今回紹介いたしますのはこちら。
「怪談百物語 新耳袋 第3夜 黒百足・壁を叩く音」 木原浩勝先生 中山市朗先生
集英社さんのホームコミックスより刊行です。
さて、日本中の怪異を収集し、現代日本における「耳袋」を目指して出版されている新耳袋シリーズ。
長らく雑誌形式で発表されてきたそのコミック版を、単行本にまとめた本作が早くも第3巻となりました。
それぞれジャンルわけがされておりまして、「そこに居つくものの怪」に分類されるお話が4話、「伝えようとするものの怪」「信仰するものたちの怪」が各3話ずつ、合計10話が収録されています。
そんな中今回ピックアップしたいのは、表題にもなっている「壁を叩く音」です!
最近引っ越したと言う友人の家で、家飲みを楽しんでいた大学生4人組。
古い安アパートではありますが、大学は近いですし、当の友人は寝るスペースがあれば充分だと満足しているようです。
が、その時部屋の壁がダンダンと叩かれるような音を立て始めました。
安アパートですし、酒宴の音に隣の住人が抗議しているのでしょうか?
ですがこの部屋は角部屋、叩かれた壁の向こうに部屋なんてありません。
逆側の隣室は空き部屋とのことで……あの音は一体なんなのでしょうか……?
しかもこの部屋にすむ友人によれば、この壁を叩くような音は21時と2時に毎日鳴ると言うではないですか!
周辺に住むものの悪戯だとしても、毎日鳴るのは不自然。
オカルティックな要因も考えられるのですが、友人は音がなるだけなんだから気にするな、というのでした。
その夜、一同はそのままその部屋に泊まることに。
夜中の2時に差し掛かりますと、あの音が鳴り響き始めます。
たまらず起きてしまう一人の男。
眠りを妨げられた怒りもあってか、思わずその音のほうを睨みつけると……
テーブルの上に、ぼんやり光る足が見えるではないですか!!
そのまま視線を上げていくと……テーブルの上にはワンピースを着た女が立っていて……その右手は、窓を指差しているようです。
そしてその女の首は不自然に長く、そして首の上についているはずの顔が存在せず……!?
周りの友人達は一向に目を覚まさず、男は布団に包まってまんじりともせずに朝を待ったのでした。
その後一週間は何事も無く過ぎていきました。
もちろんそれは友人の家によることがなかったから、なのですが……
そんなある夜、2時を過ぎても寝付けないでいた男の元に、例の友人が駆け込んできました。
ドアを開けるなり、部屋の中に踊りこんできた友人。
先日の様子とはうって変わって怯えきっている友人。
彼によれば、3年前にあの部屋にすんでいた女性が首をつったんだそうです。
あの「首の長い女」はそう言うことだったのでしょう。
壁際で首をつった女は苦しみ暴れ、壁をけりつけた……それがあの音の原因だったのです。
が、友人が怯えている原因はその事実ではなかったのです。
友人が見たものとは……!!
と言った感じの本作。
短いながらもしっかりとしたどんでん返しと恐怖が用意されている前述のエピソードの他にも、よみごたえある恐怖譚が収録されています。
もともと社宅だったと言う廃屋に潜む奇怪なモノを描く「黒百足」。
突如部屋の中に飛び込んできた黒い塊の正体は……?という「黒い塊」。
気が着けば縁側に座っている奇妙な老婆の謎、「おシカさん」。
戦時中ふいに夜中目が覚め、何故か仏間に行くとそこには家族が揃っていたという不可思議な自体の後に待っていたのは……?という「仏壇の間」。
これらを始めとした多種多様な怪談が収録されています!!
ただひたすらに恐ろしいものから、奇妙な違和感のようなものを感じるもの、不思議な力で導かれるもの、と同じ怪談とはいってもいろいろな読み口を楽しむことができるのです!
紹介した作品の他で個人的に一番気になったのは「真夜中のプリント・アウト」。
全編通して直接的な恐怖描写がないものの、だからこそのじわりと来る恐怖を楽しめるエピソードなのです!
描いているのが、最近ではエロス方面特化の青年向け作品を得意としているイワシタシゲユキ先生ということもあり、唯一の登場人物である主人公の女性がキュートなのも見所かもしれません!!
イワシタ先生にはこっち方面もどんどん描いていってほしいもんですね!!
