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本日紹介いたしますのはこちら、「死人(しびと)の声をきくがよい」第3巻~ここが地獄だ!!編~です。
作者はひよどり祥子(うぐいす祥子)先生。
秋田書店さんのチャンピオンREDコミックスより刊行、チャンピオンREDにて連載されています。

さて、霊を感じると鼻血がでると言う特殊能力(?)を持つ少年、岸田と彼に寄り添うようにして取り付いている幽霊の少女、早川さんが遭遇する様々な怪異を描いていく本作。
今回も血なまぐさい事件と遭遇することになる二人ですが……?

オカルト研究会の面々で、山中のペンションに合宿へとやってきました。
人里から離れすぎているからと言う理由で格安、今日もオカ研以外のお客さんは一組だけだと言うこのペンション。
格安というにはあまりにも素敵な感じなのですが……オカ研一オカルトに明るい黒尽くめの黒髪長髪の男子、稗田……ではなく、日枝はこの建物に見覚えがある気がするんだとか。
その心当たりを探っている間も、ペンションのオーナーは夜は獣がでるかもしれないから外にでないでくださいなどと言いながら部屋に案内してくれていました。
……密かにその様子を外から撮影しているなど、その時岸田達は思いもしていなかったことでしょう……

夜。
肉類のでない若者達にはちょっぴり物足りない夕食を終えると、会長は張り切ってミーティングを行うといい始めます。
ですがどうしたことか、岸田の姿が見えません。
新入会した女子、江口が探しに行くことになったのですが……岸田は、窓の外の何もないように見える場所に向かって話しかけているのです。
それはもちろん、早川さんに向かって話しかけているのですが、彼以外には彼女の姿は見えないわけで。
江口さんは何も気がつかないまま、岸田を呼ぶのでした。

何の気のなしに、岸田は江口に尋ねました。
どうしてオカ研に入ったのか、と。
江口は少し言葉を濁しながらも、面白そうだし……と答えたのですが、岸田はもうやめようかと思っているとその心情を漏らします。
すると江口、困ったような顔をしてこんなことを言い出すのです。
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そんなこと言わないで、私、岸田君がいるから入ったのに!
あまり敏感な方では無い岸田、え?と聞き返すのですが……思わず口をついて出てしまった言葉に気づいた江口は赤面して早く戻ろうと足早にその場を立ち去っていってしまうのでした。
事情が飲み込めず立ち尽くす岸田と……それをひそかに映し撮っているカメラを残して。

この地球上に存在する河童の、80%はエイリアンだ。
そんな突っ込むのもアレな持論を真剣な面持ちで発表する会長。
小泉以外の会員はゲンナリした顔を浮かべるしかできなかったのですが……すぐその顔は驚愕の表情へと塗り替えられることとなってしまいます。
突如会長の背後にある窓に浮かび上がる、
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苦悶の形相……!!
結果から言うと、それは正真正銘、生身の人間でした。
ですがそれだけに、ペンションはすぐに大騒ぎに。
血まみれの姿でペンションにやってきたその女性、マスクをかぶった男がいきなり鉈で襲い掛かってきて、彼氏がやられてしまったと言うのです。
ペンションのオーナーの旦那さんは車を持ってきて彼女を病院に連れて行き、奥さんのほうは警察へ電話をする手はずに。
一気に慌しくなるペンションですが、その中で一人日枝だけは首を傾げていました。
そして突然、岸田にあるホラー映画のことを尋ねてきたのです。
「夜、惨殺者の夜」。
80年代に画質の洗いコピーが少数出回っただけの幻のホラー映画で、演技や演出なんかは素人レベルでありながら、その鬼気迫る残酷描写が話題になった作品なのだとか。
その映画の舞台となった屋敷と……このペンションが似ていると言うのです。
そして、今まさに起きている事件も……!!

