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本日紹介いたしますのはこちら、「La vie en Doll(ラヴィアンドール)」第1巻です。
作者は井上淳哉先生。
集英社さんのヤングジャンプ・コミックスXより刊行、ジャンプ改にて連載されています。

さて、本作は最近流行り(?)の、ハードな魔法少女アクションです。
ですがもちろん本作ならではの要素がたっぷりと盛り込まれておりまして、ただ流行に乗っただけではない作品となっているのです!

教室の一番端の席で、カーテンに包まって隠れるように何かをしている女生徒がいました。
春野かすみ、14歳。
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彼女はいじめられている……というわけではないものの、その内向的なうえ、ちょっとひねくれたところのある性格もあってクラスで孤立気味になっている存在です。
その日も、そうやって密かに読んでいた「気になるカレの心理が丸分かり!」などと謳われている本をクラスメイトにからかい半分で強引に借りられてしまい、黙ってそれを見ているだけ、と言うような状況に陥ってしまうのでした。

かすみはそんな時、クラスメイトの採点を指摘を紛らわせているようです。
あの子はずうずうし過ぎるから30点、あの子はデリカシーが無いから20点。
そしてかすみの本を持って言った張本人の佐渡さんは、可愛い見た目は80点だが内面は性格ブスで15点、だけどそれを先生や男子にはうまく隠しているからやっぱり80点……
みんなイライラする、死んじゃえばいいのに。
そうやってどんどん気持ちを沈ませていき、ついには机に突っ伏してしまうかすみ。
ですがそんな彼女に潤いを与えてくれる人もいるのです。
隣のクラスだと言うのに唯一自分と仲良くしてくれる、いつも笑顔で優しい、何でも話せるお友達の笑美ちゃん。
かすみの心の平穏には欠かせない笑美は、90点の高得点をマークしています!
そしてもう一人は、隣の席の男子、勇気とかいて「ムテキ」くん。
地味ながら密かにかっこいいスポーツマンの彼に、かすみは完全に恋しちゃっていまして。
99点の超ハイスコアを取得しているのでした!!

そんな採点癖のあるかすみですが、完全なる独りよがりの採点で自己満足しているだけではありません。
自分のことも冷静に分析していまして、何のとりえも無い、目つきの悪いひねくれ女、教室のスミのゴミのような存在で20点、まだ成長途中と言うことを考慮して甘い採点にしても35点、と自己嫌悪をしているのです。

かすみが家に帰ると、迎えてくれるのは飼い猫のドルチェただ1匹。
お父さんは海外で行方不明になってしまい、その影響かお母さんは毎夜飲み歩いては火事もやらず家では酒とタバコをやっては寝ているだけのどうしようもない状態で。
そんな5点の母親を尻目に、霞はチンしたごはんにフリカケをかけただけのごはんを食べるのでした。
そうしていますと、かすみのところへ荷物が届きます。
中に入っていたのは、
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アンティーク調の小さな鏡と、可愛らしい指輪、そして一通の手紙です。
可愛らしい指輪を小指にはめ、ご満悦の表情を浮かべながら手紙を見て見ますと、その手紙はなんとお父さんからのものではありませんか!
「かすみへ 父より 愛を込めて」。
それだけ書かれたものではありましたが、もしかしたらお父さんの手がかりになるかもしれません!
慌ててお母さんを呼びに行くものの、もうお母さんは夜の町へ出かけてしまいまして……
相談もできないまま、かすみは翌日を迎える事になるのです。

そのお母さんですが、自室のあるマンションからでたところで妙な外国人男性に話しかけられていました。
片言の日本語で、人を探しているが、このマンションに入らせてもらえないか?と。
いくらいい加減なお母さんといえども、正体不明の怪しい人物をどうぞとマンションに入れやしません。
きっぱりと断りますと、他の人目もあることに気がついたその外国人男性は立ち去って行ったのですが……

