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本日紹介いたしますのはこちら、「アイアムアヒーロー」第13巻です。
作者は花沢健吾先生。
小学館さんのビッグコミックスより刊行、ビッグコミックスピリッツにて連載されています。

さて、作中の描写では胡散臭い存在でしかなかった「クルス」の正体が明かされ始めた前巻。
逃げ惑うしかない人間、襲い掛かるZQN、そしてその中間に位置する存在であるクルス。
第3の勢力ともいえるクルスの存在が、現在の状況を覆すものとなるのか?
そんな灰色の希望が刺す一方で、ZQNの脅威は世界中に降りかかっています。
この異常事態は、どう集束していくのでしょうか……?

芦ノ湖畔にあるキャンプ場。
そこに英雄たちは身を寄せていました。
英雄が周囲を散策していますと、キノコのホダ木を発見。
見た目はどう見ても椎茸に見えますし、そもそも種駒を埋め込んで栽培している様子ですから、ツキヨタケのような椎茸によく似た毒キノコではない……でしょう、おそらく。
いちいち小田にお伺いを立てていたら、自分で考えることできねえのか、とドヤされるに決まっている。
そう思った英雄は、これは椎茸ってことで小田さんに毒見をしてもらおう、と冗談半分の言葉と一緒にリュックに詰め込むのでした。
そんな英雄の名前を呼ぶ声がします。
一体誰が?と振り向いてみますと、そこには
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しっかりと立っている比呂美の姿があるではないですか!
うん、生きててよかった。
当たり前のように、そんなことを言い出す比呂美。
予想だにしていなかった状況に驚いたせいなのでしょうか、英雄が真っ先に気になったのは、何故か比呂美の身長が伸びている、ということでした。
中一から身長が伸びなくなって、150センチ無いと言う比呂美ですが、170センチの英雄とそれほど大きく変わらないように見えます。
今現在、160以上はあると見て間違いなさそうですが……確かにこの急激な身長の伸びは気にはなります。
ですがそれよりもまず聞かなければならないことはたくさんあるわけで。
身長が伸びたことを、急に成長期が来てよかった、などと喜んでいる比呂美に、英雄はいろいろ聞こうとします。
が、比呂美はどうも半ZQN化していたときの記憶がほとんどないようです。
ここでいろいろ根掘り葉掘り聞いてもどうにもならなそう。
英雄は一旦比呂美にこの場で待っているように言い残し、お世話になった看護師がいるから、と小田を読んでくることにしたのでした!

最後の一本のタバコをくゆらせながら、ガソリンの残りが少ないことに頭を悩ませていた小田。
そんなところに英雄はやってきました。
急に出て来るなと怒る小田ですが、比呂美が意識を取り戻したことを聞くと流石に驚き、すぐにその場へ向かい始めました。
そこで比呂美が富士山意向の記憶が無いことを聞き、事情の説明は小田が様子を見ながら行うことを決めます。
その道中、英雄は小田に、自分は女性の喫煙には否定的だ、と珍しく彼女に反抗的な態度をとるではないですか。
小田はいつものように、なんであんたに指示されなきゃならないんだ、と毒づきながらもタバコを吐き捨て、足でもみ消しました。
さらにポイ捨てはよくない、と指摘を続ける英雄。
イヤだって、ホラ、ねえ、僕たちはその……
そう言いながら英雄は小田と自分を交互に指差し、なにやらごにょごにょ言い出しまして。
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この二人にナニかあったのでしょうか?
ここで時間は少しさかのぼることになります。

芦ノ湖の近くにある、動物病院で比呂美に突きたてられていた釘を抜く手術を終えた二人。
病院にあった道具で手錠を外すこともできました。
本来なら述語は安静にしておきたいところですが、ここでZQNが襲い掛かってきたら防ぐことは難しいわけで。
もっと人がいなそうで、雨風がしのげるところは無いか?
と考え、ナビで探した結果、芦ノ湖畔のキャンプ場にあたりをつけたわけです。
そこへ向かおうと車を走らせ始めると、ZQNが3人ほど、早速襲い掛かってきまして……
やむなく跳ね飛ばす小田。
ZQNと変わり果ててしまったとはいえ、「人」を殺すと言う行為には間違いが無いわけで。
小田はその行動を後悔するのですが……英雄は3人なんてたいしたこと無い、自分は50人以上殺してしまっている、とよくわからないフォローを入れるのでした!
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ようやくたどり着いたキャンプ場。
警戒しながらひとつのロッジを探索し、そこにZQNがいないことを確認。
とりあえずの安全を確保するのです。
途中の砂利道を車で走ると音が出てしまうから……と、二人で比呂美をロッジに運び込み、ベッドに寝かせます。
どっと疲れが襲い掛かり、へたり込んでしまう小田と英雄……
その時、英雄の手がそっと小田の手の上に覆いかぶせられます。
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このタイミングでなんなんだ?「やりたい」ってことか?
ストレートにそう尋ねてくる小田。
英雄は面食らって、そういうわけでは!と慌てるわけですが、小田は小田で違うの?と驚いていまして。
そこで英雄は、間髪いれずにやりたいです!と答えるのです!!
今まで絶対的な絶望から来る恐怖感、過酷な逃避行から一時とは逃れられた安心感。
そして一緒に苦難を乗り越えたことによって生まれた、罪の共有感、連帯感や絆……
様々な思いが作用したのでしょう。
二人はそのまま唇を合わせて……
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というわけで、比呂美が意識を取り戻した本作。
おそらくこの世界で始めての、ZQNからの回復者です。
彼女の体を調べることが、ZQNの治療につながり、人類を救うことになるかもしれない。
今までの細い細い、一筋の希望でしかなかった可能性が、ほんの少しですが強くなったといっていいでしょう!
そして比呂美の記憶の奥底に眠っているZQNだったときの記憶も、なんらかの鍵を握るのかもしれません。
さらに気になるのは、現在の比呂美の本当の状況です。
完全に人間に戻ったのか?
少なくとも意識戻っているものの肉体的にはどうなのか、ひょっとしたら彼女もまた「クルス」になっているのか……?
その解明が待たれるところです!

そんな物語の軸の部分だけではなく、とりあえずの今、の物語も気になるところ。
徐々にその距離を縮めている感じのある英雄と小田の関係は?
無くなりつつあるガソリンと、弾薬の補充は?
比呂美を連れて行くべきしかるべき施設まで無事にいけるのか、そしてその施設がきちんと現存しているのか?
様々な不安と希望が織り交ぜられつつ、物語は進んでいくのです!!

束の間の安息と、希望が見える「アイアムアヒーロー」第13巻は全国書店にて大好評発売中です!
比呂美が覚醒し、いよいよ本格的に物語が新たな動きを見せる気配も感じられる本作。
ですが今までも。心強い仲間を得た後に待っているのは絶望だったわけで……
この後の3人に待ち構えている運命は、一体どんなものなのでしょうか!?
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!