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今回紹介いたしますのはこちら。

「ふわり!どんぱっち」第3巻 澤井啓夫先生 
集英社さんのジャンプ・コミックスより刊行です。

さて、不思議な生き物、マスコットがペットとして普及する世界での日常を描く本作。
そんなマスコットの中でもとりわけハジケた存在、首領パッチとその飼い主のビュティは今回どんな出来事に出会うのでしょうか?


買い物に出かけるビュティと首領パッチ。
落ち着きという言葉からもっともかけ離れたところにいるといってもいい首領パッチ、おとなしくビュティについてきてくれるはずがなく。
塀の上を歩いてみたり、かと思えば歩きにくいからとすぐ降りてダッシュしてみたり。
あまりにもその動きは自由すぎまして、どんどんと目的地であるスーパーとは逆方向に行ってしまうのです。
やむなく後を追っていくビュティ。
その道中、ビュティの視線にかわいらしい猫が入り込んできます。
何を思ったのかその猫、おもむろに駆け出し、首領パッチの後を追いかけはじめました。
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小道の中に入り込み、プレハブ小屋の横を駆け抜け、団地の一棟に駆け込み、階段を駆け上がって……
そのころには猫はいつの間にか首領パッチに追いついていまして、二人(二匹?)は同時に階段の踊り場の手すりに飛びついたのでした。

踊り場から見える街の風景はなかなかのものです。
首領パッチと猫、お互いの野生(?)が引き合うのか、二人は特に言葉を交わさずとも心が通じ合ったようです。
黄昏るねぇ、などとわかったような言葉を猫に投げかけ、首領パッチは眼下の風景を眺めるのでした。
そんな風景に、ビュティが現れます。
首領パッチを完全に見失ってしまっているようで、首領パッチを呼びながらあてどもなくさまよっているようです。
ですが、彼女が呟いていた「気まますぎるというか、猫と一緒で気を許すとすぐどっかに言っちゃう」という言葉が気に障ったのか、首領パッチはあえてその姿を見せないことにしたのでした!
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ま、ペットの心配すんのも飼い主の楽しみだしな。
まさに巨匠、常に飽きさせない。
そうのたまって、踊り場にもたれかかって座り込むのです。

猫を抱き上げたりして時間をつぶしていた首領パッチですが、やはりただ息をひそめているのは退屈。
早くも飽きてきたようで、待つほうが苛酷だ、5分したら劇的にこっちから出てやるか、と決めました。
しかしやはりただ5分間待つというのは首領パッチにとって難しいことのようで、そんなことを呟いたとたんに打とうとはし始めてしまいます。
ビュティがやむなく捜索を中断し、先に買い物に行ってしまうという決断をしたのも知らず……
首領パッチは完全に眠り込んでしまいました。
やがて日はとっぷりと暮れ、途中まではそばに寄り添ってくれていた猫も、ぺろぺろしても目覚めない首領パッチに飽きてしまったのか、どこかへ立ち去ってしまうのでした。

首領パッチが目覚めると、そこはビュティの背中でした。
状況が全く理解できない首領パッチです。
なんでも団地の人から連絡が来たんだそうで……
なんだかあまりにもさえない結末に、首領パッチは全然劇的じゃねえな、と眠気の収まらない中で落胆。
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そしてそのまままた、巨匠の仕事を終えた首領パッチは眠りにつくのでしたとさ……


というわけで、相も変らぬのんびり日常を描いていく本作。
このほかにも、こんな何事もない日常を描いたエピソードがたくさん収録されているのです。
今巻を見回してみますと、サブキャラの活躍が目立ちます。
首領パッチにどんな反応をしていいか悩む破天荒、ビュティを慕う後輩、ユキとその友人とビュティのバトミントン対決、ひょんなことからゅ両パッチと知り合った女子大生、レムとそのペット……ハンペンの登場、なんだか4人くらい兄弟のいそうなマスコット専門エステティシャン、ベーベベ等々、多種多様なキャラがはじけまわっております!!
ただただのんびりと進んでいく本作、読めばほっこりすること間違いなし!
澤井先生の画力も着々と進化しておられますしね!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!