翌日、かすみは笑美にこのことを相談し、指輪と鏡を見せてみました。
指輪は昨日から小指にはめたまま。
気に行ったから、ではなく何故か外れなくなってしまったからです。
石鹸をつけてゆっくり廻せば外れるだろう、とこのことに関しては終わったのですが、あからさまに妙なのは鏡のほうです。
ふるい鏡だから屈折したりしているのか、鏡面をじっと見ているとめまいのようなものが起こるのです。
笑美もそうだと言うのでかすみの気のせいではありません。
改めてじっと鏡面を見つめてみますと、なんと
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鏡の中の自分の像がニヤリと笑ったではないですか!!
驚き慌てふためくかすみは騒ぎ立てるものの、笑美を含めて周りの誰も信じてはくれません。
騒ぎを聞きつけた佐渡さんがやってきて鏡を見つめるものの、別に何も無いじゃないかというのです。
そんなこと無い、もっとずっと見ているとへんなことが起こるんだと反論しながら鏡を取り返そうとするかすみと、だったらもっと見せてみろと抱え込もうとする佐渡さん。
その奪い合いで、鏡は床に落ちてしまいました。
それを拾い上げるかすみに対し佐渡さんは心無い言葉を投げかけるのです。
かすみったらいつもそうやって注目されたいからって嘘をついて。
そう言うのを虚言癖って言うのよ。
内気なために声には出せないものの、かすみはそのことについてだけは激しく抵抗していました。
嘘じゃない、嘘なんてつきたくない。
だってお父さんから久しぶりにもらったプレゼントなんだもん!!
悲痛な思いで胸をいっぱいにしながら鏡を見つめていると……鏡の中から、声が聞こえてきたではないですか!!
なにやってんのよ、かすみ。
ダメなかすみ、イヤなかすみ。
そんな風に思ってるんだったら
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代わりなさい!

その時、自分の席に勇気が戻ってきました。
どうしたの?と尋ねてきた勇気に対し、佐渡さんはなんでもない、ごめんね、うるさかった?と何事も無かったかのような体をとろうとします。
ですがそんな佐渡さんに
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突然カスミが強烈なビンタをかましたではないですか!!
その衝撃でたおれ、壁にぶつかってうずくまる佐渡さん。
かすみはといいますと、何で今までこんなに言われっぱなしで耐えてたんだろう、もっと早くこうしていればよかった、と言い出します!
そして今度は勇気にとんでもないことをし始めたのです!
私は勇気くんのことが好き、あなたはどう?
そう尋ねながらどんどんと距離をつめていき、その勢いに押された勇気を壁際まで追い詰めました。
うろたえる勇気に、私はあなたに聞いてるの、どう、どちらかといえば、どっち?
よっぽど嫌いな相手ではないかぎり、異性のクラスメイトにそんな風に聞かれて「キライだ」と答えられる人もそうはいないでしょう。
さらにいつもあまり話さない子が急にこんなに積極的に来たら、なおのこと!
頬を染めながら、どちらかといえばスキかな、とおずおずと口にする勇気。
かすみはそれを聞き、そう、良かった、と言ったかと思うと
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いきなり勇気に熱い口付けをしたのです!!
このかすみの変貌はなんなのでしょうか?
やはりあの鏡のせいなのか、そして指輪にも何かがあるのでしょうか?
この時から、かすみの運命は大きく、大きく変わっていくこととなってしまうのです……!

というわけで、不思議なアイテムを手にしたことから今までとはまったく違う人生を歩むことになる本作。
紹介した分にはまったく魔法少女成分はありませんが、この後から徐々にかすみは「変身」していくことになります。
鏡の中から話しかけてきた自分。
外れない指輪。
その二つが、招かれざる客と運命を呼び込むこととなるのです!
かすみは運命に翻弄されるまま、招かれざる客と戦いを行うことになるのですが……
最初の相手との戦いから、とんでもない展開を向かえ、信じたくない結果に!!
この第1巻はプロローグと言っていい内容ではあるものの、そのプロローグからハードな展開で。
本格的な幕開けとなるであろう次巻からの展開が生半可なものではないであろうことが予想できます。
急にこんなアイテムを送ってきた父の行方は?
現われた敵の目的は?
アイテムに秘められた背景は?
そして、かすみはどうなってしまうのか……
今後の展開に期待せざるをえませんね!

鏡に映る本当の心、「La vie en Doll(ラヴィアンドール)」第1巻は全国書店にて発売中です!
少女達が大きな陰謀の渦に飲み込まれる本作。
一体この後どんな過酷な運命が待っているのか……
かすみに安息の日はやってくるのでしょうか!?
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!