今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!
「怪談百物語 新耳袋 第3夜 黒百足・壁を叩く音」 木原浩勝先生 中山市朗先生
集英社さんのホームコミックスより刊行です。
さて、日本中の怪異を収集し、現代日本における「耳袋」を目指して出版されている新耳袋シリーズ。
長らく雑誌形式で発表されてきたそのコミック版を、単行本にまとめた本作が早くも第3巻となりました。
それぞれジャンルわけがされておりまして、「そこに居つくものの怪」に分類されるお話が4話、「伝えようとするものの怪」「信仰するものたちの怪」が各3話ずつ、合計10話が収録されています。
そんな中今回ピックアップしたいのは、表題にもなっている「壁を叩く音」です!
最近引っ越したと言う友人の家で、家飲みを楽しんでいた大学生4人組。
古い安アパートではありますが、大学は近いですし、当の友人は寝るスペースがあれば充分だと満足しているようです。
が、その時部屋の壁がダンダンと叩かれるような音を立て始めました。
安アパートですし、酒宴の音に隣の住人が抗議しているのでしょうか?
ですがこの部屋は角部屋、叩かれた壁の向こうに部屋なんてありません。
逆側の隣室は空き部屋とのことで……あの音は一体なんなのでしょうか……?
しかもこの部屋にすむ友人によれば、この壁を叩くような音は21時と2時に毎日鳴ると言うではないですか!
周辺に住むものの悪戯だとしても、毎日鳴るのは不自然。
オカルティックな要因も考えられるのですが、友人は音がなるだけなんだから気にするな、というのでした。
その夜、一同はそのままその部屋に泊まることに。
夜中の2時に差し掛かりますと、あの音が鳴り響き始めます。
たまらず起きてしまう一人の男。
眠りを妨げられた怒りもあってか、思わずその音のほうを睨みつけると……
テーブルの上に、ぼんやり光る足が見えるではないですか!!
そのまま視線を上げていくと……テーブルの上にはワンピースを着た女が立っていて……その右手は、窓を指差しているようです。
そしてその女の首は不自然に長く、そして首の上についているはずの顔が存在せず……!?
周りの友人達は一向に目を覚まさず、男は布団に包まってまんじりともせずに朝を待ったのでした。
その後一週間は何事も無く過ぎていきました。
もちろんそれは友人の家によることがなかったから、なのですが……
そんなある夜、2時を過ぎても寝付けないでいた男の元に、例の友人が駆け込んできました。
ドアを開けるなり、部屋の中に踊りこんできた友人。
先日の様子とはうって変わって怯えきっている友人。
彼によれば、3年前にあの部屋にすんでいた女性が首をつったんだそうです。
あの「首の長い女」はそう言うことだったのでしょう。
壁際で首をつった女は苦しみ暴れ、壁をけりつけた……それがあの音の原因だったのです。
が、友人が怯えている原因はその事実ではなかったのです。
友人が見たものとは……!!
と言った感じの本作。
短いながらもしっかりとしたどんでん返しと恐怖が用意されている前述のエピソードの他にも、よみごたえある恐怖譚が収録されています。
もともと社宅だったと言う廃屋に潜む奇怪なモノを描く「黒百足」。
突如部屋の中に飛び込んできた黒い塊の正体は……?という「黒い塊」。
気が着けば縁側に座っている奇妙な老婆の謎、「おシカさん」。
戦時中ふいに夜中目が覚め、何故か仏間に行くとそこには家族が揃っていたという不可思議な自体の後に待っていたのは……?という「仏壇の間」。
これらを始めとした多種多様な怪談が収録されています!!
ただひたすらに恐ろしいものから、奇妙な違和感のようなものを感じるもの、不思議な力で導かれるもの、と同じ怪談とはいってもいろいろな読み口を楽しむことができるのです!
紹介した作品の他で個人的に一番気になったのは「真夜中のプリント・アウト」。
全編通して直接的な恐怖描写がないものの、だからこそのじわりと来る恐怖を楽しめるエピソードなのです!
描いているのが、最近ではエロス方面特化の青年向け作品を得意としているイワシタシゲユキ先生ということもあり、唯一の登場人物である主人公の女性がキュートなのも見所かもしれません!!
イワシタ先生にはこっち方面もどんどん描いていってほしいもんですね!!
今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!
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