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本日紹介いたしますのはこちら、「水木しげる漫画大全集 のんのんばあ 他」です。
作者は水木しげる先生。
講談社さんより刊行されました。

さて、本巻は週刊少年チャンピオンで不定期に複数回発表された「のんのんばあ」シリーズを中心に、75年から80年にかけて発表された様々な作品を収録しています。
「のんのんばあ」といいましても、ドラマ化なんかもされた有名な「のんのんばあとオレ」ではなく、あの少年時代の水木しげる先生の世話をしてくれたのんのんばあをモデルにした(?)人物を主役に据えた妖怪退治物。
今回はその第1話、「黒姫山の主」を紹介したいと思います!!

誰もいない山の奥地から、笛の音が聞こえてきます。
祭りでもあるのかな?と子ども達は山へ向かおうとするのですが、それをみていた村の大人は子供たちをしかりつけるのです。
今日は山の忌日と言って、山にはいってはいけない日なのだ。
黒姫様が舞われるのだ。
そう言う大人ですが、得体の知れない黒姫とやらが踊ると聞けば、むしろみてみたくなってしまうと言うのが人の常と言うもの。
それでも村の大人は、山のカラスも雀も騒いでいない、ザコ1匹泳いでいない、虫という虫もみな黒姫様をはばかってねぐらにじっとしているんだ、お前たちも絶対に山に行くな!と頭ごなしに叱り飛ばすのです。
すごすごと引き下がる子ども達ですが、そこにこのあたりでは見かけない女の子が現れました。
ようあんたたち、山でいい音してるじゃないの、と江戸っ子的な口調で語りかけてくるその女の子、2歳のときから家出して、悪いことをしながら放浪生活をしていると言う変わった子です。
良いことがキライだと言う彼女、自分自身を魔女ってやつなのかなぁと思ったりもするのですが、そんな事はどうでもいいから、刺激的ないたずらをしたいと日々考えていまして。
今回も大人がいくなというんだから言ってみよう、と思い立ってこの件に首を突っ込んでみたようです。
子ども達ももともと興味はあったわけで、女のこの提案に早速従います。
山に行ってみると……どうでしょう。
いきなり
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山に黒い変なものが漂っているではないですか!!
これが例の黒姫というヤツ……?
ですが子どものうちの一人が、姫さんならもっと綺麗だろう、あんなの蝙蝠のオバケだよ!と棒切れをもって突っかかっていこうとするのです。
が、その敵意を察知したのでしょうか。
黒い塊はうわっはははと水木先生テイスト溢れる笑い声を上げながら大きな目を見開き、子ども達に飛び掛ってきたのです!!
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黒い塊はにゅっと手を伸ばして子ども達をキャッチ。
すると目のなかの瞳の部分が上の方にずれ、目だったはずの眼孔が口に変化!!
子ども達をむしゃむしゃと食べてしまったのです!!
子ども達はみな食べられてしまいましたが、あの女の子だけは川に飛び込んで窮地を逃れます。
久しぶりに血がほてったとスリルを存分に味わった女の子……
で、何か面白くなりそうだと感じたのでしょう。
そのことを先ほどの村の大人に告げたのでした。

大人はそれを聞くと、血相を変えてのんのんばあのところに行かなくてはと駆け出します。
それを追いかけながら、のんのんばあって誰かと問いかける女の子。
なんでものんのんばあは現代の八百比丘尼とも呼ばれていて、村の大人のおじいさんのそのまたおじいさんの頃にも近所の村に住んでいる伝説的な存在なのだそうです。

昼寝中だと言うのんのんばあですが、緊急事態だと告げると話を聞いてくれました。
山の忌日に山には言ったばちを黒姫様にあてられたとのことで、当然自業自得……
そもそも黒姫というのは木の洞穴を家にして黒姫山を護る「シキタリ」のことなんだそうで、黒姫を殺すことは絶対にしてはいけないことなんだそうです。
なので子ども達を返してもらうなら、話し合いで返してもらうほかありません。
命懸けの交渉になるかもしれませんし、そもそも子ども達がまだ生きているかもわかりません。
村の大人に万一の時にだけ使えと黒姫に効く毒薬を渡し、のんのんばあは黒姫山に同行してくれることになったのでした。
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山にはいった時点で、もう黒姫は三人の存在を察知していたようです。
山の植物を操り、3人を縊り殺そうとする黒姫!!
そこで活躍したのがまさかの村の大人でして、草刈鎌でばっさばっさと木の枝を切り払い、一同を窮地から救ったのでした!!
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強いぜおとな!!

