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今回紹介いたしますのはこちら。

「木原浩勝原作怪談コミック短編集 怪想録」 木原浩勝先生 
集英社さんのホームコミックスより刊行です。

さて、本作は木原先生が原作を務めたホラー漫画を集めた短編集です。
木原先生と言えばいまや怪談の第一人者ですが、それだけにその活躍は多岐にわたります。
今回の単行本に収録されているのも、小学館、講談社、竹書房、集英社と強いつながりのあるホーム社と、様々な出版社さんの敢行した雑誌で発表されたもの。
さらにそのラインナップは壮絶そのもので、伊藤潤二先生、外薗昌也先生、中山昌亮先生、うぐいす祥子先生と、ホラー畑のビッグネームが勢ぞろい!!
そのほかにも実力派の漫画家さんがずらりと立ち並んでいるのですが、今回は「学校怪談」というタイトルで、3人の漫画家さんがそれぞれ一話ずつ描いた読み切りシリーズの第一話「怪談会」を紹介したいと思います!!


とある中学校の放課後。
生徒たちが家路についていく中、4人の女生徒が教室に集まっていました。
ポニーテールの良美、サッカー部のマネージャーをしている明日香、おっとりした千恵。
そしてそんな3人を呼び出した眼鏡の少女、恭子。
恭子は4人で「怪談会」をしようと言い出しました。
あまりに突然の提案。
用事があるものもいますし、仲良しの4人組と言ってもそんなホイホイと付き合うことはできません。
帰ろうとする3人ですが、恭子は呼び止めます。
待って、最近みんなおかしなものを見たんじゃない?
昨日、放課後の図書室で千恵は何を見たの?
有無を言わさぬ迫力を秘めたその言葉。
一同は足を止め、千恵は昨日の体験を話し始めるのです。

その日の図書館は、いつもよりにぎわっていました。
そんな図書館で千恵が本を選んでいると、不意に室内が暗くなり、しんと静まり返りました。
図書館というのはそもそも静かなものですが、そういう静けさではなく、今までそこにいた人の気配や、当然わずかにはある雑音まで消え失せてしまったのです。
恐怖を感じて辺りを見回すと、視界の端に髪の長い女性がよぎります。
いやな気配を感じてそちらを振り向くと……女性の姿はありません。
なぜなら、千恵の
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足元から手を伸ばし、つかみかかってきていたのですから!!
……気が付けば、あたりは普通の図書室に戻っていました。
あれは何だったのか?
何もわかりませんが、ただただ恐ろしかった感覚だけが残るのでした。

千恵が恐怖の体験をした。
その事実を、何故恭子が知っていたのでしょう?
その理由は、他の人が「昨日体験した」恐怖を教えてくれたら話してくれるそうです。
一同は得体のしれないものを感じながら、自分の体験を話し続けるのです。

次に話したのは、明日香。
部活の雑用として選択をしていた彼女ですが、洗濯物を干し終えた途端違和感を感じました。
季節は夏で、夕方とはいえ暑く、太陽が照り付けていたはずなのに、突然あたりが真っ暗になったのです。
そして、干してあったシャツから
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得体のしれない長い髪の頭と、二本の腕が伸びてきて……!!
気が付けばやはり、そこには何もなくなっていたのでした。

最期に話したのは良美です。
彼女は昨日、放課後の放送をする当番になっていて、放送室にいました。
速やかに下校しましょうといった旨のアナウンスをしていると……不意に室内が真っ暗に。
さらにハウリングのような奇妙な音が響き始めます。
よりによって自分が登板の時に機材の故障か、と立ち上がる良美ですが、その時放送室の窓に髪の長い女性がへばりついたいるのを見てしまいました!!
もう一度しっかりそちらのほうを見ると、その姿は消え失せていたのですが……恐怖におびえる良美が先制を呼びに行こうとすると
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背後から髪の長い女が肩に手を置いてきて、何かをささやき始めたのです……!!
戦慄した良美はガラスの反射でその女の姿を見るのがせいいっぱいで、何を言っているのかは聞き取れなかったそうですが……

これで3人が話し終わりました。
すると恭子は、心当たりはないかといいだします。
あるわけがない、何が言いたいんだと口々に不満を漏らす三人……
まだ怖い思いをしたいか?
その言葉とともに、教室は真っ暗になりました。
何なの虎れ、とおびえる千恵、いたずらにしては度が過ぎると怒る明日香。
ですが、恭子の姿が忽然と消え失せてしまっているではないですか!
そして彼女が座っていた机はびっしょりと濡れていて……
何が起きたのが全く理解できない3人。
その直後、3人は思い知らされることになるのです。
絶叫を上げる3人が見たのは、窓から覗き込んだ……!!


というわけで、18編の恐怖が収録された本作。
この画力に関しては(特に女性キャラ!)文句の付けどころのない木静謙二先生の描いた前述の「怪談会」の他、様々なぞくりとする物語が収録されております。
残念ながら伊藤先生の「夏の卒業旅行」は「怪刺す」に、外薗先生の「妹」は「インソムニア」に収録されている作品の再録となっていますが、未読の方ならば何の問題もない、どきりとするのではなく、背筋が寒くなるようなタイプの恐怖を味わわせてくれますよ!
うぐいす先生や中山先生は数ページの超短編ながら、お二人のイメージにはあまり結びつかない「麻雀」を題材にしたシリーズを描かれているのも興味深いところ!
中山先生のほうは非常に「らしい」作品になっているのですが、うぐいす先生のほうは空気を読んだ(?)のでしょうか、最大の持ち味ともいえるグロ描写や吐いたり漏らしたりといった描写のないじんわり系!
この他にも最近はやりの(?)民俗系ホラー「木守り」、インパクト絶大の落ちが待っている「百円の眺望」、奇妙なムードに引き込まれる「弟」、といった多種多様な恐ろしさが満点!!
ホラー好きなら満足間違いなしの一冊になっているのです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!