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今回紹介いたしますのはこちら。

「剣術抄」第2巻 とみ新蔵先生 
リイド社さんのSPコミックスより刊行です。

さて、復讐のため達人・月探に弟子入りをした吾作。
月探はその実力もさるものながら、天女の知り合いがいたり、タイムスリップする謎の装置を使いこなしたりと、それ以外の部分も只者ではない人物。
タイムスリップなどで経験を積みながら成長していく吾作ですが、その復讐は成功するのでしょうか?


剣術の極み、無念無想。
それを会得することこそが月探の目的でもあり、今だその道程の途中なのだとか。
吾作もその境地に一歩でも近づくために、自然と溶け込むようにしながら修行をするのでした。
そんな修行をしている途中、吾作の住んでいた村人が突然姿を現し、涙ながらに語り始めます。
副家老の加納一味が先日、村内の60歳以上の者へ裏山のつり橋に集まるように命じました。
吊り橋は山の上にありまして、村人立ちはそれぞれの祖父や祖母を背負ってその場に向かいます。
するとそこには、大勢の部下を従えた加納が待っており、こんなことを言い始めたのです。

お前たちは貧しい故生活が苦しいと言っていたであろう。
それは決して年貢高のためだけではないはずだ。
この中にはのらに出て働けないものもいるだろう。
働かざるものは食うべからずと言われてきたが、それは生きとし生けるものの真理であろう。
そして部下は、持ってきていた荷物を開きました。
そこに入っていたのは、祈祷を施したという菊。
その菊をはるか下に流れる川に投げ入れ……
その吊り橋のすぐ横に張られた縄を渡れと命じたのです!!
要するに老人たちに供養用の菊は備えてやったから死んでしまえ、とそう言ったのと同じ……!!
当然村人たちは拒否します。
が、老人たちのうちの何人かはこれもいい機会だと自ら率先して身を投げてしまうのです……
……これで終わるのならばまだよいでしょう。
ですが加納一味は、渡らないものは一寸刻みにする!と刀をちらつかせ……
やむなく老人たちは次々に綱を渡っていきます。
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距離は10メートルほど。
しかし雲梯のようなわたりやすい構造ならまだしも、ただの一本の荒縄を渡してあるだけ……
こんなところを、あちこち体を悪くしている老人にわたれと言うほうが無理というもの。
当然老人たちは全員、谷底へと落ちて行って……

そんな涙ながらの訴えをされた吾作ですが……無念無想の境地のための訓練真っ只中のため、そこ言葉は届いているのか届いていないのかもわからない仏頂面のまま。
ですが一言、俺は村へ一度戻る、それがみんなへの義だ、去れ!とだけ。
そんな強い言葉に押され、すごすごと返っていく村人……
ですがその時、
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無念無想のはずだった吾作の瞳から、とめどなく涙があふれていたことを……村人は気が付いていなかったのでした。

加納が圧政を強いることができている理由、それは小物、足軽に至るまで腕利きの武芸者ばかりを雇い入れているため。
今の吾作が敵討ちに行ったところで、返り討ちにあうのは目に見えています。
そこで吾作は米を7合だけ持ち、山へ入り、心気を練ることにしました。
わずか米7合で、山の中での暮らしを3か月も続けた吾作。
そこで得たのは、人の生は常に死と向き合っている、という真理でした。
吾作が剣士として大きく成長したのかそうではなかったのか……それは図れません。
ですが、生き延びることが難しい戦場に向かうための心構えはできたわけです。
月探にお世話になったとあいさつし、旅立とうとする吾作。
もう再びここに戻れることはないだろう、と言う吾作に、月探は相手は多数だ、と月探は半ば強引に鉢金や鎖帷子と言った防具を手渡しました。
それを受け取り、、家を出ていった吾作。
延享三年、7月下旬。
いよいよ運命の時はやってきたのです。
たった一人、武芸者ひしめく加納の屋敷に乗り込む吾作……
果たしてその復讐は成就するのか?
あえなく散り果てるのか?
憤怒と無念無想、相反する感情を抱く吾作の運命やいかに!!


というわけで、大詰めを迎えた本作。
月探のもとでヘタレぶりを見せつけながらも成長してきた吾作、その復讐の時がついにやってきたわけです。
たとえ月探であろうとも、多数の武芸者に真っ向から挑めば勝利はあり得ないでしょう。
吾作がどのような策を弄するのか、それとも死を覚悟に無謀な突進にするのか?
少なくともこの屋敷に血が飛び散ることだけは確実。
この復讐劇を見守ろうではありませんか!!

そんな物語の最高潮を迎える前のタイムスリップ編も必見です。
なんと月探、そっちに全然興味のない人でも超強いということだけは知っているであろう有名キャラ、呂布と対戦!!
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さすがの月探も分が悪い……というわけでもなさそうで!?
こちらの戦いも見逃すべからずですよ!!

そんな物語の他にも、とみ先生が今までの経験から生み出してきた様々な剣術の解説と言ったうんちく面も要注目!
それら様々な知識を生み出してきたとみ先生、いまだフェンシングや手裏剣、やりなんかの他流試合とかもやる気満々のようでして。
あとがきではその対戦相手の募集までしてまして、とみ先生、なんだかもう……元気ですよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!