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本日紹介いたしますのはこちら、「水木しげる漫画大全集 悪魔くん」です。
作者は水木しげる先生。
講談社さんより刊行されました。

さて、本作は水木先生の代表作のひとつである作品です。
「悪魔くん」は水木先生の他作品と同じように何種類かのバージョンが存在します。
ざっくりわけると、貸本で連載された松下版、マガジンで連載された山田版、そしてボンボンで連載された埋れ木版の三種がありまして、本作はその2作目、山田版が掲載されています。
あのメフィスト2世を中心とした12使徒が活躍するアニメ版の原作は埋れ木版でして、本作は基本的にメフィストだけが戦う、66年から放映された実写版の原作ととなっています!

3000年前の予言に従い、地下から悪魔を呼び出して地上に夢のような天国を作ると言われている「悪魔くん」を捜し歩く老人、ファウスト。
気力で(!)300年間生き続け、探し続けてきましたがそれももう限界を迎えようとしています。
たとえ幽霊になってもその子供に悪魔の操り方を教えなければならない。
そう心の中で誓いながら、意識を薄れさせていくのでした……

彼が捜し求めていた悪魔くんは、東京にすんでおりました。
その悪魔くんの那は、山田真吾。
彼は今まさに協力者の少年、貧太とともに悪魔を呼び出そうとしています。
裏手にある寺の地下にある広大な洞穴。
そこに悪魔くんと貧太は文献に従って巨大な魔法陣を描き、召喚の呪文を唱えるのです!
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エロイムエッサイム、われはもとめうったえたり!
その呪文が響き渡ると同時に、周囲には唸るように大きな地鳴りが巻き起こり始めます。
その音の源はもちろん悪魔くんの魔法陣。
地面が大きく盛り上がり、何かが近寄り這い出そうとしていたのです!!
にょっきりと突き出した、ツメもまがまがしい巨大な手のひら!!
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……ところが、その手は程なくして唯の土くれへと変わっていってしまい……
どうやら失敗だったようです。
魔法陣や魔法は間違っていないはず。
それなのに、今回で召喚の儀式は102回目の失敗です。
何がいけないのだろうか?
頭を捻る悪魔くんですが、あの人物との出会いがその疑問を一気に解消することになるのです!!

悪魔くんはゴミ捨て場でわりとあっさりファウストと遭遇。
そして自然にアドバイスを受けることになります。
ファウストによれば、あの大きな手は土の精でなんでもないものなんだそうです。
そして、悪魔くんの儀式はバッチリ成立していて、後はなんていいますか、ガイド的なパワーがあれば大丈夫なようで。
そのガイドはそうとう体力を使うんだそうで、その役目はファウストが負ってくれることとなりました。
悪魔くんと貧太の呪文にあわせて、ビビビとパワーを発射するファウスト!!
すると空のかなたから大気の生霊なる力の塊が姿を現し……
ファウストに直撃したのでした!!

その衝撃でファウストは今度こそ死亡。
今際の際に、もう悪魔は出現しているはずだが、悪魔はケチで下手な対応をすると尻の毛一本まで取られてしまうから、この道具を使って脅かしながら有利に契約しろ、と一本の笛を渡してくれました。
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それこそがソロモンの笛。
悪魔を従えさせるために不可欠なアイテムです!!
そしてファウストは、現世は夢となり、夢は現世となる!と言い遺して絶命するのでした。
悪魔くんは、なんと言う風変わりな死に方であろう、となんかよくわからない悼みの言葉をかけ、決意を新たにします。
博士の夢は僕の夢でもあり、すべての人間の夢でもある。
僕はやるぞ!と!!

貧太が血相を変えて、悪魔が現われたぞ!と呼びにきました。
慌てて悪魔の元へ飛んでいくと、そこにいたのはシルクハットにタキシードでビシッときめた紳士然とした男でした。
海千山千の雰囲気を持った男、ただの少年にしか見えない悪魔くんを、見下しながらふっかけてくる紳士!
ですがそこで威光を放つのがソロモンの笛。
その笛を吹こうと言うしぐさを見せるだけで、紳士は引っくり返るほど嫌がるではないですか!
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やむなく、その出くわした事件ごとに値段をつけていこうと譲歩する紳士。
ですがそれに加え、住む場所がほしいと要求してきました。
予言に示された天才少年と言えど、所詮は少年。
部屋を用意するような財力はありませんので、やむなく紳士を家庭教師してくれる人と紹介して自宅に居候させようとするのです。
ところがそこで、不思議なことがおこったのです。
悪魔くんのポケットにねじ込まれていたソロモンの笛がふわりと浮かび上がり、ひとりでにどこかに飛び去っていってしまったのです!!
これが無くってはなにも始まりません!
悪魔くんはすかさずその笛に飛びつくのですが、笛はどんどんと進んで息、終いには船にまで乗って(笛がですよ!)しまうではないですか!!
それでも笛を離すわけには行きません!!
道中でクラスメイトの「情報屋」を巻き込み、大きな川の中洲のような場所へとやって来てしまいました。
その中州の土中に沈みこんでいくソロモンの笛。
その笛を掘り出そうと、地面をほじくる悪魔くんですが、そこに奇怪なことに「草」が集まりだし……!
やがてその草は一塊の怪物となり、悪魔くんたちに襲い掛かってきたのです!!
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にわかにやってきた大ピンチ。
悪魔くんはこの危機を乗り越え、人類の悲願を果たすことができるのでしょうか!?

というわけで、悪魔くんの地上の天国実現へ向けての戦いが描かれる本作。
まあ実際はおおらかな水木先生らしく、その地上の天国実現と言う夢はすっかりどこかに行ってしまい、毎回登場する様々な怪獣やら妖怪やらと戦う展開になって行きます。
本作で面白いのは、おなじみの妖怪なども出るには出るものの、メインとなる敵は水木先生(家、おそらく実写版のスタッフさん)のによるオリジナルの敵だと言うところ。
最初の敵こそ後のアニメでもおなじみとなる「百目」の親御さんを元にした「ガンマ」と妖怪チックなものなのですが、その後無敵戦艦(?)の「なんじゃもんじゃ」やら、ドリアン・グレイ的な名無しの妖婆、人を蜘蛛へと変身させる「クモ仙人」、口から豚の糞を吐き出す(!)巨大怪獣「ビチゴン」などなど、もう自由きわまりありません!
水木先生らしさが溢れ放題の敵とのバトルは、いろいろな意味で見所満点ですよ!!
さらにもはや恒例な気がするその「えっ?」と思わず漏らしてしまう結末もある意味で必見です!!

連載時に掲載された、様々な企画ページや絵物語、水木先生の本気イラストなんかもふんだんに掲載。
資料的な面でもひきつけられる内容となっているのです!!

水木先生の映像化作品第一弾、「水木しげる漫画大全集 悪魔くん」は全国書店にて発売中です!
後に水木先生の人気を不動のものとする「鬼太郎」アニメ化の試金石となったともいえる本作。
その期待にこたえる、見所満載の作品になっていますよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!