hy0
今回紹介いたしますのはこちら。

「箱庭遊戯」上巻 田中文先生 
集英社さんのジャンプ・コミックスより刊行です。

田中先生は10年にジャンプスクエアの漫画賞を受賞し、デビューした新人漫画家さんです。
その後数本の読みきりを発表したり、スクウェア・エニックスさんの雑誌で短期集中連載をされたり、横田卓馬先生のアシスタントを務めるなどの経験を積んだのち本作を連載。
めでたく初単行本刊行となりました。

さて、本作はある出会いから連続した凄惨な事件が巻き起こっていく物語です。
過去に起きた事件と現在の事件が交錯して行く本作。
果たしてその過去と現在の事件とは……?


夏のある日のこと。
駅で電車を待っていた淳真は、意外な人物の姿を発見しました。
真理です。
6年前に引っ越していって以来姿を見せていなかった真理の姿を。
6年ぶりの再会でしたが、真理は成長しているもののその印象は小4のころとそう変わりません。
当時のように明るく、屈託のない笑顔で真理は言いました。
hy1
帰ってきたんだよ、またよろしく、淳真くん、と。

真理が帰ってきた。
その事実を、淳真は当時からの友人である宗二郎に報告します。
ですが宗二郎は喜ぶでもなく、嘘をつくなと言い出すではないですか。
彼女はなぜ今になって帰ってきたのかを聞かなかったことを咎める宗二郎ですが……その真意は別のところにありました。
真理は、真人の妹だぜ。
……6年前のことです。
宗二郎たち当時の6年生は、課外授業に行っていました。
淳真はその課外授業に勝手についていったのですが……その課外授業であってはならない事件が起きてしまったのです。
真理の兄……真人が、いなくなってしまった……
その事件を引き金にして、真理たち一家はこの町を出ていってしまったのです。
行方不明になった現場にいた淳真や宗二郎たち。
宗二郎は今でもそのことを気に病んでいるようですが、6年の前の出来事ですし、そんなに気にすることもないだろう、と淳真は宗二郎を励ますのです。

その夜。
淳真は偶然落ちてきた蛾を見て真人のことを思い出していました。
淳真はよく真人がコレクションしていた虫の標本を見せてもらっていまして。
変わった模様をしていて面白い、と淳真が興味を示したのは、スミナガシという名前の蝶。
墨を流したような独特の模様しているのが名前の由来だというそのチョウの標本を、真人はあっさりと譲ってくれると言い出しました。
その時、真人はスミナガシの変わった習性について教えてくれます。
それは……

あの時もらった標本はどうしただろう、と思い立った淳真は物置を探り始めます。
すると、外から妙な物音が聞こえました。
物音のほうへ向かいますと、そこには子供の姿が。
こんな夜中に何だろう、とその子供のあとを追いかけていくと、いつの間にかその姿を見失ってしまいます。
そして少年を見失ったあたりで、子供の者らしき靴の片方が落ちているのを見つけます。
拾い上げてみると、その靴の中からぼとぼとと芋虫が零れ落ちて……
予想外の出来事に腰を抜かし、座り込んでしまう淳真。
いつの間にか、そこに先ほどの少年が立っていました。
その少年は……口の中から、ぼとぼとと芋虫を吐き出していて……
恐怖のあまり逃げ出す淳真。
玄関の中に逃げ込むと……先ほどの少年は淳真ではないかという疑念がわいてき始めます。
いや、でも、あの姿は……
自問自答を繰り返す淳真。
その背後から、音が聞こえます。
バンバンと扉をたたき、体をくねらすそれ。
戸の隙間からはどす黒い血のようなものがあふれ……
思わず淳真は叫びます。
やめろ、来るな、
hy2
真人……!

その翌日のこと。
淳真は宗二郎から奇妙なメールを受け取りました。
「真人が戻ってきた。今、小学校にいる。」
変身しても電話をしても反応はなく、淳真はやむなく今は廃墟と化した小学校へと向かいます。
真人はどうしていなくなってしまったのか、本当に戻ってきたのか?
疑問で頭がいっぱいになりながらも、小学校の中を探し回る淳真。
妙なにおいに耐えながら歩き回っていると、校内だというのにスミナガシが飛んでいるのを見つけます。
スミナガシに導かれるように先に進んでいく淳真。
再び思い出される過去の、真人の虫の習性を教えてくれたときの記憶。
この蝶は少し変わった習性を持っているんだ。
スミナガシは……
スミナガシが群がっていたその場所には、宗二郎がいました。
hy3
……無数の刃物が突き立てられた、無残な死体となって……


というわけで、幼馴染との再会をきっかけに恐怖が始まる本作。
久しぶりに姿を現した真理。
夢か幻か、悍ましい姿となって表れた真人。
そしてそれをきっかけにしたかのように惨殺された宗二郎。
そのすべてのカギとなるのはやはり、6年前に失踪した真人なのです。
6年前に何があって彼はその姿を消したのか。
今になって真理が姿を現したのはなぜなのか。
宗二郎が殺されなければならなかった理由は?
この後、淳真はほかの幼馴染たちのもとをめぐり、6年前の事件の真相を垣間見ることになります。
その衝撃の事実は、やはり今の事件と関係があるように思えてならず……
さらにその事件は連鎖し、危ない雰囲気を全身に身にまとう男まで姿を現して……
ホラー風味たっぷりで進行していくこの物語、果たしてその真相は本当に亡霊によるものなのか、それとも別の……人間の手によるものなのか。
その真相はすべて、下巻で明かされることでしょう!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!