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今回紹介いたしますのはこちら。

「累」第4巻 松浦だるま先生 
講談社さんのイブニングKCより刊行です。

さて、ニナが意識を失い、累は完全にニナとしての生活を始めることとなった前巻。
ニナの母親に、本当のニナなのかと疑われてしまうものの、その魔性の演技力により問題を排除。
いよいよ累はニナとして、女優としての道を登り始めるかに見えたのですが……?


舞台「サロメ」を見事にこなし、評価を上げた累。
舞台上では素晴らしい演技をし、舞台が終わればその部隊が名残惜しいかのように、舞台そでに座り込み、自分のセリフを呟き続ける。
そんな秒的なまでの部隊への執着がひきつけたのでしょう。
人気俳優、雨野にも止められ……
サロメを演じた累と、ヨナカーンを演じた雨野は、関係を持つのです。
求めてやまなかった、舞台での脚光。
そして想像だにしていなかった、男性に求められるという事態。
私はサロメのようにはならない。
サロメのように破滅になど向かわず、すべてを手に入れて見せる。
醜い自分では手に入れることのできなかった、光に満ちたこの居場所を。
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累はついに手に入り始めた幸福をかみしめ、更なる飛躍を誓うのでした。


一人の美しい少女がいました。
野菊、と呼ばれた少女は、病床に伏していた彼女とは似ても似つかない醜い顔をした母親からこう聞かされて過ごしてきます。
これは私の顔じゃない、私の顔は「いざな」と言う女に奪われてしまった。
だからお父様は、私ではなく、私の顔をしたいざなを愛した。
でも野菊、あなたは本当の私の顔に似ている。
きっとお父様にも愛してもらえる……
普通ならば信じることなど到底できない話ですが、野菊はどこかまでは覚えていないおぼろげな記憶ながら、確かに見たことがあったのです。
母と同じ顔の母ではない女と、母がくちづけを交わしていたところを……!
母は容姿ばかりか、輝くような「淵 透世」と言う女優としての名声も、父親からの愛もすべて奪われたまま、この世を去っていきました。
美しい女性に成長した野菊に残されていたのは……たった一つだけ。
野菊を野菊ではなく、「透世」と呼ぶ……父親だけ。
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自分をベッドの上へと誘う父親に、たまりかねて私は野菊だ、もう透世と呼ぶのはやめてくださいと懇願する野菊。
ですが父親は、自分の足が悪くなったから力尽くでどうにかできなくなったと思い反抗的な態度をとったのだろう、と言いながら詰め寄ってきます。
そして手にしていたステッキで野菊を一度殴りつけた後、さらにつづけました。
お前はほとんど家から出たこともなく、世の中のことを何も知らない。
自分なしでは生きてすらいけないだろう。
それぐらいわかったらどうだ、透世はもっと利口だったぞ、と。
そして彼の罵倒じゃその透世にまで及びます。
才能も品性も賢さもない出来損ない。
もはや美貌まで失われた彼女を、死ぬまでここに置いてやったのはお前を想ってのやさしさだ。
透世が遺した中で唯一価値があるものはお前だけなのだから。
……父親は、透世の行き映してある野菊に透世を重ね合わせ、己の情欲をぶつける対象としていたのです……
その瞳にはもはや、狂気しか見て取ることはできません。
野菊は抵抗するものの、結局押し切られてしまい……

悪夢のような夜が明けきれない早朝の闇の中で。
野菊の目には、テレビを食い入るように見つめている父親の姿が。
よどんだ瞳を爛々と輝かせながら見ていたのは……「サロメ」。
このサロメはなんという女優だ!?
まるで私と透世で作り上げたあのサロメ、この妖艶さ、優美さ……記憶がよみがえる!!
父親は……丹沢ニナに……累に、透世を重ね合わせたのです!!
そしてそれを見た父親は、野菊へのあたりをさらに厳しくしていきました。
野菊の母親は、「いざな」と言う女が女優・淵透世として完成するための材料に過ぎなかった。
菜も知らぬ女優の演技が、野菊がただの半身でしかないことを思い知らせた……
今までさんざんに透世であることを強要し、縛り上げ続けてきた父親。
その父親が今度は、抱かれるしか能のない見かけ倒しの欠陥品と罵り、怒りをぶつけてくる……
野菊は限界を迎えてしまいました。
今までの生活ですら、牢獄で暮らしているようなものでした。
ですが自分の求めていた透世をありありと思いだした父親は、今後今まで以上に野菊に透世であるように強要してくることでしょう。
そんな考えがよぎった時……野菊は考えるよりも先に行動していたのです。
母の言っていたように、自分の顔で、自分の声で、自分の行きたい場所へ歩きはじめる。
そのための第一歩として……
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父親の頭に、電気スタンドを思い切り振り下ろし、縛り付けられた枷を外したのでした……


というわけで、新たなドラマが展開し始めた本作。
伝説の女優にして、本作の主人公累の実の母親である透世。
その彼女の「顔」だった女性と、その伴侶、そして娘が登場したわけです。
醜さゆえに世の中から迫害され続けてきた累に対し、この野菊はその美貌ゆえに世の中に出ていくことすらできない人生を過ごしてきています。
容姿こそ対照的ながら、形は違えども同じように辛い運命を押し付けられてきた二人。
この二人が出会うのはもはや必然でしょう。
そしてこの二人が出会った時に、物語に何か決定的な出来事が起きるのも間違いはないでしょう。
美しさをのろい続けてきた野菊と、美しさにあこがれ、美しさこそが祝福だと、今まさに絶頂に差し掛かりつつある累……
境遇は似ていても、最も大きな根本の部分で正反対の考えを持っているわけですから……
もしお互いの立場を知れば、とんでもない事態になることが予想に難くありません!!
美しさと演じること。
透世と「いざな」。
そんな存在に翻弄される二人の物語は、いったいどのような方向へと進んでいくのでしょうか?
今後の展開にも目が離せません!!

そして気になる透世が生きていたころの過去ですが、こちらはどうやら松浦先生自身の筆による小小説で描かれるようです!!
おそらくそこで明らかになるであろう、いざなと透世、そしてその夫となる男の関係……
こちらも注目しないわけにはいかなそうですね!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!