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本日紹介いたしますのはこちら、「グラゼニ」第12巻です。
作者は原作が森高夕次先生、漫画がアダチケイジ先生。
講談社さんのモーニングKCより刊行、モーニングにて連載されています。

さて、良くも悪くもらしい契約更改を乗り越え、なんだかんだ年俸アップを果たした凡田。
短いシーズンオフも終わり、いよいよ次なるシーズンが始まりました。
前シーズンはピリッとしなかった凡田ですが、今年は……?

開幕12試合を終えて、スパイダースは8勝4敗。
今年は絶好調で、文京モップスと同率で首位を走っておりました。
その絶好調の原因は、なんと言っても勝ちパターンが確立できていること。
抑えの瀬川が8勝中7試合でセーブを挙げ、その守護神に繋げるための8回は凡田がしっかり押さえ込む……
相手を寄せ付けない磐石の凡田はまさに「セットアッパー」と呼ぶのにふさわしい存在となっていたのです!
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凡田の活躍を横目にしながら、黙々と2軍で練習している男。
去年カーナビーツを首になり、今シーズンからスパイダースに加入した松浪投手です。
最近は不調が続いていた為、2軍からスタートするのも仕方がないといえば仕方が無いところ。
そんな時でも腐らずにトレーニングを続け、調子を上げていけばいずれ上に挙がるチャンスも見えてくる……といいたいとことなのですが、こうチームの調子がいいと、監督たちには一軍のメンバーを代えたくない、という気持ちも湧いてくるのです。
松浪は子供も3人いることですし、来年以降もしっかり稼がなければいけません。
おまけに長男、以前はサッカーに熱中していたのですが、移籍に伴う引越し、そして転校をきっかけに野球を始めて……
父親は何故テレビに映る試合にでないのか?とか、そう言う疑問も持ち始める歳ですし、そういった期待にもこたえねばならないでしょう。
ですがそんな状況にもかかわらず、松浪の調子はなかなか上がっていきません。
2軍の試合でも打たれてしまい、松浪の中では相当フラストレーションが溜まっていった事でしょう。
ところがそんな調子にもかかわらず、監督は松浪を一軍に上げよう!と決心していたのです!!
調子を落す前は一軍でバリバリ活躍していた松浪は、一軍のような大舞台で無いとピリッとしないタイプなんだ!と豪語!
まだ21歳の若い中継ぎ投手を、ゆくゆくは先発投手にするための訓練を兼ねて2軍へ。
その代わりに松浪を上げるというのでした!!
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まさに「運よく」一軍に上がれた松浪。
その心の中では、一軍に定着するための闘志が燃え盛っていました。
一軍の投手としての座を確固たるものにするには、単なる「左の中継ぎ」ではダメ。
セットアッパーの座に着かなければならない!
今の凡田の座を奪い取らなければ!!

……そんな松浪の意気込みとは裏腹に、今シーズン一軍での松浪の初登板は……正直期待はずれの場面でまわってきました。
松浪の家族がテレビ中継を見守っている中、松浪がマウンドに向かったのは……8回表、8対1でスパイダースが負けている状況でした。
俗に言う「敗戦処理」と言うやつなのです。
プロにはそう言う役目をする投手も必要なんだ、とお母さんに教えられ、そう言うものなんだ、とちゃんと理解して息子さんも見守る中投げたその初登板は……
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2イニング2失点。
敗戦処理もいいところの試合で、おまけに2失点……
この場に及んでもピリッとしない松浪ですが、それでも監督は松浪に対して相当な期待もかけているようで。
松浪には実績があるから絶対にやってくれるはず。
一軍の、それも「勝ちパターン」の試合で無いとポテンシャルを発揮しづらいタイプなのでは無いか?とまだまだ松浪株を高く買っております。
ですがやはり今のスパイダースは皆調子がよく、松浪が登板するタイミングは苦しい展開のときの「左のワンポイント」か、今回のような敗戦処理くらい。
このままではやはり厳しいのかもしれない……
きっと周囲の誰もが、心の中ではそう思っていたことでしょう。

