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今回紹介いたしますのはこちら。

「ハリガネサービス」第1巻 荒達哉先生 
秋田書店さんの少年チャンピオンコミックスより刊行です。

荒先生は13年にチャンピオンの漫画賞を受賞してデビュー。
14年に本作の連載を開始し、めでたく初の単行本刊行となりました。

さて、本作はバレー漫画です。
今までの漫画史の中でもバレー漫画は結構ありまして、主人公のタイプというのも数多く存在します。
天才型、努力型、一芸型……
本作の主人公は、一芸型に分類されます。
ですがその秀でている一芸というのがあまり類を見ない技能でして……?


都立豊瀬高校バレー部に、今年も新入部員が入ってきました。
数名の一年生の中で、まず最初に自己紹介をしたのは下平鉋。
中学校でバレー部に所属していたということで、いきなり経験者だと上級生たちは喜び勇みます。
そこでポジションを尋ねてみたのですが、帰ってきた答えは「ピンチサーバー」というものでした。
ピンチサーバーというのはサーブのスペシャリストで、試合の流れを変えるための切り札的なポジションです。
……が、それはあくまでプロや大学などの高いレベルでの話。
中学校のレベルでは、レギュラーになれなかった者に出場機会を与えるためのもの、という意味合いが強く……
要するに、補欠でしたと自己紹介しているも同然ということなのでした。

続けて自己紹介をしたのは、中学でウイングスパイカーをしていたという間白譲治。
そして同じく中学でセッターをしていた松方一颯、リベロをやっていたという金田進の三人。
三人の自己紹介を聞いていくうち、部員たちはざわつき始めました。
彼らの出身中学はそれぞれバラバラでしたが、そのどれもが去年の中学ベスト4に進出していた学校なのですから!
驚きはそれだけでは終わりません。
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彼ら三人は、去年行われた中学都道府県対抗戦で東京選抜に選出されていたのです!!

早速はじめられた部活動。
まずは二人組のパスから始まりました。
先ほどのセッターだったという松方のパスはさすがの一言で、オーバーハンドパスの時にまるで音を立てない、柔らかなボールタッチを見せつけるのです!
一方の鉋はと言うと、まるで手首にハリガネでも入っているのではないかというほど手首が固く、バチバチと大きな音を立てるパスをする始末で……
この状況がまずいのは鉋自身もわかっていました。
中学では3年間ベンチだったが、高校では頑張ってレギュラーをとろうと思っていたのに……よりによって東京選抜が3人も同期で入ってくるなんて!
ポジション争い、勝てる気しないなぁ……
そんなことを考えていると、サーブ練習に移るという知らせが入ります。
サーブならちょっとは、と玉を手にする鉋ですが、そこでマネージャーを通じて監督から鉋だけ別メニューをやるように命ぜられてしまいます。
一人でオーバーハンドの壁打ち練習……
早速一人だけ初心者向けの練習に振り分けられてしまう、幸先悪いスタートとなってしまうのでした。

翌朝。
7時半から朝練をやるから準備をしておけ、と体育館のカギを渡された1年生は、せっかくなので少し早く来て練習することにしました。
4人いるとはいえ、正直鉋が一枚も二枚も実力で劣っているため、2VS2の練習はちょっと機能しなさそう。
そこで鉋はピンチサーバーをやっていたということですから、鉋がサーブを打って金田がレシーブ、松方がトスをして間白がスパイクを打つ、という形式の練習をすることにしました。
せめて足を引っ張るな、一級もサーブミスするんじゃないぞ。
そんなプレッシャーをかけてくる間白。
そのせいなのでしょうか、鉋の撃ったサーブはなんといいますか、緩いごく普通のサーブでした。
正確なレシーブ、素早いトス、そして強烈なスパイク。
流れるような三人の連携は素晴らしく、鉋は来年後輩とかが入ったら自分だけ下手だって笑われるのかな、などと考えだしていて……
ところがそんな中、突然金田が頭上高くにボールをはね上げ、
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「気持ち悪い!」と叫んだのです!!
なんでも、鉋のサーブが気持ち悪い、とのこと。
はたから見ればゆるい普通のサーブにしか見えなかったのですが……金田は言います。
さっきからボクは一歩も動いてない、それどころか構えた腕すら動かしてない!
ここまでの10球全部、ボールが腕を構えたところに飛んで来たんだ!!
……数センチのブレすらなく、全球同じ所へサーブを打った?
そんなこと、普通できるはずがありません。
……が。
鉋は言ったのです。
レシーブしやすいほうがコンビネーションにつなげやすいかと思ったんだけど、少しくらいばらけたほうがよかったかな?
まさか……鉋は完全に狙って十球すべて同じコースを打った、とでもいうのでしょうか!?
その発言にキレた金田。
サーブがそれたらボクが取り損なうとでも思ってんのか?
このコートのどこに落としてもいい、全部あげてやる。
選抜のリベロ、なめるな!

なんだか変なことになってしまいましたが、ともかくここは勝負しないと収まらなさそう。
自信をみなぎらせる金田ですが、その長い腕もあって確かにコートのどこにサーブを打っても返してきそうです。
だったら……と、鉋が放ったサーブは……
先ほどとは見違えるほど速い速度で放たれ……そして
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ネットにあたってから金田側のコートに落ちたのです!!
まさかのネットイン。
まぐれじゃないか、やり直せと叫ぶ間白と金田。
鉋はそんな土豪に、やっぱりネットインはナシだった?次はやらないから、と返したのです!
狙ってできるもんじゃないだろうとつっこみを入れる間白と金田。
それを聞いた鉋が何気なくはなったサーブは、またも見事なネットインをして見せて……!!
初心者同然だと思われていた鉋。
もしかして彼は本当に……狙ったところに百発百中でサーブを打てる、というのでしょうか!?


というわけで、スタートを切った豊瀬高校バレー部一年生カルテット。
抜群のレシーブ力を誇る金田、冷静で正確なトスを上げる松方、強いスパイクと戦局を見極める目もある間白。
選抜にも選ばれた三人に対し、見るべきところはないのではないかとまで思われた鉋。
ですがそんな彼が見せた、その非凡さならば三人をも超えるであろうサーブ能力!
この4人がかみ合えば、素晴らしいチームが出来上がる予感がし始めました!!
ですがだからと言ってすんなりと4人がコートに名てるわけではありません。
まず立ちはだかるのは、上級生たちです。
今まで大会ではさしたる結果を残していない豊瀬ですが、今年は違います。
なんといっても昨年から監督に就任した山縣の存在が大きく。
そもそも名将と呼ばれる彼が監督になったことがきっかけで、選抜の三人はこの高校に入ったのですから!
名将のもとで練習を積んだ上級生からレギュラーを奪い取れるのか?
まずはそこからですが……
実は鉋にはまだ隠された重大な要素がありまして……?
一年生たちはこのまま順調にステップアップしていくのか、鉋はサーブ以外の武器を手にすることができるのか。
物語はまだ始まったばかりですが、これから先の展開に胸が躍りますね!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!