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今回紹介いたしますのはこちら。

「進撃の巨人」第14巻 諫山創先生 
講談社さんのマガジンKCより刊行です。

さて、徐々に巨人以前に倒すべき敵が見え始めてきた本作。
巨人を操る力を持っているらしいエレン、そして謎多きクリスタ……ヒストリア、きな臭さを一層増してきたこの国の王……
巨人よりも前に倒さなければならないものを見つけた調査兵団の長、エルヴィンとリヴァイは、王政打倒をもくろむのでした。


王政を打倒し、自分たちが残された人類の実権を握る。
そんなとんでもない狙いを、ピクシス司令に打ち明けたエルヴィン。
聞くものが聞けば、即座に糾弾されつるされてしまう恐れのある言葉でしたが……
ピクシス司令は少し考えた後、自分に言い聞かせるように言ったのです。
いつかその日が来ると思っていた。
王が壁の外に興味を持つことをご法度として107年、この狭い世界の中での生活の限界が。
その日が来れば、自分も王に銃口を向けねばならない……
そしてピクシス司令は、自分がエルヴィンのもくろんだ通りの思想を持っていると打ち明けます。
ですが、同時に一郎兵にすぎない自分に、部下を「人間同士の戦い」に導く権利はないとも漏らすのです。
とはいえ、ピクシス司令には部下を裁く権利があるわけで。
ピクシス司令は自分が納得できる理由があれば、エルヴィンに協力してもよいというのですが……ピクシス司令の分析によれば現状を打破するのは難しそうです。
調査兵団の機動力と攻撃力があれば、実際王の首を刈り取ることは実現できるでしょう。
しかしその首を掲げて世界の支配者を名乗ったところでそれを民衆が受け入れるでしょうか?
なんだかんだと言っても、それなりの平和が維持されている今の生活に不満を持っているものは決して多くないのですから。
加えて言えば、王家の血筋は2000年以上続くとされていまして、その存在そのものが人々の支えとなっている部分もあります。
一般の人々が不信感、不安を感じるのはもちろんのこと、王家を支持する貴族などは逆賊許すまじと牙をむいてくることでしょう。
エルヴィンはというと、その道筋を回避する手段をすでに考えていました。
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……王の首を、すげ替える。
が、それが実現するのに最も重要な要素が確定しないとのこと。
その要素が確定すれっば決め手となるかもしれないが、もし違っていれば調査兵団は首をくくることになる……
エルヴィンはどうも自分は賭けごとが好きらしい、と漏らすのです。

エルヴィンがそうまでして王政を打倒したいのはなぜなのか。
それは少年時代のある出来事がきっかけとなっていました。
彼の父親が教師をしていたある日の学校の授業中。
人類は壁の中に追い込まれ、それまでの歴史のすべてを失ったものの、争いの歴史から決別して理想の世界を手に入れた。
そんな歴史の授業の中で、エルヴィンはふと疑問に思ったあることを質問したのだそうです。
その時の父は、質問をはぐらかしたまま授業を終えたのですが……家に帰った後、教えてくれたのだそうです。
王政の配布する歴史書には多くの謎と矛盾が存在する。
そもそも歴史というものは文献がなくても語り継いでいくことができ、むしろ一切後世に残さないほうが難しいはずだ。
そのあとに続いた父の言葉は、子供だったエルヴィンでも突拍子がないと感じるもので。
そして、何故このことを教室で話さなかったのかを理解できるほど大人ではなかったエルヴィンは、ついついそのことを友達との会話のネタにしてしまい、憲兵に詳細を尋ねられることになってしまいます。
憲兵に尋ねられたその日……父は帰ってきませんでした。
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遠く離れた町で事故にあって死んだ、とされた父。
……エルヴィンの密告により、消された、のです。

そんなあってはならない事件が、エルヴィンの中で父の言葉を真実にしていきました。
今から107年前、壁に逃げ込んだ当時の人類は……
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王によって統治しやすいように記憶を改ざんされた。
……確かに突拍子もない話です。
が、先日の出来事がその疑念をさらに真実へと近づけていました。
エレンが、巨人を操った「叫び」。
以前の女型の巨人も叫び声で巨人を操って見せたことがありましたが……巨人が元々は人間であるという事実が判明した今、巨人の意識を操れるということは人間を意識を操れると同義ととっていいでしょう。
だからこそ、王政はエレンの力を欲し、調査兵団への圧力を強めたのではないか?
エルヴィンはそういうのです。
事実、つい先日エルヴィンが会談した王政の役員たちは、民衆など一切顧みず、自らの生活の維持ばかりを考えていて……
父の死に正当性はなかった。
多くの人間が死んでも構わないと考えている王政に、エレンは託せない!
……エルヴィンの確固たる決意はわかりました。
ですが肝心の決め手となりうる要素は……?
その時、部屋に部下が駈け込んできます。
エルヴィンに手渡した紙片は、おそらくその要素がどうだったのかが記されているのでしょう。
武力による制圧ではない、王政打倒の手段とはいったい……!?


というわけで、対王政の形がはっきりとしてきた本作。
進撃の「巨人」はなりを潜め、今の暮らしを延々と続けようと考えているらしい王政と、それをよしとしないエルヴィンやエレンたちとの対立が描かれていくことになります。
どう考えても流血は避けられなさそうなこの戦い。
血は流されることになることは間違いないでしょうが、それが無益なものとなるのか、最少の量で最良の結果を生むのか。
それはすべてエルヴィンの求めている決め手……ヒストリアの謎にかかっています!!
そしてリヴァイやミカサはその目的のため、エレンのために戦っていきます。
しかしそれ以外の調査兵団の面々は、人間相手に刃をふるうことに強い抵抗を感じていまして。
そのためらいが重大なミスにつながらなければよいのですが……

さらに、リヴァイと因縁ある新キャラクターも登場。
巨人がらみの様々な謎、そしてその脅威と向き合う前に戦わなければならない、人間。
一層混沌としていく事態は、いったいどのような方向へと進んでいくのでしょうか……!?


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!