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今回紹介いたしますのはこちら。

「ヤコとポコ」第1巻 水沢悦子先生
秋田書店さんの少年チャンピオンコミックス・エクストラ もっと!より刊行です。

さて、本作は一風変わった世界で繰り広げられる、とある漫画家とそのアシスタントの日常を描いた作品です。
うさく……水沢先生の新境地となる独特の味わいある物語、その内容は!?

ヤコは漫画家です。
月刊少女ラスカルと言う雑誌で、「恋のくれよん学園」という作品を連載しています。
アシスタントは、ポコという猫型のロボット。
なんだか凄いハイテクのような感じもいたしますが、本作の世界では当たり前のこと。
漫画家のアシスタントばかりではなく、お店の店員さんなどの様々な場面でロボットは使われているのです。

今月の原稿も、ポコがカチューシャのトーンを全部間違えて貼ってしまった以外は何の問題もなく仕上がりました。
待ち時間をつぶすようにポコをゲームセンターに置き、ラスカルを出版しているぽんぽこ出版にやってきたヤコ。
特にダメだしもなく、今回も無事入稿となりました。
編集さんからは、いい作品がかけるんだからページを増やしたり、別冊の方にもう一本連載を持つとかしないか?と誘われるのですが、ヤコは今ぐらいが丁度いいペースだと断るのです。
何でも同じくラスカルで描いている人気作家、オリーブ先生は月産150ページを誇っているそうで。
それもこれも、有能なアシスタントロボットを複数使っているからなのです。
ちなみにポコは、ヤコが漫画の新人賞を受賞した際に副賞でもらったもの。
だから性能がイマイチ……というわけではなく、ヤコが初期設定で「てきとうモード」に設定したからなのです。
かんぺきモードに設定すると、燃費が悪くなったりはするものの、仕事は文字通り完璧にこなしてくれます。
なので仕事関係にロボットを使う場合はかんぺきモードにするのがセオリー。
なにせ一度設定すると、モードを切り替えられないのですから!

打ち合わせを終え、ゲームセンターにポコを迎えに行き、自宅へと帰っていくヤコ。
原稿はともかく、次回の原稿は祝日の関係で締め切りが早まるとのことで、ヤコはちょっぴり残念がっております。
そんなヤコを励ますため(?)ポコは一本のペンを差し出しました。
ゲームセンターのゲームの、残念賞でもらったペン。
なんてこと無いペンかと思われましたが、ヤコはそのペンに見覚えがありました。
その名も「ゆっこペン」。
ゆっこさんというイラストレーターが作った、「思い出の色」のペンだと言うこのゆっこペン、ポコがもらってきたペンにも「うらやましかった友達んちの猫色」という、聞いただけではイメージできない色の名前が描かれています。
紙に塗ってみるまでどんな色かわからないそのペン、どれか一色でも思い出の色が同じだったら幸せに慣れると言う噂があり、ヤコも昔買っていたんだそうです。
自宅を探してみると、昔買ったゆっこペンが二本出てきました。
どちらも名前と自分の思い出が一致していなかったと言うそのペン、
じゃあ今回のペンはどうなんだと紙に線を引いてみると……その色はポコと同じ色だったのです!
なんだかちょっとこみ上げてくるものを感じたヤコ。
なんとなく、改めてゆっこペンを集めることを決めたのでした。


というわけで、ゆっこペンを巡るヤコとポコの物語を描いていく本作。
ヤコトポコの仕事風景や、過去あったことを振り返ったりしながら、毎日の暮らしが営まれていきます。
そんな二人ののんびりとしたやり取りは癒されること必至!
コミカルでありながら、どこか寂しげな空気も漂う物語が堪能できることでしょう!!
そしてなんだかよくわからない不思議な世界観もひっかかるところ。
当たり前のようにロボットがいるような未来的な感じでありながら、インターネットが厳しく制限されているっぽかったりとアンバランスな発展をしているこの世界。
どうやら現代から50年後くらいの世界設定のようなのですが、なんでも「革命」があってこんな感じの世界になっているらしく……
そういった謎を語るタイプの物語ではないのかもしれませんが、徐々にでも明かされていくのかもしれません。
この不思議な世界の成り立ちが気になってなりません!
本作の軸となるゆっこペンですが、その商品の元となったゆっこさんの存在も気になるところ。
後々その正体(?)が明かされるのか、それともあくまでお話の一要素に過ぎないのか?
ヤコにとって「当たり」のペンが出るその時までに、どれだけのペンが集まるのかとあわせて気になるところですね!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!