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今回紹介いたしますのはこちら。

「アイアンナイト」第1巻 屋宜知宏先生
集英社さんのジャンプ・コミックスより刊行です。

屋宜先生は11年に手塚賞準入選を果たしてデビュー。
その後読み切りの発表を経て、本作の雛形となる読み切り「ゴブリンナイト」を12年のジャンプ近未来杯にて発表。
好評を博し、本作の連載を開始することとなりました。

幼馴染の同級生、翼の家で居候生活をしている小学生、鉄平。
彼の父親は警察で、その日も父が捕まえた凶悪犯罪者のニュースが世間を騒がせていました。
父の活躍を学校で自慢しようとはしゃぐ鉄平ですが、本当の意味で世間を「騒がせて」いる事件は他にありました。
世界中で発見されている、「ゴブリン」と呼ばれる、常識では考えられない異常な生物の死骸。
そのゴブリンの存在が、鉄平の……いや、全人類の運命を変えることになるのです。
その日、学校は突然早引けになりました。
なんでも暴力団の抗争があるとかで……なんにせよ小学生たちからすれば早く学校から帰ることができるとあって大喜び。
鉄平は翼とともに家に帰るのですが、学校の黒板広場と呼ばれる名物施設の前にいるときに父親からの電話を受け取るのです。
父親から電話が来ること事態が珍しいのですが、その電話の内容は異様。
もしかしたら自分はもう家に帰れないかもしれない、おじさんたちや翼ちゃんと仲よく暮らすんだぞ、これからもっと大変なことがおこるかもしれないが、これから何があっても元気に生きていつか誰かを守る大人になるんだ。
まるで、今生の別れかのような……
その不自然さに鉄平は気がつかなかったようですが、ともかく当分父は帰って来ないだろうと言うことは理解しました。
そんな様子を見た翼は、「願いごとを書けばかなう」という黒板広場の大黒板に「鉄平が元気になりますように」と書きました。
そして顔を真っ赤にしながら鉄平の頬に口付けをし、元気になったよね?と励ましたのです。
いつか立派な警察官になって、お父さんを手伝えばいい。
その時は私がおよめさんになってあげるから!
鉄平もそれに答え、どんなことがあっても翼ちゃんやみんなが笑顔でいられるように、街の皆を守るヒーローになる!
そう誓って、二人はてを取り合って帰宅したのでした。
……が。
次に鉄平が気がついたとき、町は火の海と化していました。
てをとっていたはずの翼もその姿はなく、町を練り歩いているのは人間ではなく……ニュースで話題になっていた凶悪な怪物、ゴブリンばかり!!
町はこのゴブリンたちによって焼き払われてしまったのか?
人間はもしかしてみなこのゴブリンたちに殺されてしまったのか?
その不安は、半分しか当たっていません。
ゴブリンは、もともと人間だったもの。
姿とともに心もまた歪んだ人のなれの果てだったのです!
そして鉄平もまた、歪み始めていました。
その体は徐々に堅く、熱い鉄のようになり。
人としての記憶も失われていって……
翼や父親の行方は?
焼け出された人々の行く先は?
そして、鉄平はゴブリンに身を落としてしまうのでしょうか?
物語は重苦しい幕をゆっくりと開けるのです!!

というわけで、とんでもない展開から始まる本作。
近年の週刊少年ジャンプからは考えられないくらいシリアスな幕開けを迎えるこの作品ですが、この後に待ち構える展開も生半可なものではありません!
人間を狩る存在となったゴブリン、狩られる対象となってしまった人間。
その身をゴブリンと変えてしまった鉄平は、人間に受け入れてもらうことができるのか?
そんな人とゴブリンの間にたつものとしての苦悩が描かれるのです!
もちろんバトルの描写にも力が入れられています。
タイトルや主人公の名前からもなんとなくわかるように、鉄平の力は鉄に由来するもの。
一見すると凄く強そうに見える能力ではありますが、漫画の世界で「鉄」といいますと、攻撃力やらなんやらを計るバロメーターとして使われる程度の扱いを受けるのが相場でして……
本作もそんな扱いが劇的に改善しているわけではなく、様々な力を有しているゴブリンに対して使うには少しばかり心細い感じなのです!!
それほど強くない能力をフルに生かし、より強大な敵に向かっていく。
そんなバトル描写も注目ですよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!