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本日紹介いたしますのはこちら、「籠女の邑」第3巻です。
作者はCuvie先生。
講談社さんのシリウスKCより刊行されました。

さて、謎多きカゴメムラに迷い込み、命の危険にさらされた岩松。
止めてもらっていた屋敷の料理人、小崎によって岩松はその村から出ることが出来たのですが、命が助かったといって逃げ出すわけにもいきません。
一緒に迷い込んだ親友の川名が村のどこかに捕まっているだけでなく、村では腫れ物を触るようにあつかわれている屋敷の娘、あやめの存在をどうしても放っておけない。
また村に入ったら命は無いと思え、といわれた岩松ではありますが、近隣の村の警察にも助けを求めてもう一度村に向かう決意をするのでした。

正直言って、近隣の村の駐在さんはあからさまにカゴメムラには関わりたがっていませんでした。
ヘタをすれば単なる家出による失踪として処理されてしまいそうなところで、岩松はたとえ一人でも川名を探しにいこうとしていたでしょう。
ですが幸いにも、カゴメムラに関して調査を進めている、県警の警部補がそこへ駆けつけてくれたのです。
その警部補、稲盛は早速情報提供者の岩松をつれてカゴメムラに向かおうとするのですが、それを駐在がとめようとしました。
彼はその村で何度も危ない目にあって、命からがら逃げ出してきたといっている。
しかも未成年だし、詳しい話を聞いた後保護者に引き取りに来てもらった方がいいのではないか?
確かにその主張も頷けます。
ですが岩松は頑として引きません!
俺は大丈夫、連れて行ってください!
俺がいないと川名のことが見つけられない気がする、お化けみたいに消えてしまうような気がするんです!
あのカゴメムラでは、川名は「最初から存在しなかった」かのようにあつかわれていました。
そんなこともあってお化けのように、と言ったのでしょうが、この稲盛はお化けなど存在しない、例えだとしても非合理的だからやめてくれ、と言い放ったのです。
が、岩松の熱意は伝わったようです。
存在しなかったかのようにあつかわれていたと言うことは、そのままでは本当に失われてしまうかもしれない!
そう言って岩松を連れ、二人でカゴメムラに向かうことになったのでした!
……が、駐在は不安そうにそれを見送っています。
去り際に稲盛が残して言った、本部の支持があればよろしくという言葉。
駐在は漏らすのです。
本部の指示。
そんなものがあればいいが、と……

車内で岩松は稲盛に説明をします。
戻ってきたら消す、と脅されたこと。
そして、あの村で何人もそうして殺された人がいた、と告げられたこと。
そう言いながらも逃がしてくれたのが小崎なわけですが、だとしたら岩松がのこのこ村に戻れば今度は小崎のみが危ないかもしれない。
岩松はそう告げるのですが、そこで稲盛はひっかかるものを感じました。
廃校になった中学校で、散り散りになって言った教職員の中、行方知れずになった用務員。
その用務員の名前が小崎でした。
カゴメムラのあるオサキ地区の出身だけに、いずれ戻ってくるだろうとは思われていたものの……
用務員と料理人、立場的にはあまり結びつきませんが、ひょっとしたら同一人物なのでしょうか?
岩松の感に過ぎませんが、小崎も「余所者」のような予感がして。
以前殺されてしまった中学校教師は、余計なことに首を突っ込んでしまったから消されてしまった、と予想できます。
ですが小崎が余所者ならばああやって普通に生かされていますし、岩松や川名もただの余所者に過ぎないはずですから、殺される理由が無いはずなのです。
自殺として処理はされたものの、その教師の死は殺人である、と稲盛は思っていました。
そして、過去多数発生している行方不明者も、村の中で密かに殺されてしまっているのかもしれない。
この事件には確実にカゴメムラの、そしてこの地域全体での有力者である生方家が関わっています。
それゆえ本部はこの事件に及び腰になってしまっているのです。
それでもこの奇怪な事件の真相は明らかにされなければならない。
稲盛はそう決意して今回の事件に挑んでいるのですが……そんな時、岩松は奇妙なことを言い出すのです。
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消えた皆、生きてるかもしれませんよ。
岩松は川名とともに屋敷で、死んだと思われていた人のものと思われる悲鳴を聞いていました。
そして何よりも、死んだとされているえんじゅに、何度となく出会っているのですから!
ですが死んだとされている者たちには保険金がかけられているでもなく、死を偽装するメリットは何も無い。
だと言うのに、死んだものを実際に見たんだと言う岩松……
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稲盛は、そんな岩松の正気を疑い始めてしまうのです!
疲れや恐怖から、正常な思考力が奪われてしまっているのではないか?
稲盛はそう考え、一転して戻ろうとして……!!
どうにかそれを辞めさせようとする岩松。
一刻を争う事態だと言うのに、もう稲盛は岩松を信用することができないと考えを固めてしまったようです。
ですがそこで、その状況を変えるものを発見しました!
カゴメムラのほうから立ち上る、煙。
アレは火事ではないのか!?と指し示すと、流石に稲盛も車を止めて本部に問い合わせてみました。
ですが明らかにただ事ではない煙が立ち上っていると言うのに、通報はされていません。
緊急を要する火事の可能性もあります。
稲盛はやむなく消防車両の出動を要請しつつ、そのまま火事の方へと向かうことにしたのでした!

その火事は、岩松にとっては幸運なものといえる事件……であるはずでした。
ところが燃え盛っていたのは、岩松と川名が乗っていた車だったのです!!
そして中には、すでに真っ黒に焦げてしまっている人影が……!!
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まさか、川名が!?
すべてが手遅れだったのかと崩れ落ち、涙を伝わせる岩松。
そこに騒ぎを利きつけたあやめがやってきて、岩松を抱き寄せて言ったのです。
よかった、生きててくれて。
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川名が死んだと言うのに。
いままで川名なんて知らない、といっていたのに。
ぬけぬけとそう言うあやめに、とうとう岩松の怒りは頂点に達して……
怒り、吼える岩松!
その怒りが呼び水となり、ついにこの呪われたカゴメムラのすべての謎が暴かれることとなるのです!!

と言うわけで、完結となる本作。
行方不明者の行方、あやめの鬱屈した思い、生方家……
それらが絡み合って複雑な様相を呈していたこの物語。
岩松の怒りが、そしてあやめの決意がその圧し掛かっていた暗く重い閉じた物語を打ち砕くこととなるのです!
Cuvie先生らしい、物語のあれこれがきちんとたたんで締めくくられるエンディングはさすが。
そして描きおろしのエピローグ8Pも追加されていまして、気になる人物のその後なんかもきちんと描かれているのです!
先生の作品にはもはや欠かせない、エロス要素も今回はバッチリです!
本作はシリアスなホラーサスペンスだったこともありまして、そっち方面は控えめでした。
ですがクライマックスにを間近にして、ついに(?)解禁!
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もちろん突拍子もないエロスではなく、物語の展開上自然な物になっていますのでご安心ください!!

そして気になる同時収録、「ブラックウィドウ」の方も完結です。
コチラは同じホラー系の話でありながらもエロス描写の濃い作品でしたが、その路線は最後まで健在。
待ち構えている結末のほうは、思いもよらない、ゾッとすること間違い無しのもの!!
その結末の恐ろしさは是非ともその目で確認してほしいところです!!

閉じた楽園の終わり、「籠女の邑」最終第3巻は全国書店にて発売中です!
230Pを越す大ボリュームで、本編、同時収録朔ともに完結となる本作。
ホラー系というジャンルこそ近いものの、その結末は180度違う二つの作品の結末が楽しめますよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!