習いに過ぎないわけで。
だったらすぐに見習いを卒業させろと食って掛かるサナギですが、それをとめたのは一人前の尾狩人であるロブでした。
ロブはお仕置きとばかりにサナギの肩を叩いたのですが、サナギはというと本気でそれに反撃!
全力の金的と、全力の頭部へのとび蹴りを見舞ったのです!
こんなガチの攻撃をされてガマンできるほどロブも優しくはありません。
反撃を敢行し、結果としてはサナギをそれはもうボッコボコにして懲らしめたのですが……
サナギの垣間見せた、戦闘に対しての天賦の才、そして折れることのない闘志には目を見張るしかありません!
真っ赤に顔を晴らし、前も満足に見えない状態になってもまだ、
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俺は女王を倒すんだ!と闘志を滾らせるのです。

満足な食べ物も手に入れられず、集団の民は皆飢えに耐えながら生活を続けていました。
これ以上はもう耐えることはできない……サナギの闘志にもあてられ、一同は黒き女王を討つために戦いの訓練を始めることにしました。
しかしそれは、本当に黒き女王を倒そうと言う目標のためではありません。
絶望しきった人々二本のわずかでも、生きる希望を与えるためのままごとに過ぎないのです。
実際に戦力に数えられるのは、せいぜい尾狩人12名とサナギくらい。
対する流星兵は、5000名以上いるのですから……
ですがまったく希望がゼロと言うわけではないのです。
黒き女王に対抗する、白き女王。
実はすでにその生まれ変わりは、この集落の中にいると言うのですから!
しかしその白き女王の生まれ変わりが目覚め、黒き女王に対抗できる星を操る力が使えるようになるには少なくともあと5年は必要だといいます。
この戦力で、5年間生き延びなければならない。
その希望も、はるかに遠い道のりなのです……
そのわずかな希望を繋ぐための希望、もあるにはあるのです。
かつては60万人いた尾狩人の頂点に立つ、伝説の達人「尾王」。
尾王ならば黒き女王攻撃から逃れられたはず。
尾王を見つけ出し、協力を取り付けられれば何とかなるかもしれません。
今のところ生存の可能性がある尾王は10名。
彼らを見つけ出すほか、もう道はない。
尾頭と長老は人材不足に頭を悩ませつつも、尾王探しのたびにでることを決意したのでした!!

尾王を探す旅、そしてロブとの訓練で着々と実力を付けていくサナギ。
辛い生活は続いていますが、わずかながら希望が湧いてきたアゲハの民達。
ですがそこに、とうとうやってきてしまったのです。
アゲハの民に死だけを与える為にやって来る絶望の存在、
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流星兵が!!
流星兵は頭部に付いた尻尾を武器にして、次々に殺戮を繰り返していきます。
その戦闘力は、対抗できるはずだった尾狩人でもまったく歯が立たないほどで……
ほんのわずかな希望すらも踏みにじる、絶対的な恐怖。
果たしてサナギたちはこの危険を乗り切り、希望をつなぐことができるのでしょうか?

というわけで、衝撃的な展開が連続する本作。
前作「クロスロオド」でも残酷な展開はありましたが、本作はそれに輪をかけてシビアな展開ばかり!
okama先生の芸風のひとつでもある、どこか能天気な感じのギャグはほとんど見られず、ひたすらハードな物語が描かれていくのです!
その凄まじい戦いは、この第1巻の時点で脱落者がでるほどで……
息詰まる攻防、ショッキングな展開。
その息詰まる戦いの緊張感は、読者をひきつけてくれることでしょう!
そして気になる女王の生まれ変わり。
これは読んでいただければすぐにわかるほどフラグがビンビンたっておりまして。
そのフラグ通りであることがこの巻のうちで語られるのですが……
黒き女王がその顔を見せていないこともひっかかりまして、まだ何か秘密が隠されている気がします!
そんな女王周りの謎も含め、予想できない先が待っていそうです!!

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連載開始から1年半たち、ようやく待望の単行本刊行となった本作。
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