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本日紹介いたしますのはこちら、「マーダー・インカーネイション」第1巻です。
作者は原作が菅原敬太先生、作画が稲光伸二先生。
双葉社さんのアクションコミックスより刊行、月刊アクションにて連載されています。


さて、「走馬灯株式会社」の菅原先生が原作となり、「出るトコ出ましょ!」「性食鬼」の稲光先生が作画と言う、実力派タッグが描く本作。
その内容は菅原先生らしい、普通ではありえないことに遭遇し、とんでもない選択を強いられると言うサスペンスモノ。
稲光先生も普段とは違う手法で作画に挑んでいらっしゃるようで、見所の多い作品となっています!

弓香の家では葬式が行われていました。
すすり泣く両親、悲しさとともに納得のいかない思いも湧いてくる弓香。
……亡くなったのは、弓香の姉である綾香です。
彼女がなくなったのは、昨日のこと。
来年の大学受験に備え、勉強に打ち込んでいた弓香を、その日も綾香は優しい言葉で励ましてくれました。
あまり根をつめすぎ内容にね、まだ先は長いんだから。
何気ない日常の会話です。
ですがその会話をした、2時間後。
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綾香は学校の屋上から飛び降りたのです……

悲しみ支配する葬式の真っ只中に、ツインテールの少女が電話をかけながら入ってくるではないですか!
綾香の友達なのかときいてみても、全然知らない人だと言い出すその少女。
それだけでもとんでもないことですが、挙句に彼女は弓香に向かってとんでもない事を言い出してきたのです!!
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なんと私、あなたのお姉さんを蘇らせることができるのです!!
……もちろんそんな言葉を、葬式の最中に言い出されてガマンできるわけがありません。
その少女……麻夜はその場を追い出されてしまうのでした。

子供のころから自分を助けてくれた姉。
弓香が正しいと思ったことは自身を持ってやっていいんだからね。
絶対お姉ちゃんが守ってあげるから。
そんな子供のころに賭けてもらった優しい言葉を反芻して泣いていますと、弓香と親しくしている男子の月島から電話がかかってきます。
その電話で呼び出されるままファミレスに向かいますと、月島からは思いもよらない言葉を聞かされることになるのです。
綾香さんの死因だけど、自殺ではないと思っているんだ。
月島の話ではこうです。
綾香の同級生に三坂厚子と言う女子がいる。
悪いうわさがあとを立たない、いわゆる不良である厚子ですが……そんな厚子を含む数名が、綾香を連れて校舎に入って行った。
さらに厚子達は屋上に行って、綾香を囲んで何かをやっていたらしい。
月島の友人がその様子をみたものの、怖くなってそこまで見た後逃げてしまったんだそうです。
もしかしたら綾香は、厚子たちによって無理矢理屋上から投げ落とされてしまったのではないか……?
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月島は明日、警察にこのことを言うつもりだったんだそうですが、やはり身内であり個人的に仲よくもしている弓香に最初にこのことを話しておきたかったようで。
証拠、とまではいえないものの、怪しいといわざるを得ない情報を耳にした弓香。
会っても何かできるわけでも無い。
それがわかっていても、厚子に会わずに入られなくなってしまうのです!

運よく弓香は厚子に会うことができました。
とは言え会話などをしたわけではなく、街中で肩がぶつかっただけ、なのですが。
ちょっと気をつけてよ!とすごまれてしまう弓香ですが……厚子の胸に見間違えるはずの無いあるものがぶら下がっていることに気がついたのです。
綾香が大学に合格したお祝いに渡した、一転モノのネックレス。
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姉が喜んで受け取ってくれたモノを、なぜ厚子が持っているのか?
弓香の中で、すべてが繋がりました。
三坂厚子、許せない。
お姉ちゃんの人生はこれからだったのに、どうしてあんな屑みたいな奴に!!
胸に渦巻くのは激しい怒りと悔しさ。
枕に顔をうずめて、そのやり場の無い怒りをガマンするしかありませんでした。
そんな弓香の耳に、犬の鳴き声が飛び込んできます。
ただの犬の鳴き声ではありません。
弓香にとっては聞き覚えのある……懐かしい泣き声。
庭に通じる窓を開けてみるとそこには、愛犬のチョコがいるではないですか。
ですがチョコは、去年死んだはず。
今もその亡骸は、庭先に作ったお墓の下に眠っているはずなのに。
慌ててお墓のほうをみてみると、そこにはぽっかりと穴の開いたチョコのお墓と……麻夜の姿があるではないですか!
麻夜は自身が言っていた「蘇らせる」能力が本当であることを証明するために、サービスと称してチョコを生き返らせて見せたのです!!
ということはやはり……綾香を蘇らせることができる、ということ!!
ですがそう簡単に人を生き返らせることができるわけも無く。
麻夜は犬ならサービスできるが、人をとなると条件がある、と勿体付け始めました。
条件ってなんなんだ、お姉ちゃんのためならなんでもする。
そう言うと、麻夜は「なんでもする」と言う言葉に反応し、ようやくその条件を明かしてくれました。
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今から24時間以内に、3人の人間を殺してください。
……その言葉に耳を疑う弓香。
一人生き返らせるには死体が3つ、あなたが直接手を下したモノが必要。
死体の処理はこちらがするから、犯罪に問われることは無い。
条件を達成すれば、生きているときの姿で綾香は蘇る。
どうやら麻夜は大真面目にこのとんでもない条件を言っているようで。
姉を生き返らせるために、3人を殺す。
そんなとんでもない条件を突きつけられた弓香は……?

というわけで、思いも寄らない条件を突きつけられてしまった弓香。
あまりにも無茶苦茶で、俄かには信じられない条件ではありますが……飼い犬を蘇らせたことから考えても、嘘を言っているわけではなさそうです。
姉をよみがえらせるために、関係の無い人間3人を殺す。
普通ならばそんなとんでもないことは出来ないでしょう。
ですがその蘇らせる対象が、誰よりも敬愛している存在であったなら?
そして、殺す相手が「関係ある」人間だったなら……?
怒濤の勢いで進んで行く物語。
弓香は3人をその手にかけることができるのでしょうか。
そして綾香と元通り仲よく暮らすことができるのでしょうか……?
息を呑む展開が待ち受けているのです!!

菅原先生らしい、ドロドロとした人間の情念が渦巻くシナリオは安定のクオリティ!
大切な人を生き返らせるために人を殺さなければならないと言う状況に追い込まれた、各ストーリーの主人公達の心の動きをメインに、蘇らせる対象や、その周囲に隠された真実など、様々な事象をショッキング且つドラマチックに描いてくださいます!
近年ではエロス描写で注目を浴びている稲光先生が作画と言うこともあってか、個性的な女性キャラがさらに登場し、萌え要素も盛り込もうとしていらっしゃる御様子!!
麻夜を始めとする女性キャラの活躍にも注目です!!

そしてもうひとつ注目したいのが、稲光先生の作画手法!
以前から背景に関しては3Dモデリングを利用して描いていらっしゃった稲光先生ですが、本作では人物も3Dモデルを使って描いていらっしゃるようで。
その新たな作画手法を取り入れているためか、陰影が強い、今までの稲光先生作品には無い味わいが出ているのです!!

1つの命と3つの命を天秤にかける、「マーダー・インカーネイション」第1巻は全国書店にて発売中です!!
突如として人殺しを命ぜられる各主人公の心の動きが描かれる本作。
蘇らせる仕組みにも何か謎がありそうですし、各話の物語以外の部分にも注目ですよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!