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本日紹介いたしますのはこちら、「おどろ領域ナユラ」です。
作者は黒谷宗史先生。
幻冬舎さんのバーズコミックスより刊行、月刊コミックバーズにて連載されています。

黒谷先生は、09年に講談社さんのマガジンドラゴンにてデビュー。
その後ミラクルジャンプにて読み切りを発表等した後、13年に本作を連載開始。
めでたく初の単行本刊行となりました。
「ねじまきカギュー」の中山先生の元アシスタントさんのようで、画風などもかなり影響を受けていらっしゃるようです!!

さて、本作はホラーコメディです。
超内気で自虐的な主人公が、ある特殊な方法で怪現象を解決していく様を描いているのです。

生徒達の楽しそうな笑い声の耐えない、八百万学園のとある教室。
そんななかで一人の男子生徒がなにやら思いつめたような表情をしています。
何でも彼、先日恐ろしいものを見てしまったそうなのです。

雨の降りしきるある日、男子は以前女性が自己で死んだと言う近所のマンホールのあたりを通りかかりました。
手を合わせ、冥福を祈って通り過ぎようとしたその時、確かに感じた気配。
思わず振り返ってみるとそのマンホールから、
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なにやらおぞましいものがこちらを見つめていて……!!

仲のいい友人でもそんな話題をおいそれと信じられるはずがありません。
必死になって本当なんだと主張する男子に、友人は今日お前は旧校舎に写真を取りに行く用事があるのに、そんなに怯えてて一人でいけるのかよ、と茶化す始末です。
……そんなやり取りを密かに聞いていて、ニヤリと笑う少女がいたことに二人は気がついていませんでした。
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その少女の名は、墨百合ナユラ。
彼女は何故この話を聞いてほくそ笑んだのでしょうか……?

ナユラは何故か旧校舎の3年3組で、一人で暮らしています。
いや、一人でというのは誤りかもしれません。
彼女は3年3組の教室で、誰かと話しています。
相変わらず存在感がなさすぎだろう、このままじゃ何も変わらない。
そんな叱責をするその誰かに、でもクラスの男子が例に困っているようだから、きっと力になれる、と応えるナユラ。
それを入り口にすればきっとその男子と友達になれる、とはやし立てるその誰かですが、やっぱり自分には無理だ、と一転して弱気になっちゃうのです。
でもナユラは、皆さんがいれば充分幸せですから、とその誰かに明るく答えました。
問題はその誰かが誰なのか、でしょう。
ナユラと一緒に暮らしているその誰かは
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数え切れないほどの亡霊たちなのです!!
ですが彼ら亡霊達は、ナユラに取り付いてはいるものの、危害を加えようとしているそぶりはありません。
それどころか、ナユラが友達を作ったりして、人並みの幸せをつかむことを望んですらいるようです!
それもこれも、ナユラが亡霊たちに「居場所をくれた」からのようなのですが……
とにかく亡霊たち、良くも悪くもナユラを元気付けようとはしてくれています。
ですがなかにも悪戯好きといいますか、エロスな亡霊もいるようで。
そんな亡霊の一人である触手は、ナユラのスカートをめくって楽しんでいるのです!!
と、そんな瞬間に教室の戸が開きました。
やってきたのは、写真を取りにやってきた例の男子。
何はともあれ女子がスカートの中をさらされようとしていたわけですから、慌てて失礼しましたと男子は扉を閉めてしまうのです。
が、そこから冷静になるにつれ、目に映った不思議なものを反芻し始めます。
今、女子が何かヘンな物体と戯れていたような……?
いや、見間違いに違いない、この間も妙なことがあったばかりだし。
気を取り直してもう一度扉を開けてみると……そこには誰もいません。
……そう言えば、この教室は旧校舎の3年3組。
学校では、亡霊がでると言う噂でもちきりの現場ではないですか!
そこに気がついた男子は、慌てて逃げ帰ってしまいました!
実際はナユラ、こっぱずかしくてロッカーの中にかくれていただけだったのですが……