日も暮れてきたところで、一同は近くの山寺にはいって一休みすることとなりました。
おもむろにトイレに行こうとする村の大人。
そこで女の子は、落すといけないから例の毒薬を持っていてあげる、と薬の入った袋をねだります。
気の利く行動……とはちょっと違いまして、彼女は毒薬の類をもっていると落ち着くんだそうです!!
換わっていると言う言葉では済まされないような気もしますが、まあいいでしょう……
そんなことよりも、無人と思われたこの寺に誰かいるらしいことがここになってわかったことのほうが重要です!!
なんか袈裟を来た人が座っていまして、お坊さーんと駆け寄っていく女の子。
するとそのお坊さん、黒姫でした!!
がポット女の子を口に放り込む黒姫!!
のんのんばあは、おっとその子を食べちゃダメだ!と口からはみ出している女のこの足を引っつかみ、黒姫の口から引きずり出しました!!
話があるんじゃ、と交渉を試みるのですが、聞く耳持たない黒姫さん。
がーっとのんのんばあを飲み込もうとするのですが、ここで火を吹くのが村の大人の草刈鎌でした!!
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黒姫の腕をぶった切り、のんのんばあを救い出すことに成功!!
さらに両手両足までぶった切って見せるのですが、その両手両足はひとりでにふわふわと動いていき、逃げ出したのんのんばあを捕まえてしまうのです!!
例の大口をひろげ、のんのんばあを飲み込まんとする黒姫!!
ですがそこで女の子が現れ、おばあさんは一回助けてくれたからあたしも一回だけ助けてあげる、とその大口にあの毒薬を投げ込んだのです!!
みるみると力を失い、地面に倒れぴくぴくと痙攣を始める黒姫……
ところがのんのんばあ、助けてくれた女の子にえれえことをしてくれたもんじゃなあ!!と大激怒し始めたのです!!
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助けてもらった(それも自分の持ってきた薬で!)のに、この怒りよう。
一体のんのんばあは何故こんなにおこっているのでしょう。
もちろんそれはのんのんばあがまだ戦えたのに勝手なことしやがって!という独りよがりな自信……のためではない、とんでもない事実が隠されていて……!!

というわけで、のんのんばあが様々な溶解に挑むシリーズを収録した本作。
なんだかこの女の子もレギュラー化しそうな空気がありましたが、そんな事はありませんでした!
あくまで主役はのんのんばあで、様々な土地に出向き、様々な妖怪と戦うのが本作のお話となっています!!
ちなみのこのお話の中で、のんのんばあは惜しげも無いヌードまで披露!!
…………必見です!

そして一連ののんのんばあシリーズのほか、「月刊マンガ少年」で不定期に掲載されていた様々な怪奇を取り扱う読み切りのシリーズを7編収録。
さらにさらに「パワァコミック」に掲載された読みきり2本を掲載し、いろいろな読み味を一挙に楽しめる一冊となっています!!
巻末を飾るのは、あまりのおおらかな展開に読むものを呆気に取りまくった「キンドコング」!!
最後の最後までこちらの度肝を抜いてくるステキな一冊なのです!!

児童向けの絵本掲載作品まで網羅した、「水木しげる漫画大全集 のんのんばあ 他」は全国書店にて発売中です!!
これでもかこれでもかと繰り出される、水木先生ならではのお話軍が堪能できる本作。
予測不可能の水木ワールドをご堪能ください!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!