しかしある日から松浪を取り巻く空気が変わってきます。
投球練習をしていたところ、監督がやってきて松浪に得意のスクリューを投げるように注文してきました、
そのボールを見た後、もうちょっとその球を腕を下げて投げてみろ、といってきたのです。
するとそのスクリューは、確かに切れがよくなっているではないですか!
ですがこのままではスクリューを投げるときだけフォームが変わって、球種がバレバレになってしまいます。
そこで監督は、オーバースロー一本でやってきた松浪に、これからは全部サイドスローよりのオーバースロー、「スリークォーター」へ転向しろ!と命じたのでした!!
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すぐには納得できない松浪ですが、いまや押しも押されぬスパイダースの正捕手である丸金もこの球は使える!と太鼓判を押すのですから、もうやってみるしかありません!
そしてそのスリークォーターを使用する真性松浪の登板は、意外な場面で回ってくることになったのです!!

3対3で8回を迎えたカーナビーツ戦。
本来、今シーズンの凡田-瀬川のリレーは、リードを奪っているときしか使いたくありません。
同点のときにこのパターンを使い、勝てなかった場合に起きる不都合を恐れているためです。
ですが今日の試合では、9回で凡田を投入!!
延長戦に入ったため、10回も凡田が続投。
ここまでしたらいっそう負けられない、といい打順で裏の攻撃が回ってくる11回は、瀬川を投入したのです。
ところが瀬川、今シーズン初めて勝ち越しソロホームランを浴びてしまうではないですか!!
落胆する監督ですが、幸いにもその裏に一点返すことが出来、試合は12回へ……
本来中継ぎの凡田はともかくとして、ストッパーである瀬川に回をまたがせる登校はさせたくない。
そう判断した監督がマウンドに向かわせたのは……
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そう、松浪です!!
とうとう巡ってきた、正真正銘の正念場!!
ここでしっかりと結果を残せれば、松浪が一軍に残るのに大きな一歩となる事は間違いありません。
果たして力投の結果は!?

というわけで、松浪を主役としたシリーズが収録された今巻。
いつ2軍に落ちてもおかしくない、と言った感じだった凡田も最近はチームの要となってきていまして。
今にも2軍に落ちそう!と言うムードがなくなり、なんていいますか、ちゃんと主役っぽくなってきてしまいました!凡田の前途を考えると非常に喜ばしいことなのですが、やはり本作らしさ、華々しいスポットライトからはずれた位置にいるプロ野球選手を描く、と言う点から見るとちょっとアレです。
そこで、というわけではないでしょうが、凡田とはまた違った立場にいる、グラウンドに埋まった銭を掘ろうとしている人物として松浪が描かれているのです!
凡田以上に追い詰められている松浪に頑張ってほしいと言う思いもありますが、主役である凡田を蹴落とそうと言う立場の彼を素直に応援し辛いと言うのもあるでしょう。
そんな彼が行き着く先は!?
今回のエピソードで、彼のポジションが徐々に見え始めるのです!

さらにこの後、凡田を高く買っていた名古屋ワイルドワンズの新監督、北王子と、やはり彼に高く買われ、同じくワイルドワンズにトレードされた凡田の同期、渋谷が主役となるエピソードも収録。
今年からワイルドワンズの一因となった二人、試される一年目の舞台はどうなのでしょうか!?
さらにさらに、スパイダースの新メンバーにして元メジャーリーガーの曽我部の年俸にまつわるお話や、おなじみのナッツ編、スポーツ紙の取材を受ける凡田のお話などなど、様々なお話が掲載されていまして。
今回も220ページを超える、大ボリュームで楽しめます!!

移籍一年目の奮闘を描く、「グラゼニ」第12巻は全国書店にて発売中です!!
凡田が投手として安定した結果(?)やや影が薄くなってしまった本作。
ですがそこはそれ、本作らしい独自の視点で描くプロ野球の世界は魅力的ですよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!