翌日。
きっとあのことを話題にされて、いじめられてしまう!とビクビクしていたナユラのおもいと裏腹に、例の男子は全然ナユラを気にしているそぶりもありません。
どうやらナユラの存在感の薄さゆえ、あれがナユラであると結びつくことはなかったのです。
安心するやら落ち込むやらのナユタですが、この後幸せなことが巻き起こりました。
その男子の消しゴムがナユラの机の上に転がってきて、男子のほうからとってもらえないかと話しかけてきたのです。
誰かに話しかけられたのなんて何年ぶりなのか!?
そんな普通の人からすればなんでもなさ過ぎる会話に、ナユラは思わず幸せいっぱい、ニヤついてしまうのでした。

時間は流れ、下校どき。
ナユラは男子の例のトラブルを解決するため、密かにストーキングに励んでおりました。
すると驚くことに、男子は突然あの旧校舎で見かけたのは隣の席のナユラさんだ、ときづいたじゃありませんか!!
自分を認識してくれた!と幸せの絶頂に至るナユラですが、逆にその男子の友達が言った、あいつはいつも一人だ、もしかしたら旧校舎の亡霊ってあいつなんじゃないのか?あいつは本物の亡霊みたいじゃないか、と言う言葉で一気にどん底に叩き落されてしまい……
ショックのあまり、10分ほどその場で呆然としてしまったナユラ。
一旦男子のことを見失ってしまうのですが……彼を探して街を探し回っていますと、どうやら話題になっていたあのマンホールらしいマンホールに突き当たりました。
そのマンホール……すでにその時、ふたが開いていて……

いつの間にか振り出した雨の中、あれを見たときも雨だったと思い出しながら走っていた男子。
そんな彼の背後から不気味な音が鳴り響いています。
そして同時に感じる、あの時と同じ気配!
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恐怖に怯え、男子はよりいっそう必死になって逃げるのです!!
自分の家にたどり着き、自分の部屋に転がり込むのですが……うかつにも鍵を閉め忘れてしまいます。
俺がなにをしたって言うんだよ!
思わず叫ぶ男子!
ですが彼の背後を追っていたそれは、無慈悲に扉を開けて中に入ってきて……!!
その正体は
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ナユラでした。
ナユラは男子が困っていると知ってここに来た、とひたすらに謝りながらそう告げます。
そして、亡霊達はとても孤独で寂しい存在だから、きっとあなたと友達になりたかったんだ、もっと驚かせれば自分の存在ももっと感じてくれると思ったんじゃないか。
あれだけ亡霊と懇意にしているナユラですから、その言葉は間違っていないのでしょう。
ですがその後に続けられた言葉に、男子は安心するどころかとんでもない恐怖を感じることとなるのです。
「そうですよね、マンホールの女霊さん。」
その視線は、男子の後ろに注がれています。
おそる、おそる後ろを振り返るとそこには……
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見るもおぞましい、亡霊がいるではないですか!!
亡霊はナユラの言葉を肯定するものの、だからと言ってこれじゃ何も解決しない気が。
男子が枕を高くして眠れる日が来るのでしょうか?
そして、ナユラが亡霊に対しておすすめするあること、とは!?

というわけで、超ネガティブなナユラが、お友達を作ることを夢見ながらも実行には至れず、日々亡霊がらみのトラブルを解決していく様を描いていく本作。
控えめな主人公がたくさんの亡霊を取り付かせて居て、彼らに勇気付けられたりしながら行動する……と言う展開は、関崎先生の「恋愛怪談サヨコさん」に似ている設定です。
確かに設定はかなり似ているのですが、それぞれお話自体はもちろんまったくの別物!
あちらは恋愛を主眼においているものの、こちらは友達作りとか、人助けに主眼をおいております。
そしてもうひとつの物語の軸は、ナユラ自身の謎です。
何故かたった一人で旧校舎に暮らしていて、何故か不思議な力を秘めていて、何故か普通でないあるアイテムを身につけている。
このあたりの謎が、毎回少しずつ積み上げられていくのです。
おそらくこの謎が少しずつ解かれていくのでしょう。
ナユラに友達ができるのか?どんな霊とどう接するのか?という毎回の楽しみに加え、ナユラ本人という大きな流れも楽しめます!!

不思議な少女の秘められた中身、「おどろ領域ナユラ」は全国書店にて発売中です!!
中山先生を髣髴させる、個性的な描写と勢いに満ち満ちた本作。
連載は続いておりますが、巻数表記が無いのが非常におっかないところ。
売れ行き次第では2巻がでない可能性もにおっておりますので、ご興味の湧いた方は是非とも……!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!