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今回紹介いたしますのはこちら。

「それでも町は廻っている」第13巻 石黒正数先生 
少年画報社さんのYKコミックスより刊行です。


さて、女子高生探偵を将来の夢にする女子高生、歩鳥とそんな彼女になんだかんだ惹かれている仲良しさんたちのあれこれを描いていく本作。
その内容はホンワカ日常から心に残るドラマ、ミステリアスな事件まで多岐にわたるのですが……今回紹介したいのはそのミステリ面を押し出したエピソード、「廃村」です!


20年前まで人が住んでいたという廃村。
そこに幽霊が出るらしい、という噂を編集者から聞いたのは近所の古道具屋の娘さんであり、ひそかに大人気ミステリ作家である静でした。
その幽霊と言うのは、白い……と編集者さんが言いかけたのを。先入観になるからとさえぎった静。
なんにせよなんちゃって廃村ではないリアル廃村に、幽霊が出るというネタになりそうなものを放っておく手はありません!
案内するという編集者の誘いを断って、静は自前の助手を連れていくことにしたのです。

で、その助手はやっぱり歩鳥でした。
そして歩鳥は、廃村とか幽霊とかが好きそうな紺先輩も誘っています。
紺先輩、最初こそ静の得体のしれなさをいぶかしんで参加を渋っていたのですが……
結局はその廃村探索幽霊付きと言う甘美な香りを我慢できず、同行することになったのです。

廃村の近そうな旅館を予約したとのことで、静の車で現地に向かう三人。
ですがいまいちその旅館への道がはっきりわからず、峠の道でいったん車を止めて一休みすることにしました。
地図を見ながら頭をひねる静。
紺先輩はぼーっと眼下に人がる風景を見下ろしていたのですが……その視界にとんでもないものが飛び込んでくるのです!
人気のない田んぼの中で、
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何か白いものが……くねくねと踊っている姿!!
思わず声を上げて後ずさる紺先輩。
歩鳥がどうしたのかと心配して声をかけるのですが、オカルト界隈に造詣が深い(?)紺先輩はあれがかの有名な「くねくね」ではないかと考え、歩鳥を見るなと制するのです。
しかもその直後、紺先輩は血を吐いてがっくりとうなだれて……!!
まさか霊障的なあれかと考える歩鳥ですが……さすがにそれはありませんでした。
紺先輩はひそかに車酔いで気分を悪くしていまして、この驚きが決定打となってしまってリバース。
車内でトマトジュースを飲んでいた為、それが真っ赤だった、とそういうわけだったのです。

なんとか旅館にはたどり着きました。
あれは車酔いで気分が悪くなっていた為錯覚しただけの、要するに気のせいだったのかなとも考える紺先輩ですが、件の廃村はあのくねくねのいた方向にあるようで。
ますます紺先輩の中の不安は強まっていくのです。

三人で温泉イベントやら、楽しいお食事なんかを終え、うとうとし始めたか感じの夜10時。
いよいよ問題の廃村へ出発です!
昼間、くねくねを見た場所も何事もなく通過し、近くの駐車場的な場所に車を止めさせてもらって現場へ徒歩で。
道に迷って遭難でもしたらことですし、やばかったら即帰還。
日が出てからリトライ、最悪地元の人に聞く。
やりようはいくらでもあるから落ち着いていこうという静。
本当にいるのならお化けにあってみたいもんだ、と言いながら歩いていくのですが……
その頃、シーサイドではちょっと嫌な感じのことが起きていたことを知る由もありませんでした。
ちょうど歩鳥たちが廃村に行ったという話をしていた商店街のおっさん連中。
その時ちょうど狙いすましたかのように、ウイスキーグラスが縦に真っ二つに割れたのです!!
絵にかいたような「不吉」。
なにか悪いことがなければいいのですが……

三人は廃村にたどり着いたところです。
人気のないまごう事なき廃村……静はなんだか引っかかるものを感じつつも、探索をつづけます。
やがて三人は一軒だけ扉が開いていた……床が抜けて、基礎がむき出しになった家を発見。
中に入ってみると、そこには
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木彫りの、怪しげな文様を顔に描かれた巨大な像が祀られていたのです!!
しかもその奇妙な文様は壁にも描かれていたり、同じ模様のついた、何かが入った袋がいくつも周りにぶら下げられていたり……
明らかに奇妙なこの家……紺先輩はもう完全に及び腰、歩鳥も仰天、さすがの静さんも驚きを隠せないようで……

良くも悪くもいよいよ盛り上がってきた廃村探索。
もう少し調べたいという静に、歩鳥は不満の声を漏らすのですが、あれだけおびえていた紺先輩は、おもしれーよと続行の意思を示します!!
……その目はしっかりとつむられているのが可愛らしいところですが……
静はあれだけのものを見ても、まだ最初から感じていた恐怖とは違う違和感をぬぐいきれません。
そこでまだ探索を実行したわけですが……そこでついに廃村だというのに一軒だけ、明かりのついた家があるのを発見したのです。
廃村なのに何で太古のような音が聞こえてくるその家を、そっと覗いてみると……
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中には、奇怪な面をつけた数人の人影が……!!
思わず声を上げてしまった紺先輩。
慌てて逃げ出す三人ですが、その声に気が付き面の男が追いかけてきたではないですか!!
聞き取ることのできない奇妙な言葉を漏らしながら……!!

面の男は割とすぐ追うのを辞めたようで、何とか捕まえられずに旅館に戻ることのできた三人。
温泉に入ってリフレッシュし、静はここから反撃だ、オカルトの敵は「信じないやつ」ではなく「まがい物」だ、と明日に謎の追及をする意思をあらわにします。
さっきまでの恐怖から一転、反撃ムードになってきた一同!!
……ですが。
そのムードは紺先輩がとんでもないものを目撃して一気にトーンダウンしてしまうのです!!
フロントの奥の部屋にちらりと見えた……あのお面!!
まさかこの旅館まであの面の男の手が迫ってきているというのでしょうか!?
緊張が走る中でも、静一人は冷静に滅入るのですが……はたして!?


というわけで、緊張感が走り放題のエピソードを収録した今巻。
いつになく本格的な謎と冒険が繰り広げられるこのエピソードですが、その真相は……!?
リアルなオカルトなのか、なんでもない勘違いなのか、はたまたサスペンスなのか、あるいはそのどれでもないのか。
深まる謎と重なって襲い掛かる恐怖、そして用意されているどんでん返し……
その先にある驚嘆のラストをぜひその目でご確認ください!!

もちろんこの他にも様々なエピソードが収録されています。
こちらもオカルトチックな謎の映像の真相を追う話があったり、ばーちゃんの誕生日を意外な方法で祝ってみたり、針原さんから明かされる紺先輩の虚実交じりの過去が楽しめたり。
さらに今まであまりスポットの当たってこなかったキャラクターが活躍するお話などの見どころもあるのですが、前述のエピソードと並ぶほど注目せざるを得ないのは巻頭を飾る「張り込み」のエピソード!
気になる気になるタケルとエビちゃんの関係が赤裸々に描かれるこのお話、とうとうエビちゃんからタケルに対してあの言葉が投げかけられちゃったりなんかしちゃったりして……!!
二人の進展が気になって仕方のない諸兄には必見のエピソードとなっていますよ!!

今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!