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今回紹介いたしますのはこちら。

「後遺症ラジオ」第2巻 中山昌亮先生 
講談社さんのシリウスKCより刊行です。

さて、「不安の種」シリーズに続く新たなホラーオムニバスとなる本作。
構成自体は「不安の種」のような、場所も時系列もバラバラな恐怖を描いていく形なのですが、本作では「髪の毛にまつわる恐怖」のお話が一本の軸として用意されています。
すべての元凶はおそらく、とある片田舎で祀られている奇妙な御神体。
今巻でもこの髪の毛の物語は、静かに、不気味に蠢くのです。


電車の中で、突然座席と座席の隙間に髪の毛を吸い込まれるように引っ張られた女性。
その時窓に映りこんでいた自分の顔は、まるで自分の顔では無いかのように坊主頭になっていて、大きな口を開けて笑っていました。
普通では考えることの出来ない奇妙な体験をして、彼女の脳裏にはある記憶がよみがえります。
祖母に頭を丸刈りにされて、「後は○歳と○歳の時に切ればいい」と言われた記憶が……

この二つの出来事には関係があるとしか思えません。
ですが頼みの綱である祖母はもう10年も前に他界してしまっています。
悩んだ末、女性は母親に尋ねてみたのです、が……
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母親はそんな記憶は無いと言うのです。
自分が丸刈りにしたことが無いのはもちろんのこと、女性がされたことも無い。
そんなとんでもないことをされたりしたのなら、覚えていないわけが無い、と。
確かにその言い分も頷けるような……
ではあの記憶は何なのでしょう。
疲れているんだ、と母親には言われたのですが……

モヤモヤを抱えたまま床に着く女性。
ですが深夜、何かの気配を感じてそちらに視線を送ってみると……何者かが枕元で仁王立ちをしているではありませんか。
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そしてその人影は……あの、何ともいいようの無い笑顔を浮かべた、坊主頭の自分だったのです!!
恐怖の叫びとともに飛び起きた女性。
もう眠っていることなんてできません。
女性は決心し、はさみを取り出します。
もういやだ、という呟きとともに、自らの髪にはさみを走らせて……
髪の毛をばっさりと切り落とし、顔をあげる女性。
その目の前の鏡の中には、すっかり髪の毛が短く自分の……あの。禍々しい表情が映りこんでいたのでした!!
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というわけで、髪の毛を切っただけでは逃れられない呪いを描く本作。
このエピソードだけではなく、今巻はこの髪の毛がらみのお話をメインに進んで行きます。
このあと彼女はどうなってしまったのか?
それがこの巻の中で語られることはありませんが、このあと彼女の行動がとんでもない事態を引き起こすことになるのです!
さらに拡大を続けていく予感……
次の展開が恐ろしくもあり、楽しみでもありますね!!

そして本巻でいよいよこの髪の呪いを振りまいているのであろう存在……「おぐしさま」の正体に迫り始めます。
とはいってもそれは、そのおぼろげな実体がほんの少し垣間見えるだけ。
さらにその実態が見えれば見えるほど、「どうしようもないんじゃないか?」という思いが強まっていくはず……!!
おぐしさまの齎す恐怖はどこまで世界に浸透していくのでしょうか……

さらにおぐしさまと関係あるのかないのかはわかりませんが、まったく別の恐怖ももちろん収録!
不安の種を髣髴とさせる、あまりにも不気味な闇が襲い掛かってきますよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!