ホラー映画のお約束に従うかのように、電話は通じません。
さらに車も破壊されていて……
車の前で立ち尽くす旦那さん。
すると突然旦那さんの顔が照らし出されます!
慌てて振り向くと、そこにはカメラと……鉈を持った男が立っていて……!!
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ペンションにまで聞こえる大きな悲鳴。
まさかオーナーに何かあったのか?様子を見に行くか?そんな話をオカ研がしていますと、
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突然窓から首の無い死体が投げ込まれたではないですか!!
そしてその後を追う様に、のっそりと入ってきた鉈を持った男。
その顔には、女面が不気味に装着されていて……
突如現われた殺人鬼!!
オカ研一同は逃げるしかありません!
慌てて逃げ回ることに集中するあまり、会長と小泉は気がついていません。
江口と日枝、そして奥さんとあの被害女性がここに来ていないことに……!!
岸田はすぐにそのことを二人に相談するのですが、そこはあの会長です。
ピンチのときに仲間は放っておけない、その気持ちはよくわかる!
そう言っておきながら、自分は民家を探して助けを呼ぶから、二手に分かれて岸田はみんなを助けに行こう!と言い出しやがりました!
ですが流石にここで岸田を手ぶらで送り出すわけには行かないと思ったのでしょう。
会長は、ずっしりと重い小包を岸田に渡しました。
まさかこれは?と岸田が尋ねれば、こくりと頷く会長。
会長は以前、拳銃を拾ったことがありました。
それ以来会長はそれを隠し持ち、ここぞと言うと気に使っていたはずなのですが……
その包みに入っていたのは、
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豆大福でした。
おなかがすいたら食べろ、とのこと……
拳銃は……会長のお母さんが燃えないゴミの日に捨ててしまったんだそうです。
小泉も会長と共に山を降りていってしまい、放り出された形になる岸田。
やむなく早川さんに手伝ってもらい、二人で仲間を助けようとペンションに向かうのでした。

が、その頃のペンションでは恐ろしいことが起こっていたのです。
殺人鬼からとりあえず逃げ、ペンションの一室に立てこもり、扉を重いものでふさいで防御姿勢に入っていた日枝たち四人。
この部屋で武器になりそうなものは無いか?と奥さんに尋ねる日枝ですが、奥さんはこれなんてどうかしら?とスタンガンを取り出し、
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日枝に直撃させたのです!!
驚いている江口ですが、その江口の喉元には刃物が突きつけられてしまいました!
その刃物を持っているのは、なんと助けを求めてなだれ込んできたはずの彼女で……!!
そしてそこに一人の男が現われます。
じっとカメラを持ち、一連の様子を撮影しているその男……
まさかこの騒動はすべて、今この場にいるオカ研以外の人物による狂言だとでも言うのでしょうか!?
そしてその目的はひょっとすると、あの残酷描写で話題になったホラー映画の再現なのでは……!?

というわけで、ペンションで襲い来る恐怖を描いたエピソードを収録した本作。
狂気をはらみ放題の登場人物に、たっぷり用意されたどんでん返し、そして会長のアレっぷりなんか存分に楽しめるお話となっておりますが、この他にももちろんたっぷりと恐怖が収録されております。
突然恐ろしい、悪戯ではすまないおぞましい行動を撮るようになった幼女に取り付いた何かの正体を暴く「エンゼル様」。
雨の世に現れては二兎に襲い掛かる謎のクリーチャーに襲われる「粘土マンが来る!!」。
奇怪な新興宗教団体の儀式に巻き込まれる「第3回ならなら祭り」……
どれをとっても、ひよどり先生らしい、正当派のB級ホラーらしさがあふれ出すエピソードばかり!!
血なまぐさくて陰気、それなのに女性キャラにはどこか萌えもある絵柄にも寄りいっそう磨きがかかっておりまして、ひよどり先生ファンのみならずとも、ホラー好きならばそのアンテナにビビビと来る作品となっております!!

ザ・B級ホラー、「死人の声をきくがよい」第3巻~ここが地獄だ!!編~は全国書店にて発売中です!!
早川さんが岸田に取り付いている理由と言った本作の本筋は一旦置いておき、単純にホラーを楽しむ内容のお話が取り揃えられている今巻。
意外にモテる岸田君の女難にも注目です!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!