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今回紹介いたしますのはこちら。

「グラゼニ」第15巻 原作・森高夕次先生 漫画・アダチケイジ先生 
講談社さんのモーニングKCより刊行です。

さて、年俸に納得できず、契約更改を保留していた凡田。
そこに目を付けたのが、海千山千の契約代理人、ダーティ桜塚。
彼は今の凡田ならば商売になると踏み、ポスティングを申請するようにそそのかしてきます。
なんだかんだ言ってまだ球団は自分を必要としているはずだと考えた凡田は、球団がポスティングを受け入れないほうに100万円を賭け、交渉をしてみることにしたのですが……?


基本的に気が小さく、さらにメジャー志向なんてかけらもなかった凡田。
球団は自分を手放さないはず、100万円は自分のものだと勝利を確信しながらも不安を抱えていました。
いつもの通りユキちゃんのいる定食屋で一人食事をしていたところ、そこに今までユキちゃんと凡田の関係をさんざん引っ掻き回してきたセキネ記者がやってきました。
ただでさえ契約更改保留でいろいろ周りが騒がしいのに、ここでセキネにまでつつかれたら今の難しい状況がさらに難しくなってしまいかねません。
凡田はそそくさとその場から逃れようとするのですが、セキネはすぐにあとを追いかけてくるのです。
が、今回の彼女の目的は取材なんかではありませんでした。
あなた、ユキちゃんとはどうなってるの?
このオフになったらすぐ結婚を発表すると思ってたのに……
セキネの読みでは、ユキちゃんは凡田のプロポーズを待っているんじゃないか?とのこと。
でも契約でもめているから言い出しずらいんだろう、そんなことはあと少しでまとまるんだから、プロポーズだけはして安心させてあげなさいとせっつくのです。
ほんとはあんまりニュースにならない話題だけど、特別にウチで記事にしてあげるから、と今までの贖罪めいたことも言って来るのですが……
何せ凡田の頭の中は目下ポスティングのことでいっぱい!
あくまでポスティングを言い出したのはダーティとの賭け、そして球団にもっと年俸を積んでもらうための材料の一つ。
自分を超えるセットアッパーなんておいそれと見つかるはずもない、絶対に球団はポスティングなんて選択しないし、金額面でも折れるはずだ。
そんな思いが頭の中をぐるぐるとめぐっている中で、セキネはこんなことを言い出しました。
確かに自分の上の5人の選手に比べて、年俸の差は大きすぎる。
でも今季の活躍で間違いなく一流選手の仲間入りをしたんだから、年俸の話は必ずまとまる。
もうすぐクリスマスで年も変わってしまうし、式は無理でも今年のうちにはっきりしておいたほうがいい……
その「年が変わる前に」、という言葉に凡田はハッとします。
来年になれば、自分はどうなっているのか。
もしかしたら、日本にいないことだってありうる。
そんな考えが廻ったのかもしれません。
そこへタイミングよく姿を現したユキちゃんとおかみさん。
いや、話が耳に入ってきたおかみさんが気を利かせてつれ出てきたのでしょう。
ここぞとばかりに、一人になったら何にも出来ないんだから今言ってしまえ!!と背中を押してくるセキネ……
そんな空気にいづらさを感じたのか、仕事があるからとその場を離れようとしてしまいます。
が、そこでついに凡田が動きました。
待ってくださいユキさん。
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僕と結婚してください。
今まで心こそ決まっていたものの、煮え切らないにもほどがあった凡田が……とうとう!!

一方その頃、球団側はと言いますと。
「ポスティング未経験球団は、どうしてもポスティングをやってみたくなる」というダーティの読み通り、編成部長はうずうずしておりました。
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おまけに社長は「儲かる!!」とウキウキ気分。
何せ凡田は今年思いがけない大活躍して注目されていまして、今がまさに売り時。
来年ポスティングにかけたら……今年のような活躍ができるとは到底思えませんし、おそらく金額は下がるでしょう。
さらにスカウトからは、実績十分ながらけがの影響でたまたま今シーズン調子が悪かった二人の外国人投手に目星をつけていまして。
1億2000万あればその両方がゲットで来て、凡田の穴は確実に埋められる!と自信満々なんだそうです。
今季限りで退団する外国人もいるため、まさに渡りに船といったところですが……
球団としても、凡田の戦力はかなり高く評価しています。
しかしなんといってもほしいのはお金。
凡田のグッズの売り上げは芳しくありませんし、ポスティングで数億円転がり込むとしたらそれはもうウハウハ。
そこに立ちはだかる最大の問題は……やはりファンの声でしょう。
今年の優勝は、どう考えても凡田の活躍なしにはあり得ません。
球団もファンもそう感じているのは一緒。
優勝の立役者の重要な一人である凡田を売りとばすような発表をして、ファンからどんな怒声を浴びせられるか……
最終的な判断は編成部長に任されました。
果たして予想外に大ごとになってきたこの問題、どんな方向へ進んでいくのでしょうか!?


というわけで、着々とポスティング編が進行していく本巻。
自分はギリギリ一軍にへばりついているんだというような危機感にさいなまれていたあの頃からそれほど立っていないうちに、まさかのメジャーへの道が開きかけてしまっているこの状況。
今まで落ち着いて立ち回り、安定を求めながら日夜野球に打ち込んでいた凡田にとって、まさしくこの状況は寝耳に水としか言えません。
もちろんその安定志向は今でも変わっていないわけで……
意を決してユキちゃんに結婚を申し込んだのも、自分が一流選手の仲間入りをした……つまり、これで一生食っていくくらいの収入は得られるだろうと確信したからでしょう。
そんな彼が、一攫千金を狙ってメジャーに行こうなんて思うはずもないのです!!
球団の思惑、凡田の考え、ダーティの野望。
この三つが絡み合ったこのポスティング騒動、その着地点は……!?
そして、悪いようには思っていなかったものの、はっきり好きだとも言っていないユキちゃんはこの勢い任せの告白にどう返事するのでしょうか!?
物語は本作らしからぬ急展開の香りを濃厚にしてまいりました!!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!